入学式にはイベントがあるらしいのです
こちら、入学式会場。私は指定された席に座って式が始まるのを待っているのです。まだ始まらないのですが、私がワクワクしている隣で男の子が少し不安げにしているのです。
「…どうしたのです?おなか痛いですか?」
「!…いや、俺は…」
「あ、わかったのです!友達ができるか不安なんですよね?大丈夫なのですよ、私が友人第一号なのです!」
むん、と拳を握り力説すると彼は一瞬ポカンとした顔になったあと、クスクスと笑い、スッと手を差し出してきました。もちろん両手でギュッとするのですよ。
「ありがとう、俺はアルヴィン。よろしく。」
「ん!私はユーリュシュフィア。ふつうはユーリって呼んでもらうところだけど、せっかくだからユーって呼んでほしいのです。」
「わかったよ、ユー。…あ、そろそろ始まりそうだよ。」
「んむ、じゃあお口にチャックするのです。ジーっ」
口をなぞるようにして静かにしようとしたらヴィンくんがまたクスクスと笑ったのです。むう、さっきまで不安そうだった君はなんだったのです?とちょっとむくれていたら生徒会の人がステージに上がって話をし始めました。
『新入生諸君、入学おめでとう。私は生徒会小学部会長レイナルドだ。諸君たちには充実した学生生活を送ってもらいたいと考えている。時として戦闘などの望まないこともやむを得ずしなければならないこともあるだろう。だが、それは諸君のためである。心して勉学に励むといい。以上だ。』
銀髪のきれいな髪をしたレイナルド先輩はこちらをちらりと見、優しく微笑んだ…ような気がしたのです。
「…やっぱり、あいつも…」
「…?ヴィンくん、何か言いました?」
「いや、何も。ユー、後で生徒会に行ってみようよ。俺、あのレイナルドとかいう人と話をしたいな。」
「む?良いですが…あ、ヴィンくん生徒会に入りたいですか?あれって立候補制でしたっけ…推薦制でしたっけ…」
むーんと腕を組んでいる私を目を細めて楽しげに見ているヴィンくんの考えていることは私にはわからないのでした。