後編
「では、サティは私を無視していたわけではなく⋯連絡が滞っていたのは⋯⋯。手紙は⋯メリーナの実家が処分していたと⋯⋯何故?
私に会わせないようにですか?」
茫然自失で現実に向き合うことの出来ない私は独り言のように呟いていると、更に父から言葉が飛ぶ。
「その、仲間外れだがな。それは本当に有ったことだ。だがサティがやらせたわけでも何でもなく、その娘の自業自得だろう」
「なぜですか?自業自得などと⋯仲間外れとは虐めだ!サティがやっていなくても実際にメリーナは悲しみに暮れていた、ずっと泣いていたんです。哀れでしょう」
「それで、絆されたのか、愚かだな」
そう言って父上が調べた真実を説明してくれた。
メリーナの事を頼まれたサティはとても良くやっていた、メリーナは貴族社会のマナーや教養が足りずそれにもサティは尽力してくれていたそうだ。
ただメリーナには貴族の矜持が足りなかった。
直ぐにサティの教えを嫌がり同じクラスの子息達に助けを求めるようになった。
婚約者の有無を聞かず誰彼かまわず男子に庇ってくれと泣きつくメリーナにサティ以外の令嬢達は辟易していたそうだ。
それでもサティは根気強くメリーナを諭し続けていたのだが1年前にリオンの調子が悪くなった。
それまでは教会で祈るだけで良かったがそれでは追いつかなるほど呪いがリオンの体を蝕み始めたので王宮で祈ることになり学園に通えなくなったそう、サティという庇護が無くなった後はクラスの令嬢達からはそれまでの行いもあり総スカンを食らったのが仲間外れの真相。
サティは何ら関与していなかった。
しかもサティからの連絡も伯爵家の息のかかった者たちに止められていた。
伯爵家はサティの実家の公爵家に取り入っていて上手く立ち回っていたようだ。
真実を知った私は愕然とした。
私はなんてことをしてしまったのか
大事な弟を助けてくれたサティにとんでもない仕打ちをしてしまった。
婚約破棄を告げた時にサティが何かを言いたそうにしていたのに⋯⋯。
ちゃんと話を聞けばよかった。
たとえメリーナに絆されてしまっていたとしても、何故サティを最後まで信じなかったのだろうか。
私の知ってるサティを信じればよかったのに、ただそれだけで良かったのに。
そうすればあんな酷い婚約破棄などせずに、ちゃんとわかりあえたはずだったのに⋯⋯。
全ては私の自分勝手な行いのせいだ。
甘んじて廃嫡を受け入れよう。
私は今更届かないサティへの詫びを胸の中で繰り返す。
私から婚約破棄をされたサティは公爵家の事を考え家を出て今は行方が分からなくなっていた。
私は彼女にきちんと詫びるためにその行方を探し求めている。
お読み頂きありがとうございました
誤字脱字報告もありがとうございます
直ぐに訂正させて頂きました☆