脳出血後のリハビリ習作・400字詰め原稿用紙1枚で何が書けるか(48)『最後の絵』
脳出血後の失語症状リハビリとして、一時間(+α)に400字詰め原稿用紙(+α)で手書きしていたものです。
恥ずかしいミスがあってもそのままテキスト化しているので、誤字脱字やオチ不明等はご容赦を。
なお、リハビリは現在も継続中です。
2020年 2月17日 執筆分(テキスト化中に修正あり)
※三題:鉛筆、クジラ、真っ二つ
(48)『最後の絵』
近所の子供Aが新しい鉛筆とスケッチブックを使って描いた瞬間、衛星“月”が分裂した。
人々は月が分かりやすいくらい半分になった映像に驚愕したが、それは始まりに過ぎなかった。子供Aが描くだけで月の左側は三割に、右は四割に分かれてしまったのだ。
「みんなは気づかないようだが、オマエが描いたことぐらい分かっているぞ。なにせ、子供時代のオレそっくりの神童だからな!」
親であるB氏の破顔が嬉しくて、子供Aは新たな絵を描いた。そのせいで、水星がクジラになった。
B氏がアップした“水星のクジラ化”と“消して元に戻る”映像がバズると、人々は信じるようになった。
それが最初のミスだった。アカウント登録したせいで、名前と住所がばれたのだ。
あの色鉛筆で描いた相手が消しゴムで消せれば、元に戻るらしい。それを知った人々は、子供Aの家に出向いて月の絵を消せせることにした。
「君の絵を消してくれたら、たくさんの色鉛筆をあげるよ」
子供Aは、彼らのお願いに大喜びで頷いた。それは、自慢げに人々を招き入れてしまったB氏の、第二のミスだった。
「やめろ! オレたちの絵を壊させるな! オレの未来をまた潰すつもりだなっ!」
B氏が画家になる夢を諦めたのは彼自身の画力の無さからだったが、そんな事実など関係なかった。B氏は怒りの余り、手元にあった色鉛筆を踏みつけ、バキバキに折ってしまった。コレが第三の……いや、最後のミスとなった。
まず、子供Aが真っ二つに折られ、それを起点に地球が割れ始めた。
崖に落ちたB氏は、自分が描いた“地球最後の絵”を見ることが出来なかった。
(終わり)