沖田総司、紹介状で大騒ぎ ―ヒートショック外来の真相―
◆町医者にて
近藤勇をお風呂から出そうとして、湯気と酒気に当てられ失神してしまった総司。
この湯あたり体質を改善しようと、総司は新撰組出入りの医者の元を訪れた。
「おお、ちょうどいいところがあるよ」と町医者が渡したのは、幕府大学洛中病院の紹介状。
「“ヒートショック外来”…? まあ、主に年配の方が行くところだが、勉強になるよ」
総司は屯所へ戻り、自室の机に紹介状を置いたまま剣術の稽古へ。
そこに井上源三郎が通りかかる。
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「おや? 台紙つきの封書…おお、これ“紹介状”じゃないか…?」
ぱらりと開くと、そこに書かれた文字。
『ヒートショック外来 幕府大学病院』
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「ひ、ヒートショック…!? 心臓系の急病!?
まさか総司が…!?」
井上は血相を変えて近藤の部屋へ駆け込む。
「近藤さん!! 大変ですッ!」
「な、なんだ源さん!? 火事か!? 襲撃か!?」
「総司が…紹介状を…心臓の…ショックが…!」
「な、なんだとォーーーッ!?
それは命に関わるやつじゃないか!!」
紹介状を読む近藤の顔が一気に真っ青になる。
「ひ、ヒートショックって…熱でショックだろ…?
お風呂で倒れた総司…やはり重症だったのか…!」
「お、落ち着いてください近藤さん!」
「落ち着けるかァァァァ!! 総司が…総司が…!」
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稽古場から戻った総司は、突然両肩を掴まれて揺さぶられた。
「総司! お前、なんで黙ってたんだ!!」
「え、えっ!? 何のことですか…」
「紹介状だ! 心臓が危ないんだろ!?
…心臓!? ち、違います! そんな重い話じゃないです! 誤解です!」
総司が説明しようとしても、近藤は取り合わない。
「とにかく病院行くぞ! 今すぐだ!」
総司は近藤をひっつけたまま病院へ行くことになった。
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「総司、歩けるか…? 俺の肩、貸すか…?」
「ちょっと、そんな深刻じゃないんですって!」
「遠慮するな…! お前は俺の隊士なんだからな…!」
完全に“余命を宣告された子を支える親”みたいな空気になっている。
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◆真相:ヒートショック外来とは?
「ヒ、ヒートショック外来とは…心臓の病ではないのですか…?」
診察室で震える近藤。
医師は淡々と説明する。
「いえ、お風呂の急激な温度差でのぼせたり倒れたりする人が多くてですね。
いわば“安全入浴の指導外来”です」
「…入浴外来…」
「そうです。心臓病とかではありません。おお、ちょうどこれから午後の部が始まるなあ。
よかったらご一緒にいかがです?」
近藤と総司は医師に連れられて再び“入浴安全教室”へ。
近藤は真剣にメモを取る。
「…かけ湯をして…ゆっくり入る…うむ、これは大事だな…!」
「先生は お酒飲んだら入らない!ですよ。」
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「総司…命に別状なくて本当に良かった…!」
「だから、最初から言ったじゃないですかー」
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◆屯所に戻ると…
楽しい入浴外来から戻った総司と近藤だが、待ち構えていたのは腕を組んだ土方歳三。
「…で?」
総司はひくりと肩をすくめる。
「で、とは…」
「“心臓が危ない”って話、俺だけ知らされてなかったのはなんでだ?」
あわれ、総司は またも両肩を掴まれ
揺さぶられる運命なのであった。
つづく
読んでいただきありがとうございます。
いよいよ登場、安全入浴指導外来!
次回のやらかしも、どうぞお楽しみに。




