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湯屋騒動 酔いどれ近藤勇 やらかしました。



深夜。

沖田と斎藤の部屋に、足音をバタバタ響かせて小姓・鉄之介が駆けこんでき。


「た、たいへんです! 近藤先生が……よっぱらって、お風呂で歌ってて!」


「えっ、えぇ……?」

夜間巡察から戻ったばかりの沖田は、木屋町周辺の揉め事で疲労困憊だった。

“面倒だ……”と心の中で呟きながらも、斎藤とともに湯屋へ向かう。


近づくにつれ、むんとした熱気が通路まで押し寄せてくる。


戸を開けた瞬間――


「うわっ……酒くさっ」

沖田は鼻を押さえ、斎藤は眉をひそめた。


湯気の奥、湯船の縁にもたれかかっている男――近藤勇。

完全に出来上がっていた。


「ふおぉ〜……いい湯だぁ……」


「近藤先生、起きてください。ほら、水ですよ水!」

沖田が桶に水を汲んでかけると、近藤はビクッと起き上がり――沖田の肩をがっしりとつかむ


「おおっ! 総司ぃ〜! 今日は宴だぁ! 歌うぞーっ!」


そして、沖田をゆらしながら大声で民謡を歌い出した。


「わっ、ちょっ、先生落ち着いて そんなにゆすられるとっ……!」


「うう、、気持ち悪い、、、」


斎藤が「おい総司、下がれ」と言いかけた時には、もう遅い。

沖田の足がふらつき――そのまま湯船へ倒れ込んだ。


見事な音を立てて沈む沖田。


「総司っ!!」


斎藤はすぐさま飛び込み、沈んだ沖田の腕を掴んで引き上げた。


「永倉さんか原田さん! いや誰でもいい、呼んでこいッ!!」

鉄之介は泣きそうになりながら走り去る。


その間にも、近藤は湯船の縁で立ち上がりかけていた。


「よぉし、次は踊り――」


「させるかッ!」


永倉新八が駆け込み、近藤を羽交い締めにする。


「局長いいかげんにしてくださいよッ!」


「うおっ、新八ぃ〜? 宴かぁ〜?」


永倉は素早く手ぬぐいを近藤の口に押し込み、

そのままズルズルと裸の局長を廊下へ連行した。


――――――――


数刻後。

屯所奥、土方歳三の執務室には冷え切った空気が満ちていた。


その前に正座する近藤勇は、顔面蒼白。

部屋の隅には永倉・斎藤・沖田・鉄之介が一列に並ぶ。


土方の声は底冷えするほど静かだった。


「念のため確認する。今回の件は“新撰組局長・近藤勇の恥”だ。一言でも外へ漏らしたら、全員切腹ものと思え。」


全員が息を飲む。


「だ、だれにも見られてません……よね?」

鉄之介が小声で尋ねると、土方がギロリと目を向けた。


「鉄之介。“裸で廊下を行進した”なんて話が広まったら町中の笑い者だ。新選組の威信は地に落ちる。」


「ひっ……!」


土方はゆっくりと近藤に視線を向ける。


「――で近藤さんよ。言い分はあるか。」


蚊の鳴くような声で、近藤は答えた。


「……面目ない。」


「面目ないで済めば、隊規はいらねぇんだよ。」


永倉が「今日はダメだ……副長マジだ……」と震え声で呟く。


土方は机をコツコツ叩きながら言った。


「酔って風呂で大声出し、湯当たりの総司をまた倒れさせ、斎藤に飛び込ませ、裸のまま永倉に回収されるとはな。」


沖田がそっと手を挙げた。


「副長、僕が湯気で倒れたのは……別に近藤先生のせいってわけじゃ……」


「総司、お前は黙ってろ。」


「……はい」


土方は深く息を吸い――


「新選組は武士の鑑だ。その長があんな無様な姿を晒してどうする。」


近藤は畳に額がつくほど頭を下げた。


「……二度といたしません。」


「二度どころか一度もあっちゃいけねぇんだよ。」


永倉が間に入ったからこそ助かった――

“士道不覚悟”の掟が、全員の脳裏をよぎる。


土方は静かに立ち上がり宣言した。


「よし。今回の件は全員の“墓まで持っていく秘密”とする。万一漏れたら、全員、俺が責任持って地獄見せてやる。」


最後に、キッと見渡す。


「今後一切、隊長の酒の量は俺が管理する。分かったな?」


「……返す言葉もございません。」


屯所の夜は、何事もなかったかのように静かに更けていく。



副長、隊長を完全管理下に置く


湯屋騒動の翌朝。屯所の一室から、紙をめくる音と、嫌なほど落ち着いた声が響いた。

「……よし。できた。」


土方歳三が満足げにうなずいた瞬間、部屋の外で待機させられていた近藤勇は、すでに胃が痛くなっていた。

「と、土方くん。あの、今日はその……」

「近藤、そこに座れ。」


土方が指さした先には、妙に分厚い帳簿が置かれていた。嫌な予感しかしない。


土方は帳簿を開き、さらりと言った。

「今日から、あんたの酒は“完全申請制”だ。」


「一滴飲むにも、理由書つき願い出が必要だ。」


「ええええ、、、、、、」


新制度導入初日。

近藤勇は酒を飲むことを諦め、湯飲みに入った“白湯”をすすっていた。

横で土方が満足げに言う。

「ほら、健康的だろ?」


「お、お手柔らか 頼むよ〜としぃ」

                           


近藤勇 土方歳三 沖田総司など 新撰組には 個性豊かなやらかしメンズがたくさんです


次もお楽しみに

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