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77話 異世界初?二人で入刀。





「リリーさん泣いていませんか?」


俺にもそう見える。そして爺さんは頭ポンポンしてる。

気安く触んじゃねー!!


「あれ?今度は笑っていますよ?」


「何だか楽しそうだね」


くそっ!!俺もリリーさんに頭ポンポンされたいっ!!

間違えた。したい!!


「なんか手を振ってるから行こうか」


爺さんが手招きしている。話は終わったか。


二人に近づいて声をかける。


「リリーさん。もう大丈夫ですか?」


「ああ。ありがとう。セイに出会えて良かったよ」


えっ!?まさかリリーさん…俺の事を…


「セイ。儂らは結婚することになったからこれからもよろしくのう」


「結婚!?リリーさんそんな…まだ早いですよ…いや、リリーさんがいいなら…」


ん?誰と…?


「え…ええええええええええっ!?」


ジジイとか!?まさかリリーさんジジコンなのか!?


「セイさん。失礼ですよ?」


「だって…」


「セイさん。空気読みましょう?」


「空気?何それ美味いの?」


「セイくん。動揺しすぎだよ。リリーさんを見てたらわかってたでしょ?」


確かに…薄々…いやかなり気付いてましたとも。でも認めたくないじゃん?

爺さんは金を持ってないから遺産目当てでもないんだよ?

こんなジジイに負けるとは…


「お、おめでとう。ござい…ます」


「うむ。儂はこんな年寄りやめておけとゆうたんじゃが…」


「私がビクトール様を看取ります!!一緒に死ぬことは許していただけませんでしたが、看取ることは許されました!みんな証人だぞ?」


やだよ。そんな証人…



その後、結婚祝いとしてまた連日のパーティとなった。

この世界では結婚式などない。王侯貴族を除いてな。

親族や知り合いを集めて食事会などで祝うようだ。

それを結婚式と言えばそうなるが…結婚式でミランに通じたのが貴族達の結婚パレードだったからやはり違うようだ。

結婚は二人で教会などで承認してもらうようだ。村なら村長。教会がない所なら立場の高い人の許可だな。

この街にも教会はあるが、証人は俺達なので承認も俺達がすれば良いらしい。

反対!反対!反対!反対!反対!


聖奈さん達は料理の準備で大忙しの為、リリーにはエリーがついている。爺さんには俺だな。

ちなみにリリーは『家族になったようなものなんだからさん付けなど不要だ』と言ってきた。

じゃあ!俺と結婚しろよ!


爺さんに聞かされた話だと

一、リリーは子供(11歳)の時暴漢に襲われ誘拐された。

一、それを約10年前の爺さんが両親から依頼を受けて助けに行ったようだ。

一、爺さんは見事犯人を倒して、助けられたリリーは辱められたからその場で自害しようとしたらしい。

一、爺さんは年の功で何とか生きてくれと説得したらしい。

その時にリリーが『じゃあこんな汚れた私を大人になったら貰ってくれるの!?』と言って爺さんを脅した。爺さんは『こんなに美人なら大歓迎』だと笑って言ったらしい。

『その代わり、儂の嫁になるなら儂が認める強さが無くてはならぬぞ?』

それがリリーさんの強さの原動力だと…

ぶっ○すぞジジイ!!


「いやー。そんな事もあったのう。話を聞いた時は忘れていたわい!しかしあの時の決意に満ちた目は覚えておった。

兎にも角にも、これで老後は安心じゃて」


何がフォッフォッだ!老後は今だろうが!!

それにアンタはあと100年は死なねーよ!


「まぁ、良かったんじゃねーの?リリーさんも」


「なんじゃ?何を不貞ておる。セイには3人も美人な嫁候補がおるじゃろ」


「いや嫁候補って…二人は妹…娘みたいな存在だし、聖奈に至っては無理だぞ。向こうも相手にしないだろうし、俺も聖奈以外がいい。一生虐められそうだし…」


聖奈さんはビジネスパートナー兼仲間だからな。

家族のような存在であって、恋人のような存在とは対極だな。

エリーとミランは…今後に期待だな。理想は10年後のミランと結婚したいけど…その頃には俺はいいおっさんだから嫌われている事だろう…悲しいが…

エリーは…危なっかしすぎて…


いやいや!何を考えているんだ!?俺の目標はハーレム王だぞ!?

女は星の数ほどいるんだ!乞うご期待!!


「なんじゃ…まぁよかろう。若いというのは良いものじゃが、その時間はすぐに過ぎるでな」


「なんか意味深だな…まぁ、兎に角結婚おめでとう。どこに住むんだ?流石に床も無いような所には奥さんを住まわせられないだろ?」


「ん?ここに部屋がようけ余っておるだろ?そこに住むぞい」


ここかよ…爺さん一人なら構わなかったけど、リリーも住むんだぞ?

はぁ。

まぁいいか。聖奈さん達が良ければ。

どうせ旅に出た時の管理人を爺さんに弟子卒業と共に頼んだんだ。二人で好きに使ってくれ。ただし!俺のベッドは使うなよ!色んな意味で嫌だからな!




夕方、二人の結婚祝いは厳かに行われなかった。

どんちゃん騒ぎだ。


「リリーさんおめでとうございます。私も幸せな二人のように早く結婚したいです」チラッ


「リリーさん!お爺ちゃんおめでとうございます!これからもよろしくお願いします!」


「リリーさん。ビクトールさん。おめでとうございます。お二人の人生に幸多からん事を」


「爺さん。リリー。なんだか急な事で理解が追いつかないが…幸せにな。後、部屋は今の二部屋を好きに使ってくれたら良い」


同じような挨拶だが、誰がどのセリフかわかるな…エリーはこの後の事が頭から離れなくてずっとテンションが高いな。

ミランは相変わらずポーカーフェイスだな。心の中は小躍りしているだろうが。


「私もお呼ばれしてしまったがまさかビクトールが結婚とはな…それも私の娘よりも若くセイレーン冒険者組合の有望株と…まあ両方とも幸せにな」


「組合長も行くという事で、私まで来てしまいました。皆さん先日は助けていただきありがとうございました。お二人の行先が笑顔で溢れていますように」


組合長のリンドーンさんは何だが気まずそうだ。わかるぞ。あまりに歳が離れているとこっちでも同じ反応なんだな。爺さんは決してロリコンでも若い娘好きでもないのは弟子である俺はよく知っているから良いが、世間の目はどうなんだろうな?

まぁ、二人とも気にするタイプじゃないか。

マークさんは小さくなっているな。酒でも飲んで気楽にしてくれたらいいけど。

上司と一緒だと無理だよな。

そしてリリーの両親は呼べていない。リリーの里はここから馬車で2日くらいの距離がある為、報告は後日みたいだ。

なので後は


「リリーおめでとう!夢が叶って良かったね!」


「リリーおめでとう!ずっとこの日の為に努力し続けていたんだから、離しちゃダメよ」


リリーの元パーティメンバーの二人が駆けつけてくれた。

名前は端折る。

だって二人とも既婚者なんだもん…

リリーに負けず劣らずの美人さんだけど既婚者か…馬鹿野郎ーーー!


「みんな態々集まってくれてすまんのう。この席は元弟子とその仲間が用意してくれた。そしてこの出会いも。これからはリリーと二人でセイの家を守っていけれたらと思うとる。

元とは言え弟子に出来る数少ないことじゃからのう。

皆、ありがとう。これからも儂とリリーをよろしく頼む」


パチパチパチパチ


「みんなありがとう。元パーティメンバーの二人には特に心配を掛けた。私も漸く寄り添えるモノを見つけられた。

不束者だが、これからもよろしく頼む」


パチパチパチパチ


さて挨拶も終わった事だし、地球式のイベントをするか!ミランとエリーが待ちきれなくなっているしな!


「ジャジャーン!!二人には初めての共同作業をしてもらいます!」


台車に乗せたウエディングケーキを運んできた聖奈さんが告げる。


挿絵(By みてみん)


ケーキは3段のかなり大きなモノで、純白のホイップでコーティングされていてフルーツも盛り沢山だ。最上段はこれでもかとイチゴが乗っている。


「ふっ。ふっ。ふっ」


「はっ。はっ。はっ」


二人とも待てだぞ?というか、過呼吸で倒れるなよ…?

美少女が出してはいけない音が聞こえるぞ…


「おお!これは凄いな。これもセーナ殿が?どうだウチの末っ子の嫁に来ないか?」


「セーナちゃん凄すぎるわ…何かわからないけどこれは凄いものよ…わかるわ」


みんな初めての生クリームでデコレーションされたケーキを見て、驚愕している。

後、組合長。聖奈さんが嫁に来たら家を乗っ取られるぞ?


「共同作業?はて?なんじゃろな」


「新婚のお二人にこのケーキを切ってもらいます!」


「斬る…得意だが、食べ物を『切る』のは苦手だな…」


リリーは台車ごと斬りそうだからやめてな。

爺さんはケーキを爆発させそうだな。


「では、こちらのナイフでお願いします」


そう言って聖奈さんは長いナイフを渡した。


二人はぎこちないながらも何とかケーキに入刀出来た。

その後は聖奈さんに代わり、みんなに切り分けてケーキを渡した。

だが…


「二人はちゃんとご飯を食べてからね」


エリーとミランはこの世の終わりみたいな顔をしていた。



ミラン「あの!エリーさんのケーキの方が大きいのですが!」


聖(ミランも自己主張するようになってくれたか。くだらん内容だけど…)


聖奈「じゃあ交換する?ミランちゃんの方にはイチゴが多く乗ってるけど?」


エリー「交換しましょ!?」


ミラン「いえ。私は大人なので我慢します」



水都編はもうしばらく続きます。

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