好みと持論なのです
ヴィン君はなんと王子様らしいのです。秘密だよ、とちょっと照れくさそうに教えてくれたのですが
「そんな大切なこと、私に教えてしまって大丈夫なのですか?」
「ユーはみんなに言わないだろ?」
「もちろんなのですよ。口は固いですよー」
「だからだよ。それに、友達、だし。友達には嘘付きたくないんだ、俺。」
なるほど、それは同意できるのです。何でもかんでも友人に話さなければいけないなんてことはないですがなるべくなら嘘や後ろめたい秘密は少ないほうがいいに決まっているのです。持論ですが。
教室に各自割り振られた席に座り、担任の先生(若い女性)のお話を聞きつつ自己紹介の内容を考えます。
(うーん、『ユーリュシュフィアです。趣味はお裁縫です、よろしくお願いします』でいいですかねぇ?あまりこったものだと引かれそうですし)
「…アルヴィンです。趣味は読書です。なにかあればできる範囲で頼ってください。よろしく。」
ヴィン君がにっこり笑いながら自己紹介をすると周りの女の子たちが黄色い声をあげます。む?あの作り笑いよりさっきの自然な笑顔のほうが私は好きなのですよ。なぜに先生まで顔を赤らめているのですか、犯罪ですよ。
私の自己紹介もつつがなく終わり、お隣の女の子二人と仲良くなれました。この二人はヴィン君にキャーキャー言わない貴重な子たちでした。タイプではないそうです。
「エレンちゃんはどんな人がいいのですか?」
エレンちゃんはふわふわとしたオレンジのセミロングでかわいい子なのです。
「私はねー、アルヴィン君みたいな王子様!じゃなくておっきくて逞しいおとーさんみたいな人がすきー。細マッチョになりそうな男子より筋肉がよく付きそうな男子をさがしてるの。」
「へー…じゃあアンちゃんは?」
アンちゃんはおかっぱで赤髪の活発な子。
「あたしはまだ男子に興味ないだけかな。女の子としゃべっていたほうが楽だし、男子ともスポーツで競うくらいだし。」
「ふむ。なるほど。」
「「ユーリは?」」
「ぬー?私はヴィン君のお友達第一号なのです!ほかの男子とはまだしゃべったことないのでわかりませんよ。好みは…そうですね。私と苦楽を一緒にできると思えるような人がいいですねー」
「はわー、私の好みも割とニッチなんだけどユーリも渋いねー」
「渋いというか…達観しすぎかも。」
「ですかね?でも楽しいと思えて苦しいときも一緒に過ごせることはすてきだと思うのですよ。」
「「わかるー」」
そんなこんなで話しているとヴィン君が女の子の群れから這いずるようにこちらに来ました。
「ユー、行こうか。」
「はーい、なのです。二人とも、また明日なのです。」
「あ、生徒会室行くんだっけ?じゃあまた明日ね。」
「ばいばーい」
手を振りながら教室を出るとき女の子たちの殺気こもった視線をもらいました。ううん、恋する乙女は何をしでかすかわからないから怖いですね。男友達でさえ邪魔者扱いとかする子もいるらしいですがそこまでしたら相手の自由がなくなってしまって逆に心は離れていくような気がするのですがね。
「ユー、何かされたら教えてね。」
「ん、わかったのですよ。でも心配ご無用!言われなくてもヴィン君に頼りまくるつもりだったのですよ。男手が必要になったりとか、戦闘とか。私はわがままですよ、覚悟するといいのです!」
「うん、うれしいよ。」
その発言はマゾみたいなので一応気を付けましょうね、ヴィン君。