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中編②

「そもそもこの婚約はお前の治世を盤石にする為とリオンの為に組まれた婚約だったのだ。

学園に入る前にしっかりと私と妃より話をしたはずだぞ」


私は昔の記憶を探る。

確かに学園入学前に父上と母上から呼ばれ訓示を受けた。

しかし私は学園に入学するという一大イベントの前にワクワクしており浮かれていた。

なので父上の結びの言葉「サティを大事にするように」という事しか頭には入ってなかったが⋯⋯。


「はい訓示は受けましたが⋯。父上に言われたように私はサティを大事にしてきたつもりです。ですが私との一切の関係を断ったのは彼女の方が先なんですよ。私の治世の為というならばメリーナの伯爵家も盤石な家なので何ら問題ないと思われます」


メリーナの家もこの国にとって大事な家のはず、公爵家と同じ王族派なのだからいいだろうに何を言ってるのか父上の言葉がわからない。


「それが人の話をしっかりと聞いてない証拠だ。お前はこの1年ほどはそのメリーナという女に入れこんでリオンにも会いに行っていなかったな」


「入れこむとは⋯⋯心外ですが、確かにリオンの所へは足が遠のいていたのは事実です」


父上の物言いには頭に来たがリオンの所へ行っていなかったのも事実なので渋々認めると母上から罵倒が飛んできた。


「弟を蔑ろにしていなければ貴方の疑問も全て解けていたはずよ。学園入学前に話を聞いていなかったとしてもね」


「どういう事ですか?」


「この1年サティがリオンに毎日祈りを捧げてくれていたのよ。リオンの侍女部屋に寝泊まりしてね!

公爵家の令嬢があんな狭い部屋に押し込まれても文句も言わず来る日も来る日も、リオンが健康になる為に学園にも行けず、自由な時間もなく、それでも貴方の大事にしてる弟だからと熱心に祈ってくれて⋯⋯1年の祈りのおかげでリオンが元気になったのに不義理な貴方は婚約破棄など、貴方を許せるわけないでしょう」


怒りに満ちた母上の話に私は目の前が真っ暗になる。

えっどういうことなんだ?

リオンの為?

リオンの部屋の侍女部屋にいた?

毎日祈りを捧げていた?


「事の次第を調べたがメリーナという娘が虐められているとはいつの話なのだ?」


父上からの問に答える


「1年ほど前です。仲間外れにされてるという訴えがありました。だから私はサティに聞こうと思いサティと連絡を取ろうとしてたのです。でもサティは私からの訪問の先触れも手紙も全て無視していたから、だから私は⋯私は⋯」


「伯爵家の息のかかった使用人が公爵家(うち)に居たんです。王子の手紙は破棄されていたと思われます。リオン様の件はうちの者も知らせてはならぬ案件でしたので王宮にサティがいる事は使用人には伝えてませんでした。だから居ないから居ないと答えていたのでしょう。誰に先触れが通っていたのかは不明ですが執事でしたら私の耳にも入っていたかもしれませんが⋯⋯」


陛下(ちちうえ)から更に説明があった。

リオンは生まれつき体を呪いに蝕まれていた、呪いの原因は王家にあった。

500年ほど前の魔女の呪い。

必ず王家の男子にかかるらしく今代はリオンに振りかかった。

リオンは第三王子で上二人に呪いがかからなかった事で父上と母上は呪いが無くなったのだと勘違いしてリオンを授かった。

しかし呪いは消えておらずリオンが呪いを受けてしまった。

500年前の呪いの魔女の敵で王家を救ってくれたその当時の聖女が呪いを消してくれる祈りの乙女を同じ時代に生まれるように祈ってくれた、おかげで、呪われた王子を癒せる祈りの乙女が同じ時代に必ず生まれてくる運びとなったそうだ。


まさしくリオンの祈りの乙女はサティだった。

しかしサティとリオンでは年の差がありすぎる事、逆なら良かったが女性が年上というのも世間に憚られた。

また、第二王子の母である側妃の生家が公爵家ということもあり、私の為にサティとの婚約を取り付けたらしい。

第二王子の後ろ盾と同じ身分の後ろ盾が私には必要だったのだ。




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