初日
俺は朝日 海斗。なんの変哲のない普通の高校3年生。普通は普通なりの夏休みを過ごすと思っていたが、訳あって今年の夏は4人の少女たちと暮らすことになった。
「それでは今から第〜回夏休み会議を行います。司会を務めさせていただきます、お兄ちゃんの妹である咲です。よろしくお願いします」
「なんか唐突に始まったんだけど...」
「発言する場合は手を挙げてください」
「はいはい、わかりましたよ」
なんの会議かは詳しくは分からないが何らかの会議が始まった。
「それでは第1号議案について話し合いを始めます。」
「第1号議案ってなんだよ」
「この夏休みにしたいことを皆さん意見があったら発表してください」
(単純に何するか予定を立てるだけかよ)
俺はそう思いながらもみんなが何をしたいのか少し興味を持ちながら話し合いに参加した。
「は〜い!」
「それでは名前を言ってから発表してください」
「いや、名前知ってるだろ!」
「海斗の仲良し幼馴染の明菜で〜す」
「誰が仲良しだって〜?」
「意見があるなら手を挙げてください!」
「はいすいませんでした」
「うちは、海に行きた〜い!」
『おー!』
女子3人が同じ反応で意見を聞いていた。
「なるほどそれはいい案ですね。決定にします」
「お前が決定すんのかよ」
「他にありますか?」
「はい!」
「ではお名前と...」
そんなこんなで会議という名の話し合いが進んでいった。
〜2時間後〜
「それでは、今日決まったことをまとめて話します。今年の夏休みは、海に行く、祭りに4回は行く、肝試しをする、街にみんなで買い物する、旅行する、キャンプするの7個に決まりました。賛成の方は拍手をお願いします」
『パチパチパチ』
みんなが拍手して賛成を表していた。だが俺は拍手しなかった。
「あれ?お兄ちゃんは賛成じゃないんですか?」
なぜなら...
「うわっ、海斗顔真っ赤っかだよ!...おでこも熱いし熱があるよ!」
「それは大変だ〜お兄ちゃんしっかりして〜」
「海くん!大丈夫か?早く上に行ってベッドで横にならなきゃ!」
「海斗さんに誰か水をあげてください!」
「私が持ってくる!お兄ちゃん待っててね」
長い間換気もしないエアコンもつけない部屋で水分をとらずにただ2時間座り続けていてあまりの暑さに倒れていたからだ。何故か4人だけは水分をとっていたというのに。
(俺のも...準備しとけってんだよ...)
そう思って俺は意識を失ってしまった。
「...ん?ここは...家か...」
目が覚めると見慣れているソファに寝ていた。
「そうだ...馬鹿みたいな話の最中に意識が遠くなって、んでこのざまか」
今の自分に恥ずかしくなったのか俺は鼻をすすりクスクスわらっていた。
「ん?なんだ?」
太ももに妙な違和感を感じた。なんかぷにぷにしたというかちょっとした風が来るというか波打っているというか、
「!?」
「ん?あ〜起きた?」
「な、な、な、なにしてるんだよ咲!」
「何って、お兄ちゃんが倒れたから心配で看病してたんだよ?」
「あいつらは?」
「買い物に行ってもらったよ」
「そうなんだ」
「あの3人が来てからお兄ちゃん、私に構ってくれないからさ、こういう時に自分からでもと思って...ね?」
「!!」
こんなに俺に甘えてかつ可愛い咲は見たことがない。なんというか...惚れそうだ。
(まさか本気なのか?)
「...お兄ちゃんのこと一番好きなのは...咲だから(((ボソ」
「ん?なんか言ったか?」
「何でもない!ほらほらもうすぐでみんな帰ってきちゃうから!起きて起きて!」
「一応病人なんですけど〜」
俺は半強制的に起こされた。けれどあまり起こっていなかった。それは何故かって?
万遍の笑顔の咲を見れて嬉しかったからだ