【ホラーコメディー】「帰り道がわからないの」
タイトル通り、ホラーですがコメディーです。
でも一応怪異は出ますので、ちょっとでもそういうのは苦手という方は迷わずブラウザバック。
大丈夫という方は、どうぞお楽しみください。
「帰り道がわからないの」
暗い夜道で私はそう言う。
すると大抵相手は困ったような顔をしながら、交番に連れて行こうとする。
小さい女の子の姿をしている私を、見過ごしてはおかないのが人間。
そして黙って着いて行き、交番の手前で姿を消す。
すると人間は恐怖し、そこからこぼれ出る魂の力を糧にする。
派手な演出はいらない。
ただ不気味さを演出すれば、人は怖がるから。
さぁ、今日はあの男に……。
「お兄さん」
「何だい、お嬢さん」
「帰り道がわからないの」
「そうかい。じゃあお兄さんの家に行こう」
え?
普通ノータイムで家に呼ぶ?
何この人間……。
「大丈夫。帰りにコンビニで着替えと洗面用具を買っていくから。ご飯まだかな? それもコンビニで買って行こうねぇ」
「え、でも私、お家に帰りたい……」
「大丈夫。明日になったら一緒に探してあげるから。もし見つからなかったら、ずうっとうちにいて良いからねぇ」
「ひっ……!」
にっこり笑う男の顔に、私は恐怖した。
「おや? 怖くないよ? 大丈夫大丈夫。沢山お洋服を買ってあげるから、お家ファッションショーをしようねぇ」
「いやー!」
私は全速力でその場から逃げ去った。
姿を消せばよかった事に気付いたのは、安全なところまで逃げてきてからだった。
「……女の子の姿ってこの時代危険なのね……。今度は男の子の姿にしようかしら……」
翌日「イケショタきゃあああん!」と叫ぶ女の人に追いかけられて、しばらく人間の前に姿を見せるのはやめようと思いました。
読了ありがとうございます。
怪異対変態では、怪異の方が分が悪いですね。
怪異「もうやだこの国」
またホラーのようでホラーでないネタを思い付きましたら書かせていただきますので、よろしくお願いいたします。