一眼の巨人
10年続いたトロイア戦争に終止符を打った木馬計画。
立案者のオデュッセウスは故国イタケの帰路につこうとしていた。
オデュッセウス:「これでやっと故国イタケにかえれるな」
荷物をまとめ、多くの戦利品と捕虜を船に乗せ、
オデュッセウスの大船団は故国イタケへ向かった。
順調に航海を進めていたオデュッセウスだったが、嵐に見回れ
進路を大きく外れアフリカ大陸のリビアに辿り着いてしまう。
そこにはロトパゴイという人々が住んでいた。
ロトパゴイの人々は、ロトスという花を食べて生活していて、
オデュッセウスの部下たちも、ロトスの花をわけてもらう。
部下:「これはうまいな」
甘美なその花の味に部下たちは次第に虜になっていく。
部下たちは、疲れからかウツラウツラと眠りについてしまう。
戻らない部下を心配したオデュッセウスは部下たちを探しにいく。
部下を見つけたオデュッセウスだったが、部下たちはここで暮らしたいと言い出し、
望郷の念を失ったいた。
ロトパゴイの人々はオデュッセウスにもロトスの花を食べさせようと、
ロトスの花を差し出すが、虚ろになっている部下たちを目の当たりにしているオデュッセウスは
警戒して食べようとはしなかった。
オデュッセウスは無理やり部下を船まで運ぶと、強行に出発させた。
星空を見上げながら、オデュッセウスは呟く。
オデュッセウス:「どうやら南に来すぎてるらしい。北上しないと」
船を北上させた一行は、シチリア島をペロポネソス半島と思い込みイタリアの地へやってくる。
その寄港地の洞窟でヤギや羊、チーズを見つけた一行は宴会をはじめる。
部下:「こりゃいい、久々のごちそうだ!」
オデュッセウス:「まて、こりゃ誰かが住んでいるぞ」
部下:「かまいやしませんよ、この人数だなんとかなる」
しばらくすると地響きがしだす。地震か?
そして辺りが暗くなったかと思うと、大きな一眼の巨人がこちらを覗き込んでいた。
一眼の巨人:「おまえら何してる」
慌てて逃げ出す部下たち。巨人は部下を捕まえると引き裂き口へ放り込んだ。
あまりの出来事に、一同は凍りつきとらえられてしまう。
一眼の巨人:「お前たちは今日から俺の食料だ。毎日2人ずつ食べていくことにする」
部下:「なんてこった」
部下:「もともと俺たちがヤツの食料を食ったのが原因だからな・・・」
次の日、一眼の巨人は岩で洞窟の入り口を塞ぎ外へ出ていく。
オデュッセウス:「なんとかしないとな・・・」
オデュッセウスはしばらく考えて、部下たちに指示を出した。
部下たちは、洞窟にあった木の柱を削り先を尖らせた。
オデュッセウスは部下たちの酒を集めた。
日がくれ岩の扉が開くと一眼の巨人が入ってきた。
一眼の巨人:「あー腹が減ったなぁ」
一眼の巨人はオデュッセウスたちを物色する。
オデュッセウスは、ニコニコしながら一眼の巨人の前に進み出た。
オデュッセウス:「旦那、食事の前に一杯どうかと思って、酒を用意しました」
一眼の巨人:「酒?・・・俺は腹が減ってるんだ」
そう言うと、ちょっと太った部下をつまみあげ口の中に放り込んだ。
悲鳴とバリボリという音と共に、口から血が飛び散った。
オデュッセウスは顔をひきつらせながら、酒を勧めた。
一眼の巨人は、オデュッセウスの差し出した壺を指で挟みキュっと飲み干した。
一眼の巨人:「うまいな」
オデュッセウス:「もっと飲みたければ船の中にまだ沢山あります」
一眼の巨人:「その手にはのらんぞ、そう言って逃げるつもりだろう」
オデュッセウス:「とんでもありません、それなら私が残って部下に取りにいかせましょう」
部下は船から酒を持ってきて、一眼の巨人に飲ませた。
機嫌をよくした一眼の巨人は、オデュッセウスの名前を尋ねた。
オデュッセウス:「私の名前はウーティスと申します」
一眼の巨人:「ウーティスか気に入った。お前は一番最後に食べてやろう」
食事を終えた一眼の巨人は高いびきをかきながら眠りはじめた。
オデュッセウスは手はず通り部下に指示を出した。
部下たちは、先の尖った柱を担ぎ、一眼の巨人の目を突き刺した。
きゃあああぁぁーーー!
一眼の巨人の悲鳴が洞窟内に響き渡った。
その声を聞いて他の巨人たちがやって来た。
他の巨人が岩の扉を開けると、羊たちが一斉に飛び出した。
巨人たち:「ポリュベモス!誰にやられたんだ!」
ポリュベモス:「ウーティス!」
巨人たち:「ウーティス?」
巨人たちは、意味がわからず洞窟をあとにした。
ウーティスはギリシャ語で「誰でもない」の意味だった。
オデュッセウス達は羊の腹にしがみつき洞窟を脱出する事に成功した。
潰れた目を押さえながら、洞窟を出てくるポリュベモスに対し
出港した船の上からオデュッセウスが叫ぶ。
オデュッセウス「このウスノロ!俺の名はオデュッセウスだ!」
極度の緊張感から解放されたオデュッセウスは、大笑いした。
ポリュベモスは悔しそうに地の岩を掴み海に向かって投げつけたが、
オデュッセウスの船に当たることはなかった。