沖田総司 皿の重みに怒る
新選組・屯所――夕餉の時間。
隊士たちの笑い声が飛び交う中、ひとりだけ膳とにらみ合う男がいた。沖田総司である。
近藤勇の体重管理に乗り出した土方歳三は、
痩せがちな総司の体重も管理しようと思い立った。
その結果が、これである。
(……また、増えてる)
目の前には周囲より明らかに“盛りがいい”膳――いや、“盛りが暴走した”膳。
総司は途方に暮れる。
しかも残せば土方に怒られる。
“健康管理担当”の目は、鬼より怖い。
横を見ると、ダイエット中の近藤が質素な皿と向き合っていた。
「よし、今日もヘルシーだ! 落ちるぞこれは!」
総司は羨望のまなざしを送る。
(いいなぁ……ぼくの皿もそれくらいでいいのに……)
しかし現実は“山”。しかも昨日より高い。
観念した総司は、周囲をこっそり確認して――
すっと自分の小皿の煮物を、近藤の皿へ滑り込ませた。
「……よし」
完璧な忍び技。近藤は気づかず食べ終わる。
ところが。
「総司ぃ……それ、誰の皿に入れた?」
真後ろから声。振り向けば、腕を組んだ鬼の土方。
「ひっ」
「総司。お前、最近近藤さんの皿にいろいろ増やしてるよなぁ?」
「え、えぇと……幻覚では?」
「俺の目が節穴に見えるか!!」
机がずばぁん、と揺れた。
「近藤さんのダイエットが停滞してる原因、まさかと思ったらお前か!」
怒られる理由はわかる。だが総司にも言い分はある。
「し、仕方ないんです! ひっ 土方さん、残したら鬼のように怒るじゃないですかあ。
ぼく、胃の容量は無限じゃないんですよ!?」
その時、当の近藤がニコニコ登場した。
「いや、最初は少し物足りないと思ったけど、こんなに美味しいものが出てくるなんて、ダイエット食って侮れないなあ。こりゃ、健康にもいいんだろうし、これで十分だよ。」
(違う。全部、総司の隠密盛りだ……)
土方は深いため息をついた。
なぜ気づかない,近藤!
新撰組局長、そんなにぼんやりしていいのか、
体重管理 本当に難しいと思います




