蜂起 -rebellion- 16
「してやられたな」
シェリンドン・ローゼンクロイツはコックピットでひとりごちた。
エネルギープラントの破壊という想定外に気を取られ、一連の流れで逃走を許してしまった。
もちろん、追うこともできた。シェリンドンには、〈ガウェイン〉を撃てるタイミングが、わずかな時間だけだが、確かにあったのだ。
しかし、彼は撃たなかった。撃とうと思えなかったのだ。
出来レースばかりのつまらない戦場の中で見つけた、異分子の少年が見せた力。そして何より、あの双剣の使い手であること。それが、彼の興味を引いて止まなかった。
まだ、未熟な部分も荒削りな部分もあれど、素晴らしい技量と思い切りの良さ。
いずれ自分を超えるかもしれないと思うと、その惜しさに引き金を引くことを躊躇ったのだ。
そして、気になることはもう一つ。
「しかし、あの狙撃……」
衝撃波で揺れるヘリの上から、舞い上げられた砂塵で視界が制限されている中でのあの正確な狙撃。常人に可能な技ではない。
おそらく、資源プラントの破壊もあの狙撃手の仕業だろう。
(あれほどの狙撃を行える人物がそんなにたくさんいるものか……? もしや……)
「ふっ、まさか、な……」
自分の脳裏に浮かんだありえない考えを振り払うと、ヘリの消えた方角をしかと見据える。そして、あの真紅の瞳の少年へと、語りかけた。
「次に会う時は、腕を上げてくるといい。楽しみにしている」




