表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
I am extraordinarily patient, provided I get my own way in the end.  作者: 天野 乃理子
最終章 王太子とは?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/26

SIDE:Leonard ⅩⅣ

見付けてくださりありがとうございます。

少しでも楽しんでいただけましたら、幸いです。

 オースティンの居なくなった王宮は平和だと思っていた。平和になると信じていたんだけど。


「ジェス! いい加減にしろ!」


 と何故だか毎日怒鳴っている気がする。

 もう、色々と面倒臭い。イタズラするなとは言わない。言わないが人に迷惑はかけるな、とは言っている。人を困らせるだとか、人を傷つけるのではなく、人を楽しませろと。


「暇を持て余しているのなら、働け。」

「え?」


 と驚かれてもね?

 何と言うか、ジェスの行動がどこまでなら大丈夫なのかの確認行動な気がするんだ。かく言う僕にも経験があるんだけど。

 ジェスの場合、物心ついた時には家族と別に住んでいて、その上、父親は忙しく母親は幽閉。兄も継承権をはく奪されて王宮を追い出されている。そんな状態でここに来たからね。

 でも、母が笑って見ている間に止めないと、真面目に大変な事になると思うんだ。だから、そうならない為の公務、と。


「公務を入れるから。取り敢えず、王都にある孤児院を毎日1か所向かえ。」

「え?」


 驚くジェスを無視して話は進めてしまおう。

 そこまで元気が有り余っているのなら、一緒に遊んでついでに勉強でもみて来てくれ。そうしたら、俺が助かるからそう指示しよう。

 俺の知っているだけで10か所くらいあったから、20日は大丈夫だろう。行った翌日は、結果報告のレポート提出って事で、書きあがるまでは机に向かってもらえばいい。


「そこで問題は無いか、必要なものは無いか、子どもに聞いてきて欲しい。」


 そうなんだよ、ここがミソなんだ。

 大人に聞いたって、解決しない。だから、ジェスが向かって、子どもと仲良くなった上で聞き出せばいいんじゃないかって思ったんだ。


「一応、孤児院の子どもには文字と計算を教える事になっている。だから、その確認も頼んだ。」


 神殿の附属が多いから、ヒルダが気にしていたんだよな。

 うん、そうしよう。僕の管轄で何とかなる問題だし。


「一緒に遊んで仲良くなってからの方が話はしてくれるだろうな。」


 と付け足したら、納得した。

 明日からは無理でも、早々に始めよう。大神殿からの通達を出してもらって、リストも出してもらえば問題は無いだろうし。


「で、翌日はレポート提出な。」

「マジで?」

「報告しないでどうするよ。」

「うん、まぁ、そうか。」


 一緒に遊んで話を聞けるだけだと思っていたようだけど、そんなに甘くないよ?

 学園は9月の進級時からに決まったから時間もあるし、他にも出来そうな事を探しておこう。よし、父上にも相談だ。


「それからな、ヒルダは大神殿に通っているんだけど、他の神殿の事もその付属施設である孤児院の事も気にしていたから、喜ぶぞ。」

「本当!?」


 お前さんが喜んでどうするよ?

 と言うか、ヒルダの事が大好きだな。


「そうだな。それから、9月からは初等科の2年に編入するから、ちゃんと勉強もしておけよ。」

「うん、任せて!」

「いい返事だな。僕たち高等科の最終学年になるから1年だけど一緒に通えるぞ。そして、いい成績を取ったらヒルダが褒めてくれるな。母上だって褒めてくれる。」

「兄上も?」

「当然だろ。」

「じゃあ頑張る!」


 と実に楽しそうなジェスを見ていると、こっちも楽しくなるから不思議だ。

 ジェスが寝てから母と話したのは、なんだか本当に弟みたいな気がする、だ。母も同じように、産んだ記憶はないけど実の息子みたい、だった。


 王妃様と離れて可哀想かと思ったのだが、オースティンしか見ていない母よりはマシだろう、と話し合った結果そうなった。


 とこんな感じで、ジェスに懐かれた母は最近悩んでいるらしい。


「あなたの結婚について行く事を辞める訳ではなく、遅らせようと思うの。」

「あー、ジェスに付いていたいんだろう? いいんじゃない。」


 なんならここに残っても僕はいいと思うよ。

 ジェスが立太子するまでの間に、それなりにお掃除は済ませる予定だから。それに、なんとなく父上とも仲良しなんだよね。


「母上の思う通りにしていいんじゃないかな。」

「………………ありがとう。」


 婚約者が出来るくらいまでは最低限居た方がいいと思うんだ。

 ジェスには落ち着ける場所がここしかないから。婚約者が出来れば、そこになる可能性だってあるじゃない?

 これから王太子教育で忙しくなるし、甘えられる場所はあった方がいいからね。


 とこんな感じで不思議なくらいに上手く回っている。ジェイデンは大変そうだけど。





 こうして始まった僕たちの共同生活は、中々に巧くいっている。

 半分しか血がつながっていなくても家族にはなれるんだなぁ………と実にくだらない事を考えながら。

 そして、ジェスの居た施設に聖女様が爆誕した。3人ほど。

 どうやら、新しく来た子どもが魔力を暴発させたらしく、その子だけじゃなく、他の子どもも施設も全て守る為に《覚醒》したらしい。凄いな、本当に。

 と言うか、本当に大惨事なる所だったらしい。後で聞いて驚いたんだから。何と言うか、今までで最大級だったらしいよ。


 そんな訳で、伯爵家の令嬢ともう一人は9月からこちらの神殿に来る事になったそうだ。残りの一人はこのまま残るらしい。ここで聖女として子どもを見守りたいと言っているのだそうだ。


「ジェスの婚約者にどうかしら?」


 とこの話を聞いた母は言うけど。

 う~ん、伯爵家だと弱くないかな? あ、でも、筆頭聖女になれば大丈夫か。


 奇しくも、オースティンが狙った筆頭聖女の婚約者が弟には出来そうだ。実際は相性を見てみないと解らないけど、あの施設で育った者同士なら上手くいくんじゃないかな、と思う。

 この話をしたら、ジェスは嬉しそうだったし。


「このままこの施設に残る、って言っていたんだ。」


 と言う事らしい。

 伯爵家の令嬢の方は、家族に怪我をさせてしまった事もあり、いい関係じゃないって教えてもらったんだ。まぁ、そうなってしまうのか、と思うしかないんだけど。


「聖女になれば、学費も免除だしな。」

「え? そうなの?」

「そうだぞ。見習いでもそうだ。」


 と教えたら、だったら、と提案された。


「優秀な子が居るんだけど、やっぱり家族と上手くいってなくて。」

「そうなのか?」

「うん。お姉さんにも聖属性の魔力はあったんだけど、量が少なくてね。それもあって上手くいっていないって聞いた。」

「聞いた話だと、魔力量は関係ないらしいぞ。」

「え? そうなの!?」

「それよりも覚醒するかどうかの方が問題なんだよ。聖属性の魔力を持っている人が全て覚醒する訳じゃないから。」

「そうなの?」

「そうなんだよ。」


 と、ヒルダから聞いた話だけじゃなく、現在も学園に居る元見習い聖女の話をした。


「そうなんだ………」


 としみじみと言っていたから、何か思う所はあるんだろうな。

 詳しくは聞かない。話したくなったら話せばいいと思うから。


 その後、ジェスはヒルダに覚醒しないと聖女として認められない、と言う話を聞いていたんだけど。ついでに、ヒルダが覚醒した時の話も聞いたらしい。


 その話を聞いた後、凄く真面目に王太子教育を始めたから思う所があったのだろう。自分の母親が絡んでいる事は知っていたから。


 でもそう思ったのもつかの間、母やヒルダが褒めてくれるのが嬉しいのだと知って、僕も褒めまくったんだけど。


 重圧を背負わせて申し訳ない。言葉には出来ていないけど、本当にごめん。

 でも、僕たち母子を見下し嘲笑い続けられた場所に居られるほど僕は強くないんだ。絶対に復讐に走りそうだから、こんな人物が国王にはなってはいけないと思う。

 何なら僕が裏方の汚い部分や後ろ暗い事を引き受けてもいいから、ジェスは綺麗なままで国王になって欲しいな。ジェスの年にはさ、ヒルダと一緒に居られるのならなんだってする、って決めてしまっていたから。

 僕はヒルダしか要らないんだよ。

 本当にごめんね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ