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冥界の予言者

キルケの屋敷に入り浸って1年、別部隊のリーダーを勤めたエウリュコロスが切り出した。

エウリュコロス:「おい!あんたいつまでここにいる気だ!」

オデュッセウス:「ああ、確かにその通りだな」

部下に怒鳴り付けられ、目を覚ましたオデュッセウスはキルケに別れを告げた。


オデュッセウス:「すまないが、俺たちはもう行かなければならない。許してくれ」

キルケ:「わかっている。だがその前に冥界にいる予言者テレイシアスに会わねばならん」

オデュッセウス:「冥界だって?」

キルケ:「まぁ兎に角行ってこい!」


オデュッセウスは訳がわからないまま、キルケに従い白い帆船に乗せられキルケの儀式が始まる。

辺りがモヤに包まれ、生暖かい風が吹くと、船は黒い土地に漂着し、地下へ進む洞窟の入り口があった。


オデュッセウスは松明に火をつけ恐る恐る洞窟の中に入っていく。

オデュッセウス:「あの女、俺を一人で行かせやがった」

洞窟内では半透明の白い物体が、生身の人間を珍しのかオデュッセウスの周りをうろつく。


オデュッセウス:「怖くないぞ、怖くないぞ、俺はイタケの王だ」

そんなことを呟きながら降りていくと、懐かしい顔に出会う。


白い影:「おお!オデュッセウス!」

オデュッセウス:「か、母さん!なぜ、こんな所に!」

母親:「お前がトロイアに行って十数年、イタケは変わってしまった。」

オデュッセウスの母は、首を振りながら悲しそうに語った。


母親:「お前の妻ペネロペも息子のテレマコスもお前の帰りを待ちわびている」

うんうんと頷くオデュッセウス


母親:「お前が帰ってこないことを良いことに、何人もの男がペネロペに求婚しておるのだぞ」

愕然とするオデュッセウス

オデュッセウス:「そ、それで、ペネロペは?」

母親:「今のところ、首を縦に振ってはおらんが、早く帰ってやらねばどうなるか・・・わしも体を壊してこの有り様じゃ」

オデュッセウスは事情を話して、予言者テレイシアスの場所まで母に案内してもらった。


オデュッセウス:「ありがとう母さん、何も出来なかった俺を許してくれ」

母親:「何いってるんだい、またお前に逢えて嬉しかったよ」

オデュッセウスは母を抱き締めようとするが、虚しく空を掴むだけだった。


予言者テレイシアスの前にやって来たオデュッセウスは尋ねた。

オデュッセウス:「これからの私の旅はどうなるのでしょうか?イタケに戻れるのでしょうか?」

予言者テレイシアス:「これからも苦労は続くが望みはある。それと太陽神ヘリオスの家畜に手を出さぬことだ」

オデュッセウスは何の事かわからなかったが、家畜には気を付けることにした。


冥界の出口へと向かうオデュッセウスに、また白い影が近づいてくる。

白い影:「久しぶりだな」

オデュッセウス:「あ、あなたはアガメムノン様」

白い影は、トロイア戦争で総大将を務めたアガメムノンだった。

アガメムノン:「聴いてくれオデュッセウス、ミケナイに戻った俺は殺され、后の愛人に王位を奪われた。女だけは、女だけは信じるんじゃないぞ!」

オデュッセウスはアガメムノンのあまりの悔しそうな表情に言葉もなかった。


続いてやって来たのはトロイア戦争の英雄アキレウスだった。

アキレウス:「どうして俺はこんな所に来てしまったのか・・・ここは何もない世界だ」

オデュッセウス:「あなたの名声は今も各地にとどろいています」

アキレウス:「俺の息子はどうなった?」

オデュッセウス:「ネオプトレモスなら、立派に活躍をして戦利品をもって故郷に帰っているはずさ」

アキレウス:「そうか、よかった」

そういって、アキレウスはオデュッセウスのもとを去った。


白い帆船に乗り込み、キルケから渡されていた蝋燭に火を灯すと、

白いモヤははれ元の場所に戻っていた。

キルケのもとに戻ったオデュッセウスは、キルケと最後の夜を過ごす。


キルケ:「無事に戻れたようだな」

オデュッセウス:「少々肝が冷えたがな」

キルケ:「最後の夜だ、お前に私からの最後の忠告をしてやろう」

そういって、キルケはオデュッセウスを寝室に招き入れた。



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