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noblesse;oblige  作者: 夏桜羅(原案・設定協力)、雪羅(原作・執筆担当)
第4章 連鎖 -butterfly effect-
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連鎖 -butterfly effect- 21

「噂には聞いていたのだけれど。『双剣』、化物じみた強さね。敵ながら敬服せざるを得ないわ」


 ルイーズが感心する間にも、双剣を帯びた黒いMCは、次々と騎士団のMCを斬り伏せていく。すでに損害率は3割を超えている。その全てがたった一機の『双剣』の使い手によってもたらされたものであるなど俄かに信じがたいものがあった。

 幸い、絶え間ない攻撃に晒されているせいか、黒いMCは戦闘能力を奪うことに注力しており、MCの損耗率に比べ、人的損害は微々たるものではある。しかし、戦況が傾きつつあるのは事実だった。

 その上、6機の黒いMCが後方に確認されている。第一陣のファランクスを翻弄している銃使いと合流されれば、陣形が崩壊する危険性もあった。

 乱戦になればむしろ、先行してきた双剣と双銃の使い手たちのような、単独で高い戦闘能力を持つ切り札(ジョーカー)の方が強い。

 天馬騎士団の騎士はみな厳しい訓練を乗り越えてきた者たちではあるが、あの二人に比べれば凡夫と評価せざるを得ない。

 しかし、どれほど単独で優れた英雄であっても、それだけでは勝てないのが戦いだ。

 戦史を紐解けば、英雄と言われた者たちを打ち破ってきたのは、用兵家の戦術と戦略であり、また、名も残らぬ凡百の兵士たちであることは自明である。

 だからこそ、機械的(システマチック)に、戦略的(ストラテジック)に、勝利を掴まねばならない。彼女はまさしくその用兵家で戦術家であるのだから。


「トウカ、あちらはどうかしら?」


 ルイーズは表示された映像から目を逸らすことなく、そう言った。

 すると、彼女と同じようにマイクと一体になったヘッドホンを被った黒髪の侍女ーートウカは、すぐさま答えを返した。


「お嬢様、すでの配置は完了しております」

「そう。なら、あちらから二方向に分けて部隊を向かわせるように伝えてちょうだい。『双剣』を仕留めるわ」

「承知しました」


 そのためにも『双剣』のMCを足止めしなければならない。注意深く件のMCの動くを追っていたルイーズはあることに気付いた。


「あら?」


 見たところとにかく陣の奥へ奥へと切り込んできている。戦闘開始初期に比べ、明らかに攻撃の手が減ってきている。まるで奥に進むことそれ自体が目的であるかのように。

 もしそうなら、あのMCのパイロットが考えていることは一つだろう。


「指揮官を探している、ということかしら?」


 しかし、あの場に指揮官はいない。むしろ、指揮官をあえて外して作った部隊だ。指揮官は、上空から常に戦場を俯瞰しているのだから。指揮系統の混乱を避けるためにもそれが妥当だと判断した結果だった。


「ふふっ……なら、やりようもあるというものね。騎士(ナイト)部隊、抜剣。(バリスタ)部隊は距離を取りつつ、ファランクス隊を援護なさい。『双剣』は抜かせていいわ」


 命令に対する返礼が返ってくるのを聞きながら、ルイーズはトウカに問いかけた。


「何分かかるかしら?」

「おそらく、10分ほどかと」

「助かるわ。騎士(ナイト)部隊は10分だけ時間を稼ぎなさい。団長がそちらに向かうわ」

『了解!』


 威勢良く返ってくる返事を聞いたルイーズは、厳しい表情で戦場を見つめつつも、


「さあ、踊りなさい。でも、このままではチェックメイトよ? 『双剣使い』さん?」


 そう、宣言した。

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