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如月弥生の「完全回復」は世界を救えるのか。  作者: ほーらいたけ


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4/4

如月弥生の場合1

遅筆で申し訳ない。

もともと人を助けるのが好きだった。


学校でのボランティア活動への参加や、イベントのボランティア募集にもちょこちょこ参加していた。結果として報酬がもらえればよかったのだけど、そうでなくとも何か自分の存在理由がそこにある気がしていた。


社会人になった後もわりかし献身的に仕事をしたが、おかげさまで過労で倒れ、入院中に解雇された。仲の良かった同僚は在籍中から気にはかけてくれていたが、結局無下にしてしまった。


そこでようやく自分の善意(だとも思っていなかった行い)が他人に悪用されるのだと、そんな社会がこの世に存在するのだと気が付いた。


幸いにして後遺症もなかったし、残業を行っていた証拠は残っていたため、労働審判である程度回収できたので、しばらくのんびり暮らしていたところだった。


宗教家は審判の日が来たと嘆いた。

科学者はテレビでよくわからないことを喚き散らした。

SNSは不確かな情報とデマで阿鼻叫喚の地獄絵図となった。


何が起きたかは誰にもわからなかった。

突如として異形の者たちが現れてすべてを破壊尽くしてしまった。


盛者必衰、こんなにもあっけないものなのかと思ったものだ。


発生源がどこかにあったのか、化け物は暴虐の限りを尽くすとどこかへ移動していった。空白地帯では生き延びた人々の食糧争奪戦が開幕、街は荒れに荒れ果てた。人の亡骸が街中にあふれ、異臭を放った。私を含め生き残った人間は都心を離れて怪物に見つからないように彼らの後を追って難を逃れた。


その後、自衛隊と米軍による絨毯爆撃によってモンスターパレードは壊滅し、死者推定3000万人という巨大災害として記録された。


その後、怪物らの発生源が特定され、自衛隊と米軍による管理のもと一応の封じ込めに成功した。

SNSなどではダンジョンと呼ばれたが正式名称はいまだに決まっていない。


私はその後、逃避行中に出会った男性と結婚をし、子供を産んだ。

女の子だった。


私たちはその子に弥生と懐けた。

彼の名字が如月であったということと、生まれたのが2月29日だったから。

ひとしおに嬉しかった。


都市部の復興は進むが、田舎の小さな町で3人で静かに幸せに暮らす。

貸してもらった畑で野菜を作り、夫は国による徴用に応募し、近くの被害地の復興作業を行った。

昔の自分だったら迷わず手を挙げていたが、奴らの恐怖と、娘の存在がそれを止めてくれた。


海外からの支援もあり、およそ13年の月日を経て、日本の復興はある程度目途が立つ。

ダンジョンにも堅牢な施設と壁が建築され、1匹でも出てこようものなら瞬時に処理されるような仕組み作りがされ、忌避されながらもそこにあり続けていた。


そんな時に、もう一波乱起きていたのだった。



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