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84話 天職は酒屋or娼館主。






「それでこっちでする事ってなんだ?」


マンションに帰り、聖奈さんに聞いた。


「まだ先方の予定がハッキリしていないから、明日は会社だね」


先方?取引先でも出来たのか?

まぁ、仕事は聖奈さんに任せておけば問題ないからいいか。

あれ?異世界の事も任せっぱなしだよな?俺って一体…


「とりあえずしばらくはこっちにいるんだから、今日は飲みにでも行かない?」


「構わないけど、聖奈は程々にしろよ?」


この前も二日酔いになっていたし、その前は危うく既成事実を作られるところだったしな。

色々と釘を刺し俺達は近所の居酒屋に繰り出した。


「いらっしゃいませ!東雲さんお久しぶりですね!彼女さんもお久しぶりです」


この居酒屋は近いからちょくちょく利用している。マンションから徒歩で5分くらいのところでチェーン店ではなく個人経営のこじんまりとしたお店で客層は若くない。

名前を覚えられたな…俺は陰キャだからこなくなるぞっ!!


「とりあえずビールで、彼女にはアルコール少なめのカシスオレンジを下さい」


「ええ!普通ので良いのに!」


どの口が言う…

俺達は乾杯をして日頃の疲れを・・・俺は疲れる事してないな。

美味い酒が飲めたらいいんだ!


「それで?予定ってなんだ?」


「うーん。サプライズにしたかったけど、聞かれちゃ仕方ないね!

実はローカルテレビの取材が入っているの。もし受けが良かったら全国放送の依頼もあるかもだって!」


仕事にサプライズは要りません。それよりも…


「テレビかよ…俺じゃなくて聖奈じゃダメなのか?」


「私じゃダメだよ。それにストーカーさんに職場バレしちゃうし新たなストーカーさんを量産しても困るでしょ?」


困るのは俺じゃなくてあなたですが…


「ウチにテレビの力が必要なのか?」


「全然。むしろ今はネットの影響の方が大きいからあんまりかな?でも、この先企業との取引ができたら話の種にも、ある程度の信用にも繋がるね」


テレビに信用なんてないのわかってるくせに…

目的はなんだ?まさか俺への嫌がらせじゃあるまいし。


「そこまで大きな理由はないよ?ただ、偶々取材させてって連絡があったから話を聞いただけだよ」


「そうか。まぁ、変な番組じゃなきゃ出ても良い」


ローカルテレビなんて人気じゃなきゃ視聴率一桁前半だろう?だよね…?

はぁ。気が重い…任せていた手前断れないんだよな…


「変な番組じゃないよ。地元の新しい企業を取材しているんだって!

もしかしたら全国放送の若手社長を取材してる番組に紹介してくれるかもだって!」


うん。それは是非お断りして欲しいかな!


その後は結局酔っ払った聖奈さんを連れてマンションに帰った。

爺さんとの修行のお陰か、フィジカルアップしてるから聖奈さんをおんぶしても息がきれなかった。

もちろん重そうに持ったら後が怖い。修行の成果で一番嬉しいかもしれない…





「「「おはようございます」」」


知らない顔がちらほらいるな。


「おはようございます。知る人ぞ知る社長の東雲です。みなさん顔を覚えてやってください」


よし!大声では笑っていないけど、口に手を当てている人がちらほらいるな!掴みは上々だぜっ!


「では皆さんいつも通りお願いしますね」


「「「はい」」」


バイト?の人達が事務所から出て行ったら早速


「もう!聖くんは変なこと言うんだから!」


「いいだろ?ウケたんだし?」


「あれは仕方なくだよ。それにそんなんじゃ世界を裏で操るフィクサーになれないよっ!」


し、仕方なくだったのか…

いや、俺は世界を裏では操らないよ?そもそも俺自身が聖奈さんに操られてんじゃん?


「それにしてもまたバイトさんが増えたな」


「うん。水都でも砂糖や胡椒を売るから増やしたのもあるんだけど、別の業務の為に増やしたの」


なんだ?また仕事を増やしたのか?自分の仕事も増えるんだぞ?

聖奈さんは実はMなんじゃ…


「また変な事考えてるでしょ?」


「そ、そんな事はないよ?」


なぜバレるんだ…?


「すぐ顔に出るんだから。そんな聖くんには教えてあげなーいっていいたいところだけど、どうせすぐにバレるから言うね」


「教えてくれるんだな。なんだ?」


相変わらず女性ばかりの職場だから力仕事ではないのだろうけど。

新しいバイトさんは2人いた。もはや特徴も覚えられなかった。まぁ、先の4人と似たような感じだ。


「向こうに商会を開くの。正確には店舗を構えるんだよ」


「店を?でも働く人も売る物もないぞ?」


砂糖は折角組合が上手いこと売ってくれているから値崩れ起こさせたくないしな。

ちなみに商人ランクは国王と取引(酒)した事を今のセイレーン商人組合組合長が知って、ランク4に上がっているから店はどこにでも出せる。

その辺の貴族や豪商と問題を起こしてもこのカードを見せればどこかの国の王族と仲のいい商人という事で返り討ち、もしくは無かったことになるレベルだ。


「売るものは聖くんが好きなものだよ。わかるでしょ?」


まさか…娼館?入り浸っちゃうよ?


「わかったよね。向こうの人の趣味に合う物をピックアップして欲しいの。私は門外漢だから」


「向こうの趣味?むしろ俺の趣味になっちゃうぞ?」


「それでもいいよ。趣味は疑ってないから」


「ほ、ホントか?」


そんなヤバい店をしなきゃいけないくらいお金が必要なのか?!

俺はウェルカムだけど!!


「うん!じゃあ早速会社のパソコンでピックアップしてくれるかな?」


えっ?こっちで?なんか間違ってないか?


「ち、ちなみになんて検索したらいいんだ?」


「?そんなのお洒落なお酒とかでいいんじゃない?」


酒かぁ…確かに俺が好きな物だわ。。

おかしいと思ったぜ…聖奈さんがそんな店を出すはずないだろ!!馬鹿か俺は!!


「どんな物でもいいのか?」


「うーん。出来たら瓶限定にして欲しいかな。ラベルを剥がすだけでいいしね」


確かに。パックや缶だと入れ替え作業が加わるのか。

それより


「店を構えて、向こうでは大丈夫なのか?」


「何が大丈夫かはわからないけど、エリーちゃんが車を発表した段階で、向こうにいるかもしれない転生転移の人達にはバレるでしょうね。

もう一つの聖くんの懸念は力のある向こうの人に狙われることでしょ?

それも大丈夫だと思うよ。だって聖くん強くなったでしょ?」


そうだな。何の為の修行かといえばハーレムの為だけど、ついでに仲間を守る力でもあるからな。

貴族達はやはり横暴そうで嫌だけど、それも…


「なんて言っても王様に好かれているのがいいよね!」


「そうだな。それに魔導王国には貴族はいないしな」


魔導士協会の人達には車の件というかエリーの件で嫌われているかもしれないが、元々仲良くするつもりのない組織だったから、遅いか早いかの違いでしかない。


「うん。魔導士協会のお偉いさんの中にも聖くんのお酒の虜になる人がいればさらに安全になるしね!」


「わかった。良いものを選べるように頑張るよ」


売れるかどうかは俺の腕に…いや、舌にかかっているからな!

売れなきゃ王様に買い取ってもらおう!


「そう言えば…向こうでお金を稼いでどうするんだ?」


「あれ?気付いちゃった?実は向こうで国でも買おうかと」


「いや、ギャグはええねん」


いきなり国持ちとかどんなサクセスストーリーや。


「あながち冗談ではないけどね。でも今回の売り上げはこっちで売るものを仕入れる費用に全て回す予定だよ」


「何を仕入れるんだ?」


「貴金属だよ。もちろん並行して家具の職人さんもリゴルドーに誘致していくつもりだよ」


多分ちまちま宝石買取店に持っていくって事じゃないんだよな?


「そうか。商売で大きく動くってことだな」


「うん!人もたくさん増やして、私達がいなくても回るくらいにはこっち(地球)あっち(異世界)も大きくしたいよね!」


俺は今のままでもいい。なんて頑張ってる人には言えないなぁ。

しゃーない。付き合いますよ。

また冒険が遠のいたけど、どっちにしても冬の間は動かない予定だったしいいか。


俺は早速机(ほぼ新品)に向かい、お酒をピックアップしていく。

あれ?好きなものを調べていると仕事なのに苦痛じゃない…

ついに俺にも天職が!かなりニッチな職種だけど。


俺は聖奈さんに騙されてこの日は仕事を頑張った。

何を騙されたかと言うと、試飲してもいいって言ってたのに、結局無しになったことだ!

許さんぞ!!!酒の恨みは怖いからなっ!!




聖(騙された…こうなったら何としてでも飲んでやる!)


聖奈「じゃじゃあーん!これ聖くんが飲みたがっていたレアものの日本酒!ちゃんと仕事してくれたからご褒美だよ!」


聖「聖奈…いや聖奈様。一生ついていきやす!」


聖奈「…」(チョロい…)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「うん!人もたくさん増やして、私達がいなくても回るくらいにはこっち地球もあっち異世界も大きくしたいよね!」 ⇒地球と異世界、互いが互いの商品によって成り立っている以上、『私たちが居な…
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