2、依頼と周りの視線
「はぁー...疲れたぁ.....」
「お疲れ様です。こちらへどうぞ。」
ハクアがティーテーブルの上に紅茶(?)を置いた。
なぜハテナがつくかって?色が紅色じゃなくて蛍光ペンの黄色に近いって言うかそのままの色だからだ。
でもすごく美味しいのは確か。
香りも強すぎず弱すぎず丁度いいくらい。味はストレートティに近い。
「おいしぃ、やっぱこれだァ...」
「お褒めいただき光栄です。」
ついでにクッキー(多分お手製)を出してくれた。
これもまた美味しい。
甘すぎないから紅茶にぴったり。
「んまぁ〜、やっぱハクアは天才だね!」
「お褒めいただき光栄です。」
綺麗すぎるお辞儀。見惚れるね。
ここで気になったことを聞いてみた。
「ねぇねぇハクアー?PT二人じゃやだ?」
「いえ、そんなことございません。ソウ様のお好きなようになさってください。」
今日の装備品の手入れをしながら答えてくれた。
PTかぁー...。オレは二人で充分だと思ってるけど...まぁ、場合によりけりかな。
「ふわぁぁ...、ハクア〜もう寝るね〜。おやすみ〜。」
「おやすみなさい。ソウ様。」
オレは意識を夢の中へと手放した。
「ソウ様、私はソウ様といつでも一緒です。この身を救われてから、私の身はソウ様のものです。ソウ様のなさりたいように、してください。」
寝ている顔を愛おしそうに眺めながら、呟いた。
△▼△▼△▼△▼
日が明けた。
「ソウ様、朝でございます。」
「んむぅ〜...、おはよぉぉ.....」
目を擦りながら起床。
ハムと卵のサンドイッチと薄い味付けの野菜スープ。そしてオレンジ。
今日の朝食も美味しそう。
「いただきまーす...」
でも朝が強くないのでテンションは低め。
食べ終わる頃にテンションが上がってくる。
パンには野菜スープだなぁなんて考えながら優雅に食事。
ハクアの料理は一流とかそんなものじゃなくて中毒性がある。
ほかの人には食べさせたくないくらい。
「ふぅ、ごちそうさま!行くぞハクア!」
「かしこまりました。」
食べ終わりギルドへ向かう。
もちろん抱えられて。
△▼△▼△▼△▼
ギルドへ入った途端に視線が向けられる。
それもそうだ。
なんせオレの見た目は幼女。
しかもその従者の見た目も元の世界なら中学生かそこら辺だ。
視線が向けられるのも分かる。
もしオレが周りの人なら凝視しちゃうと思う。
「今日はどんな依頼になさいますか?」
「んー、...なんでもいいかなぁ...」
Sランクの掲示板の前で悩む幼女とその従者。
まじかよ...や、うそだろ...とかそんな声が聞こえる。
まぁ誰だって思うよな。
オレだって多分同じこと思うぜ。
そんな中オレたちに声をかける輩がいた。
「おいおいにぃちゃん達、ここはSランクの掲示板。F~Aランクはあっちだぜ?」
見るからにフラグ。
しかも半年は活動してんのに馬鹿な輩もいるもんだな。
「おっちゃん。掲示板間違えてないんですけど?」
「あァ?お嬢ちゃん、言葉には気ィつけろよ?」
冒険者カードをおっちゃんに見せる。
自分が見るなら魔力を流さず書いてあるのを読めばいい。
でも拡大したいなら少し魔力を流せば浮き出て周りにも見えるようになる。
「おっちゃん、私ら、SSランクだけど何か文句あんの?」
おっちゃんと傍観者たちは顔を青くした。
「あ、...悪魔の、異端児.....。オレ、聞いたことあるぞ!?」
声のした方を見る。
明らかに弱そうな若者が指さして震えてる。
「戦場を駆け巡り、依頼された軍や人を勝利へ導く魔術師、だとか.....化け物じみた、幼児...ひぃ!?」
最後の悲鳴に違和感を感じた。
そして隣から威圧──と言うより殺気の方が正しい───が感じられた。
ハクアだった。
「ハクア、抑えて。」
「あの輩、ソウ様を侮辱したのですよ?」
「気にしてないから。あ、この依頼を受けたいな。これにしましょ!イルベスさーん!!」
受付嬢の人気No.1 イルベス・ファイメストを呼びつけた。
彼女は数少ないオレの信頼できる人。
ギルマスにオレの強さを語りに語ってSSランクまで最短で引き上げてくれた人だ。
「はいはーい!あ、ハクアくーん?落ち着いて〜?」
目の前に知り合いが来たからか、落ち着いたハクア。
「取り乱してしまい、申し訳ございません。」
「気にしなくていいのよー?この依頼にするの?ちょっと待っててね〜。」
オレの手から依頼書を受け取ってカウンターへ戻っていった。
そう言えばなんの依頼かよく見てなかったなぁ…。
と思いイルベスさんに聞いてみた
「はい、ホワイトウルフ25体の討伐+αで殲滅もあり。依頼完了後に調査隊を派遣して殲滅確認出来たら別で料金が払われるわ。」
ホワイトウルフとは言葉通り白い狼。Dランク相当のグレートウルフとは桁違いの強さ。
ホワイトウルフ1匹に対し、グレートウルフ2、3体の力。
それが集団になって襲ってくるからA~Sランクの依頼となっている。
「また二人でいくの?」
イルベスさんが聞いてくる。
「私のPTはハクアだけですので。行こう。」
「かしこまりました。失礼します。」
イルベスさんにオレを抱えたままお辞儀をして歩き出す。
「気をつけてねー!」
って言葉を背中で受け止めながら。
やっぱ周りの目線って痛いし怖いし...ですよねー。って作者だけかな!?
次回、始まりの時までぶっ飛ばします!
時間巻き戻しの魔法とかあったらいいですね!
ホワイトウルフは次の次でお会いしましょう!