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92話 2号店開店!





「何が見つかったんだ?」


聖奈さんに限って落とし物はしそうにないしな。嬉しそうだから聞かなくても良さそうだが…雑談も大事だよね?


「引っ越し先だよ!急だけど来月に引っ越しするんだよ。また書類があるからサインよろしくね!」


「引っ越し?マンションなんて転移ポイントとしてしか使ってないから今のままでもいいだろ?」


まさか社長なら豪邸に住まないと!なんて言うなよ?今だって家賃無駄だなぁって思っているんだぞ!

貧乏性…いや、倹約家聖をなめんじゃねぇっ!


「マンションなわけないでしょ。そんな無駄なお金はありませんっ!」


違った…じゃあ何の引っ越しだ?


「ここだよ。もう手狭になっちゃったから大きな所を探してたの。パートさん達の事も考えたら近くじゃないとダメだから中々空きが無かったの」


「なーる。じゃあそれが見つかったのか?」


「うん!ここの倍以上の広さで、ここから車で20分以内で、なるべく静かな所っていう条件で税理士さんに頼んだら見つけてくれたの」


だから何者だよ税理士…職業間違えてないか?

完全にカタギじゃないだろ。


「行ったことない場所だけど写真はいい感じだよ!見てみて!」


二人でパソコンをのぞき見る。何だかカップルみた…やめよう。

言霊ってあるから。俺は望んでませーん!


「良い所だな!ここより新しそうだし、何より事務所が綺麗だ!後倉庫が広いし…」


「何で広くてテンション下がってるの?」


いや、荷運び人の仕事量が絶対増すやん?


「いや。気にすんな。それよりここはどうするんだ?」


「ここは契約上一年は借りないといけないから変わらず倉庫として借りてるよ。だから私達がこっちに来れない時に荷物が向こうに溢れたらここに配達してもらえるように運送会社にお願いするの」


なるほど。無駄に近いけどリスクが減るからいいのか。


「よし。とりあえず帰ろう。ミランが起きて待っていたら可哀想だ」


「その心配は流石だね…」


半ば聖奈さんから呆れられて家路についた。途中お土産を買うのは忘れなかった。一番悲しむからな。





翌日も昨日と変わらず過ごした。俺は仕事がない為、リゴルドーの商人組合に久しぶりに顔を出した。


「珍しいですね。お一人ですか?」


ハーリーさんは変わらずのようだ。しかも俺が一人でいる事を喜んでいるところも相変わらずだ。


「良いんですか?今やリゴルドー商人組合の売り上げNo. 1のハーリーさんが油を売っていて」


「良いんですよ。リゴルドーで売り上げNo. 1の商人さんの接待ですからね」


お互いに嫌味を言い合った後、近況報告だ。


「凄いですね…これがランク4のカードですか」


「あれ?見た事がなかったのですか?」


これは嫌味じゃない。普通にあると思ったからだ。


「無いですね。王族と知り合いで且つ二代目以降の大店の商人さんくらいしか持っていないレアなカードですからね。そもそも発行できるのがそれぞれの王都にある商人組合のみですから」


「なるほど。確かにそれ以外の商人組合では必要無いですもんね」


この後どこの王族と知り合ったのか聞かれたが誤魔化した。

エンガードの王族にも知り合いはいるが、それも伝えていない。

全て砂糖のお陰だと勘違いさせておけばいい。

貯まっていたお金を受け取って俺は王都に戻った。




戻った俺はみんながいるであろう下に降りた。


「セイくん。お客さんしてくれない?」


「ん?ああ。接客の練習か。どんな設定でいくんだ?」


何故かメイド服に着替えている聖奈さんに頼まれた。エリー父は地球産のスーツ。エリー母は地球産のスーツ…スカート短くないか?

俺得だけどこの世界ではおばさ…いや、女性はいつまでも女の子だから!


「普通で良いよ。特殊なのはそれぞれマニュアルがあるからね」


俺は無駄に猫耳を付けた聖奈メイドに挨拶をされながら商品を物色していく。


「お客様、お探しの商品がありましたら店員にお気軽にお声がけください」


おっ。もう子供達も接客出来るじゃん。あって2日目だからまだ緊張しているのは仕方ないな。ここはアルカイックスマイルで


「ありがとう!」


うん。ビビらせてしまったな。


「あれは…」


俺の目に飛び込んできたのは


「猫耳メイドのミラン…」


死にそうなぐらい可愛いが、何させとんねんっ!


「聖奈!やり過ぎだ。ミランの顔が真っ赤だろ!」


「うっ…だって…それに今日だけだよ?」


何で疑問系なんだよ。エリーは気にしていないが恥ずかしがってる子にさせるなっ!

家だけにしろ!


「ミラン。着替えてきて良いぞ」


俺は気を遣える大人だからな!と、思っていたらミランが近寄り


「あの…似合ってませんか?私…」


ん?もしかして似合ってないから着替えろって言われたと思ったのか?


「まさか!王都一…いや世界一似合っているぞ!まさか本物の耳じゃないよな?」


これだけ似合っているんだ、本物の可能性がある。うん。


「あ、ありがとうございます。あ、あと…」


うん?なんかあるのか?


「お、おかえりなさいませ。ご主人様…にゃん」


「ミラン。死ぬほど似合っているし可愛いけど着替えてきなさい」


俺は振り返ると逃げようとしている聖奈さんを視界に捉えた。


「聖奈!お前は上に来い!」


「ええっ!!セイくんも絶対喜んでたでしょ!?いいじゃん!!」


なんで開き直ってるんだよ…

そりゃミランは可愛いけど、それとこれとは別だろ。


尚も逃げ出そうとする聖奈さんを捕まえて上で説教した。

さすがに店が軌道に乗るまでは地球への強制帰還の刑は執行できないので別の罰にした。




「あの…ホントにいいのですか?私は気にしてませんよ?」


ミランはこう言うがダメだ。あれは教育に良くない。


「聖奈は自分の欲望に忠実過ぎるんだ。誰かが止めないとエスカレートしていく。あれはそういう生き物だ」


その内18禁事項を絶対入れてくる。俺が守らなければ。


「まぁミランは気にするな。でも嫌な事は断れよ?」


「はい!セイさんが喜ぶと言われたら断れないかもしれませんが頑張ります」


なんて健気なんだ…あの悪魔はこの健気さを利用していたんだ…やはり罰は適正だったな。




「おはよう。よく寝られたか?」


朝起きた俺は聖奈に声をかけた。


「寝られないよ…だって一人なんだよ?私のヒロイン達が…」


聖奈には一人で寝室を使う罰を与えた。ミランは同年代の女の子が沢山いる女子部屋で嬉しそうだったから良かった。

俺はガイと一緒の男部屋だ。もちろん修学旅行のテンションで話は盛り上がったがガイの名誉の為に内容は伏せる。


ミランの成長の為にも同年代といる事は大切だ。いつも年上とばかりいてもな。エリーも年齢だけなら年上だし。年齢だけは…




そんなこんなしてたら時間は過ぎ、子供達とエリーの両親の教育期間が終わった。


「私とセイくんはここで待機だよ。みんな。頑張ってね!」


「「「「はい」」」」


俺と聖奈さんは三階の転移室(事務所)で待機だ。

皆を見送ったらする事はない。俺だけ…


「暇なんだが…」


「偶には良いでしょ?セイくんはなんだかんだ言って、働いてないとダメな感じだよね。社長さんなんだからどっしり構えていれば良いのに」


くっ…そうだ。難しい事はしたくない。だけど何もしていないと落ち着かないんだ。


「聖奈は何をしているんだ?」


「ん?これ?これはねぇ。水都(向こう)の商品の売れ方を纏めているの」


なるほど…よくこんな細かい作業が出来るな…

何だよ20代女性7,344ギルって…性別年代別での平均値まで出してるのかよ…


「そうだな。俺も社長らしくしていないとな」


よし。今日は日がな一日窓から王都を眺めていよう。


「なんだかこういう作業をしているとね、この世界の人達が何を欲しがっているのか分かる気がするの。もちろん気がするだけで本質は分かんないんだけどね!」


「俺には全くわからんが聖奈ならわかるんじゃねーかなって思うよ」


そう言った情熱には歯が立たんな。

俺はズルする事ばかり考えているからな。


「ふふ。なにそれ」


こうして一日が終わ…らなかった。




「セイさん!暴れている人がいます!」


急報を持ってきたのはミランだった。


「わかった。ミランはここにいるんだ」


銃を持たないミランはただの子供と変わらない。

俺は事務所を飛び出して下に向かった。


下では煌びやかな服を着た男がいて暴れたのはその周りにいる取り巻きのようだ。

怪我人はいな…いや、子供が一人蹲って(うずくまって)いる。


「早く責任者を出せとこちらにおわすハーベリック様が言っておられる!指示に従わんかっ!この平民風情がっ!」


男は止めに入ったエリー父を殴ろうとしている。

さて、天罰の時間だ。



聖「天罰の時間だ!」


聖奈「きゃー!セイくん頑張ってぇ!」


そう俺は今をときめく天誅アイドルセイくん!世の女性達を虜にしている罪な男さ。


ガチャ


ミラン「何してるんですか?」


聖「ミ、ミラン!?こ、これは聖奈に頼まれた演劇なんだ!!待ってくれ!」


バタンッ


聖奈(さて、今回はミランちゃんはどんな誤解をしているかな?)


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