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I am extraordinarily patient, provided I get my own way in the end.  作者: 天野 乃理子
第一章 赤い髪と青い瞳の少女
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SIDE:Leonard Ⅰ

見付けてくださりありがとうございます。

少しでも楽しんでいただけましたら、幸いです。


 聖女の末裔が暮らすと言うこの国では、聖女が存在する。

 色々と争いやら諍いやら何やらかんやらがあった結果、今では国を覆う結界に聖力を注ぐ事が一番の仕事になってはいるが、確かに存在する。

 穢れを払う力や、治癒能力もあったりはするが、現在は公にはされていない。その事での争いや、もめ事が多発したからだ。


 聖女だって万能じゃない。


 この事を理解出来ない人が多過ぎたのだ。

 誰でも救う事は、全ての人を救う事は不可能である事を理解しなかった人が本当に多かったのだ。それを理解した人は、聖女の力を自分だけのものにしたがって、国内が荒れた。だから、聖女は癒しの力を使えるとは公表する事を止めたのは、かなり昔の事。


 けれど、魔獣の存在がある以上、国を覆うような結界を張ると言う事がいかに重要なのかは理解している。なので、聖女は尊い存在として敬われている。

 それもあって、聖女になりたいと思う女の子は非常に多いらしく、5歳になると受ける神殿での魔力検査は色々とあると聞いた。聞いただけで詳しくは教えてもらえなかったけど。

 聖女とは別に、そこで一定以上の魔力を持つ事が解ったら、魔力の暴走を防ぐ為に神殿で無料で魔力制御を学ぶ事になるのだけど、そっちの方が色々とある、とも聞いている。こっちの方が人数も多いし、数値のみでの選抜だから、無慈悲に切られるそうだ。友だちでも、兄弟でも。


「レナード様」


 と、これから僕の側近になる予定のチェンバレン伯爵家の次男であるジェイデンから呼ばれた。

 これでも僕、第二王子なんだよ。王立テウト学園の初等科を卒業も決まれば、晴れて貴族として認められる。指定された学校を卒業しないと貴族として認められないこの国の中でも最難関と言われている学校を卒業出来るから、最低条件は満たす事になる。

 なのでこれを機に公務をする事になったんだ。一応、成人と言われる15歳にはなったから。テストも終わり、後は試験結果と卒業式を待つばかりだしね。

 でも、進学を希望したからデビュタントは高等科の卒業後を予定している。

 貴族の場合、決められた学校を卒業後にデビュタントをして、初めて成人と認められる。貴族に拘らなければ、15歳で成人なんだけどね。


 僕の公務の担当は聖女と聖女見習いの事を神殿とやり取りする事。要するに、王宮と神殿の橋渡し役。幼い頃に神殿にお世話になった関係で知り合いの神官も居るし、僕の内々の婚約者も神殿と関わっているし。


「そちらの資料にもありますように、新年度から高等科に聖女見習いが入学されます。」


 そうだったね。

 そう書いてあったね。でも、見習いだろう?


 同級生だと色々と面倒臭そうだな。口には出さないけど。


「伯爵家の令嬢と男爵家の令嬢、そして男爵家の養女になった元平民です。」

「凄いね、3人もなんだ。」

「ですが、この年になっても覚醒をしていないんですよ。」


 そうだった。

 素質があっても《覚醒》しないと力は使えなくはないけれど、《そんな程度》と言われてしまうくらいにしか使えないのだ。


「確かにね。今の筆頭聖女の覚醒は13歳くらいだったよね。」


 僕の婚約者であるヒルダはもっと幼かったけど。

 その事も含めて色々とあって、いや、あり過ぎて聖女である事を隠しているのだけど。


「そうですね。ですが、内々の話では、元平民の見習いは覚醒しているのではないか、と言われています。」

「え? どういう事?」


 と聞いてから、資料をめくった。


「同じ教会なの? しかも、リンデン伯爵領の。」


 あ、納得。

 今回の見習いはリンデン伯爵家の令嬢も居る。そして、引き取られた男爵家はリンデン伯爵家の寄子、と。そりゃ、隠すわ。だって、寄り親の伯爵家の令嬢は覚醒していないんだもの。

 で、正確には、このまま伯爵領に置いておくよりも、王都に行かせた方がいいと判断して男爵家の養女になった、の方が正しい気がする。そうじゃなきゃ、見習いのままだろうし。若しくは、その神殿でそのまま、だな。自領の神殿に聖女が居るのはいい事だから、そのまま見習いとして置いておきそう。本当は違反なんだけど。


「はい、そうです。」

「あー、可能性は高そうだね。」

「はい。」


 だって、自分の娘は覚醒していないのに、他の、しかも自分より身分の低い令嬢が覚醒していたら面白くないと思うのは、当然でもあるから。


「彼女の事、詳しく調べてくれるかな。」


 と僕が言えば、「解りました。」とジェイデンは出て行った。



 これは、もしかするともしかする?



 そう思いながら、次代の筆頭聖女の候補として婚約者の実家である公爵家に、そしてヒルダに報告ようと思った。きっと、向こうは向こうで調べるだろうから。

 学園の高等科も卒業して18歳になった筆頭聖女はそろそろ結婚をしたいようだからね。後継者を決めないといけない時期でもあるんだ。

 本当ならヒルダがふさわしいのだろうけど、ちょっと言えないような状態での覚醒だから。言ってしまうと、王宮内が騒然とする事は確実だから。

 色々とウワサは流れているけどね。

 その事も含めて、色々と面倒臭いんだけど。




 僕か公務として関わる事になった神殿は、聖女に力を与えている女神が主神だ。そして、この国の国教として信仰されている。だから、信者も多い。実際に魔物を防ぐ結界と言う恩恵もあるから解り易いのもあるのだろう。

 愛を司ると言われている女神様は、この国のあちこちにある神殿に祀られており、王都でなくても領都にあるような大きい神殿には聖女と聖女見習いは居る。そして、見込みがあると思われる見習いは、王都にある大神殿に移籍する事が決まっている。結界に聖力を注ぐ魔法具は王都の大神殿にあるから。

 それだけではなく特に貴族の令嬢は、王都にある学園に通う為に移動する場合も多い。

 今回の3人のうちの2人はそうなのだろう。自領や近くの領にある指定されたいくつかの学校を卒業しても貴族としては認められるが、王都の王立テウト学園はやっぱり違うのだろうからね。

 上級貴族と言われている侯爵以上の家は王都の学園に通う事が義務になっている事もあり、上位貴族と知己になりたい貴族は入学を希望するのだ。学費はかかるが、王都の学園の卒業生と言うだけで自慢になるから。


 今回の男爵家の令嬢2人は、聖女見習いと言う事で学園の費用負担がない事も大きいんじゃないかな。王都に家のある法衣貴族ならともかく、領地から出る事の少ない男爵家の令嬢が王都の学校に通う事は少ないのだ。

 そして、男爵家が養女にしたのは、一見、学園に通わせる為に見せかけているのだろうな、と勝手に思った。もしかしたら、覚醒の関係者なのかもしれない、とも。


 今回の見習いは高等科の入学に合わせての移動だけど、15歳になると魔力はほぼ安定してしまう。だから、ここからの《覚醒》は難しいとも聞いているんだ。

 そう考えると、伯爵家の令嬢は確実に《箔付け》だろうな。後、男爵家の令嬢も。

 養女の方の男爵家の令嬢は、どうなのだろう? このまま埋もれさせたくない、と教会側が送ったような気がしないでもないんだけど。


 この国の決まりで、5歳と10歳に神殿での魔力検査が義務付けられていて、魔力を持つ子どもは神殿で無償で教育が受けられる。魔力量の多い子どもは、魔力の暴走を防ぐ意味も込めて早期教育を受ける事は義務となっていたりするのだ。

 きっと、その時に見付けられた男爵家の関係者、否、使用人の子どもだとしたら納得できてしまうのだもの。





 さて、そろそろ時間だ。

 今日はヒルダがこの離宮に来るのだ。



章設定が難しくて、こねくり回していたら出来ました。

なので、タイトルも解り易く変更しました。


なろう初心者なので、温かい目で見ていただけますと嬉しいです。

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