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70話 最先端魔導具とモルモット聖。





キィィイイイン


「これで大丈夫なんだよな?」


カードキーを使い、魔導具を起動させたが見た目には変化がない。


「セイさん。開けて見てください」


「頑張ってください!」


おいっ!実験台か!?そうなんだなっ!?

まぁ、適任者は俺しかいないよな…


「じゃあ行くぞ」


バチンッ


「いてっ!?」


なんだ!?静電気!?

手が痺れている…


「だ、大丈夫ですか!?」


ミランが焦って俺の手を握ってさすってくれた。

アンタはええ子や。エリーなんて俺がビリっとした瞬間に一瞬で10mくらいの距離を離れたぞ…

まぁ、それくらい用心深い方が冒険では生き残りそうだが…俺はいつか見捨てられるのかな?


「大丈夫だ。ちょっと待ってくれ」


俺はそう言うと


『魔力視』


うおっ!?これは凄いな…


「どうでしたか?」


「家を包む様に魔力が展開されているぞ。多分どこを触ってもビリっとくるだろうな」


「『魔力視』わっ!ホントですね!これはこれで綺麗です」


エリーも確認した様だな。


その後、石は見当たらなかったが砂糖を入れていた空瓶があった為、投げつけたら…瓶が粉々に割れた。

あれ?もしかして俺は危うくああなり掛けてたのか?


「セイさんがああならなくてよかったです…」


「何て危険な…」


「とりあえず二人は絶対に触るなよ。もしかしたら俺の魔力が高いからあの程度で済んだだけの可能性があるからな」


防犯がバッチリなのを確認出来た為、三人で仲良くリゴルドーに転移した。

新しい家で寝ないのかって?

だってオフトゥンがないんだもの…





「じゃあ、俺は地球に行くから二人は寝てて良いぞ」


夜になり、月が出たので俺は地球へと帰った。




「お疲れ様。頼まれていた家は買えたぞ」


マンションにいた聖奈さんに今日の出来事を伝え、家の写真も見せた。


「うわー!良いね!私の予想を上回るとは聖くんもやるね!それに家具付きで、防犯対策もしてあるなんて言うことなしだよ!」


「お褒めの言葉をありがとう」


正直俺は面倒だったから一軒目でも良かったとは言えない…


「高かったでしょ?いくらだったの?」


「それがな…ほぼ無料だったぞ」


そう。俺はサインをしたが金は払っていない。


「えっ?どう言うことかな?逆に怖いんだけど…」


「そうだろうな。俺もそう聞かされたなら何をしたのか怖くなりそうだわ。

話は単純で、商人組合に行った時に国王から伝言があってな。酒がほしいって伝言だったんだ。それで手持ちの酒を渡したら、褒美に何がほしいって言われて、欲しいものはないけど家を探しているって言ったらこうなった」


端折ったけど聖奈さんなら大丈夫だろう。


「なるほどね。この前は急なお泊まりをしたくらいだからかなり気に入られたと思っていたけど。これほどとは…何か対策しなきゃ…」


最後の方は難聴系主人公が働いて聞こえなかったが、概ね理解してもらえた様だ。


「とりあえず、向こうの家には魔導具が備わっているからエアコンも、冷蔵庫も洗濯機もいらないよな?」


「まだ見てないし使ってないからなんとも言えないなぁ」


そりゃそうか。俺はエアコン擬きと冷蔵庫擬きが使えたらいいけど、聖奈さんは料理するもんな。


「じゃあ、使って見てからと言うことで。それと寝具はどうする?」


「それはすでに頼んでるから明日には会社に届くよ」


完璧やんけ…また先回りされたし…


「じゃあそれこそ何もいらないのか?」


「うーん。小物はいるんじゃないかな?調理道具やお皿やコップとかは」


「そうだな。時間もあるし買ってこようか?」


お月様はまだまだ健在だ。天気が悪くなる予報は出ていなかったしな。


「それなら私も一緒に行くよ」


「そうか。無理していないなら頼むわ。俺は食器選びのセンスはないからな」


久しぶりの地球での買い物だな。

いつもの夜でも空いている店に行こうかな。

俺は久しぶりに通勤で使う道以外での運転にドキドキしながら向かった。


「あっ!そう言えば金下ろさないとな…」


久しぶりにお金を使う事になって財布を覗いたら、学生の小遣い程度しか入っていなかった。

最寄りのATMに寄る。

俺は現金派だからな!カードとか電子マネーとか使ったことがないとも言う!


ATMでお金を下ろした俺は車に戻ってきた。


「なんだかお金が増えてる…」


「そりゃそうだよ。給料が振り込まれているんだから。

もしかして振り込まれてから初めて降ろしたのかな?」


「…そうです」


だって現金は宝石売ったお金があったんだもん…

預金が何百万もあると間違いなんじゃないかとドキドキしたな…


聖奈さんとの買い物を終えて、俺は異世界へと転移した。

もちろん2人へのお土産と、国王に献上した以上のお酒も買ってきた。

やっぱり酒は重たいな…魔法の鞄の有り難みを地球で感じまくるぜ…





転移室に帰ってきた俺はミラン達が寝ているいつもの部屋へと向かった。


「寝ているだろうから静かに入らないとな」


なんだか少女が寝ている部屋に忍び込む変態になった気分だが…違うよね?


ガチャ


(そーっと)


「お帰りなさい。お疲れ様でした」


「お疲れです」


「あれ?起きていたのか?もう0時を回るぞ?」


二人にはそれぞれ腕時計を渡している。こちらでの時間というよりは、仲間内での待ち合わせや、予定の為のものだ。

子供の夜更かしは成長に良くないから、いつもは11時までには寝る様に聖奈さんが口を酸っぱくしていっていたが…

鬼の居ぬ間か…


二人はまるで飼い主が帰ってきた時の犬の様に、目を輝かせながら何か(・・)を期待している。


「いや、ダメだぞ?もう遅いからお土産は明日だ」


心を鬼にして二人に伝えた。

そんなチワワみたいな目をしてもダメなものはダメだぞ…


「セイさん…後生ですから…」


いや、難しい言葉で誤魔化すな。


「セイさん…背中流しますから」


やめろ。エリーなら犯罪じゃないと言えど、聖奈さんには通用しないぞ。


俺は二人の戯言を聞き流しながら寝かしつけた。

その後、冷蔵庫にデザートをしまって、キンキンのビールを飲んでから寝た。





翌日、デザートにありつけた二人の機嫌は最高に良かった。これで聖奈さんに変な事は吹き込まないだろう。

なんで俺がそんな心配を…


その日の夜に聖奈さんを迎えに地球へと転移した。


「これから会社に行けばいいのか?」


『うん。待ってるよ』


マンションに姿が見えなかったから電話したところ、どうせ会社に行かなきゃならない為、会社で待っているとの事。




会社に着いて聖奈さんと合流した後、一階の倉庫へと


「これは凄い量だな…」


「私にかかればこんなもんよ!」


いや、あんた注文しただけや…


段ボールで10箱もある…

プラス砂糖と胡椒、その他も大量に…

まぁ、転移魔法よりはるかに楽だからマシだけど…


俺は地道に多くの物を転移させていった。

リゴルドーの家にはまだ大量の砂糖があるため、ほとんどの物は新居へ。


「キッチンしか見てないけど凄い豪邸だね!」


荷物の第一陣と共に、聖奈さんも新居へ転移させた。

最後の荷物を運んだ帰りに地球へと連れて帰ったけど。


「気に入った様で何よりだ。キッチンは聖奈の領域だから好きにしてくれ」


「うん!私いい奥様になると思わない?」


「…そうだな。いい奥さんにもいいお母さんにもなれるよ」


二人の子供を管理しているのも凄い。俺は手玉に取られそうなのに…


「もう!子供は気が早すぎるよっ!」バシッ


いてっ!


「夫婦漫才をしてていいのか?他にする事は?」


なんだよ…俺は素直に褒めることも許されないのか…?


「この書類にサインをしてね!もう!安心して!変な書類は混ぜてないから!」


書類と聞いて俺が目を細めた事に対してこの言い草だ。

俺は信用していないからな!

他は全面的に信用しているけど。


書類にサインをした後、マンションまで帰った。

その後、二人に連日のお土産を買う為に歩きで出たが帰りがけに居酒屋があった為、二人で晩酌をする事になった。


翌朝あんな事になるなんて…

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