土方歳三 口うるさくも理由あり
ーーーーーー斎藤が、いつもの縁側へ行くと――
永倉と原田が、のんびり茶をすすっていた。
「……総司は?」
斎藤が問うと、永倉が少しだけ気まずそうな顔をする。
「祭りが始まっちまってな。三、四日、休みだとよ」
「祭り?」
「自家中毒だとよ」
「……何だ、それは」
原田が肩をすくめる。
「細身のやつがたまにやるやつだ。
体の中の火が強すぎてよ、急に――」
永倉が指で円を描きながら言う。
「ゲロゲロ祭りが始まる」
「祭りと言うな」
「いや、ほんとに始まるんだって。
急に吐いて、でも三、四日でケロッと治る」
斎藤は眉をひそめる。
「ゲロゲロ、ケロット?」
「そんな病があるのか」
「あるある。
俺の弟も子どもの頃しょっちゅうやってた。
まあ、赤ん坊の病なんだけどな」
「……総司だしなあ」
原田がぽつりと付け足す。
「でよ。少し大きくなれば、
まあ、つまり、肉がつけば治まってくるって話でさ」
斎藤は、そこで察した。
「……副長が、口うるさく言っていた理由か」
「そうそう。燃料ギレで起きるやつだからさ、
稽古上がりに甘いもん食わせてたら、しばらく起きなかったんだ」
「ところが」
永倉が茶をすすり、
「甘いもん食うと、夕飯が入らねえって控えたら――
はい、祭り再開」
斎藤は静かに目を伏せた。
「……なるほどな」
「今は井上さんのとこで寝てるよ。
静かだし、吐いたらすぐ気づく」
原田が苦笑する。
「副長もなあ。もっと優しく
説明すりゃいいのに、
『太れ』『食え』しか言わねえから」
斎藤は、縁側の先を見た。
土方さん 口うるさいような、口足りないような、、微妙だな
湯呑みの湯気が、ゆっくりと立ちのぼっていた。




