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60話 魔導王に俺はなる!!






魔導王国に入った俺達は王都を目指している。

今日はミランを朝から帰省させている。

暫く帰れていなかったからな。


つまり、聖奈さんと二人きりなわけだ。


「ここから5日くらいって話だったけど、今日はどうするんだ?」


「今日も町に泊まりたいけど、時間が合えばだね」


「そうか。この馬車は他の馬車より速いからか」


普通の馬車で5日っていう事は、この馬車で野宿覚悟で移動すれば4日くらいでつくんだろうな。

一々宿場町に泊まっていたら折角の速度が勿体ないもんな。


「やっぱりどうにかして車とか持ってこられないかな?」


「いや、それは前にも話し合ったけど、目立つからやめにしただろ?」


以前こちらで活用出来そうなものリストを作って話し合ったけど、車はやめにした。目立つ上に道が悪いから性能を発揮出来ないということで。


「でも、ここは魔導王国だから変わった魔導具って言うことでどうにか誤魔化せないかな?」


「新しい発明品って事か?さすがに車は国が黙ってないんじゃないか?」


「そうだよね…わかってたの…」


あまりの馬車の旅の長さに、聖奈さんは限界なのかもな。

聖奈さんの予想よりこの世界の文明が発展していなかったのが、相当堪えているんだろう…


「俺達が乗るのは当分先になるだろうが、一つ考えがある」


そんな聖奈さんに俺の思いつきを伝えた。


「えっ!?どんな方法!?」


「エンジンを下ろした車を魔導具を作っていたり開発している人に渡すんだ。

そうすれば…」


「そうか!後は動力を魔導具で生み出せば車だね!!」


あれ?最後まで説明聞いてくれない感じかな?


「ま、まぁ、そういう事だ。後は王都で有望な職人を見つけないとな」


「任せて!そういうのは得意だから!」


知ってます。そして数々の犠牲者も…


その後聖奈さんは計画を練るとか言って馭者を代わり、馬車の中へと入っていった。

俺の休憩の番なんだが…とは言えず。喜んで交代した…






「面白そうですね!わらしもおてつらいしまふ!」もぐもぐ


ミランさんや。お口のデザートを飲み込んでから喋ろうね。


ミランと合流した後、車の件を伝えたら喜んで手伝うと言っていた。

もちろん今日のデザートがミランだけ二つあるからではない。

そうだよね…?


見事、デザートの倍の権利でミランを買収した聖奈さんはミランを連れてテントの中に入っていった。


「寝るには早いから作戦会議かな?ミランもデザートで釣られるとは…よく考えたら俺も酒なら動くな…」


よく考えなくてもこの3人ってみんな己の欲に弱いよな…

秋の夜は冷える為、焚き火が気持ちいいな。酔わない程度に酒を飲んで、一人寝ずの番をして過ごした。






「もうすぐ王都だよ!楽しみだね!」


「そうですね!甘い物もたくさんあると良いですね!」


普通5日かかるところを3日で着いてしまった。気候が涼しくなったり、馬達に地球産の高価な餌を与えて頑張らせた結果、3日目にして王都は目と鼻の先だ。


すでにすれ違う馬車や人はかなりの数となっている。

道はエンガード王国と比べて段違いに立派だ。かなりインフラに力を入れているようで、それが国の豊かさを象徴しているようだった。


暫く草どころか小石一つない綺麗な街道を進むと


「水堀か?」


「綺麗ですね」


「すごーい!たくさん橋がかかってるね!」


最後の妹キャラは放っておくとして、眼下には水が迷路のように張り巡らされた街がある。

道や壁は全てレンガで作られている。あれって無駄じゃ…綺麗だけどもさ。


「城壁が無いですね。この規模の街で城壁が無いのは初めてですね」


「ホントだね。でも奥の方に薄っすらと見えるお城にはあるね」


「流石魔導王国だな」


「ん?」「どうしてですか?」


俺の感想に二人が疑問を抱いたので答える。


「俺は定期的に魔力視を使っているだろ?」


「あっ!魔導具だよね?!バリア的な感じかな?」


流石聖奈さん。すぐに答えに辿り着くから面白くないよ!


「正解。この都市を覆うようにいくつかのドーム状の魔力が展開しているぞ」


「そんなモノが…世界は広いですね」


世界は広くてもあなたみたいな感想を漏らす13歳はそうはいませんよ?


「でも、相変わらず凄い列だね…王都はどこもこんななのかな?」


「時間帯も悪かったかもな。夕方で入るには際どいもんな」


壁は無いが、いくつかの橋の向こうに門が付いていて、そこを目指して列を成していた。






「漸くだね!一先ずは宿に行くよ!」


長いこと待たされて、漸く王都に入れた。

門を潜ると早速宿探しが始まった。

レンガの道を行くが、割れたりはしていない。それどころか馬車の振動も少ない。もしかしたら何か魔法的な要素があるのかもしれないな。


「でも、親切な門番さんでしたね」


門番は沢山の人を捌いて大変だろうに、俺達の質問に快く答えてくれた。


「うん!お陰で空いてそうな宿をいくつか聞けたから良かったよ」





挿絵(By みてみん)



街の中にも水路が張り巡らされており、日本では間違いなく見ることが出来ない景色が広がっていた。


暫く欧州の観光地のような、美観地区のような綺麗な街並みを行くと目的の建物が見えた。


「あれですね。門番さんが言っていたように白地の壁にレンガが綺麗な建物ですね」


「観光地のお洒落な建物みたいだな…」


「セイくんはヨーロッパよりアジア派だからあんまり嬉しくないかな?」


「そんな事はないが…なんかリア充の泊まる宿っぽくて…」


「こんな美少女二人を連れているんだから、セイくんは立派なリア充だよ!」


なんだよ…立派なリア充って…

しかも自己申告の美少女はやめろよ…

否定も出来ないし笑えないんだよ。非リアは…


宿に着いた俺たちは部屋に入り、旅の疲れを癒した。

翌日、朝から元気な女性二人に俺は二日酔いの頭に響くから『騒がないで…』とか細い声を上げた。


「だって遂に着いたんだよ!学園が私を待っているの!」


「いえ。セーナさんは職人を探す仕事が待っています」


俺たちの心のリーダーであるミランに諭される幼女。

しかしミランはミランでデザートに釣られてるだけだからなぁ。


「そういうセイくんはどうするの?やっぱり冒険者組合にでもいくのかな?」


「組合に俺一人で行ってもな。俺は商人組合に行って、情報を仕入れてみる」


最近二人が欲望に忠実だから俺がまともにならざるを得ん…

おかしい…前はこんなんじゃなかったのに…


「おお!流石社長兼会頭兼リーダーだね!私達は私達で動いてくるね!」


「セイさん。ご無理なさらないでくださいね」


聖奈さんからよくわからん肩書きの連打を頂き、ミランは二日酔いを心配しているのか、俺には出来ないことはするなと馬鹿にしているのかよくわからん言葉を頂いた後に、朝食を頂き宿を後にした。




「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか?」


こちらも普通の商人組合とは違い、レンガ調の建物だ。建物を建てる時に制約でもあるのかもな。


「こんにちは。王都には昨日着いたばかりで何もわからないので情報を買いたいのですが」


そう言って受付の同い年くらいの女性にカードを差し出した。もちろん無料で教えてくれることが殆どだが、中には有料の情報もある。

それに一見さんがいきなり何も売買がないのに情報だけ聞くのは憚られたからだ。

そう!私は小心者なのです!


「どう言った情報でしょうか?」


「弟子を募集している高名な魔導士の方をご紹介頂きたいのです」


そう。俺の目的は強くなって異世界ハーレムで毎日お酒飲んでグータラ過ごすことだ!

その為に才能?がある魔法を極めたい。


「?魔導士ですか?セイさんは商人の方ですよね?」


「商人でもありますが冒険者でもあります。そして魔法を使います」


俺が魔導士を探している理由がわからない職員に冒険者カードを出して説明した。


「そうでしたか。魔法が使える商人の方は多くいますが、冒険者と兼任されている方とは初めて会いましたよ」


「そうですか。それで魔導士の情報は…?」


なんか話が進まない人だなぁ…


「あ。すみません。魔導士の方ですね。うちと取引のある方でしたらご紹介出来ますよ。ただ高名な方になるほど気難しいといいますか…」


「大丈夫です。よろしくお願いします」


凄い人ほど変わり者なのはデフォだからな。


「少々お待ち下さい」


そう言い受付の女性は奥へと消えていった。



「お待たせしました。こちらの住所に行ってみて下さい。魔導士の方の名前は『エリザベス・ドーラ』様と言う方です。

情報料は無料ですが、失礼のないようにお願いしますね」


「心得ました。ありがとうございます」


住所の書いてある紙を受け取り、組合を出た。





「ここがエリザベスさんの家か…」


普通の…いや、王都の家の中では割とこじんまりした家が目の前にある。

俺は緊張しながら木の扉をノックした。


コンコン


「はい!今出ます!」


バタバタガシャン


「きゃー!」


えっ?なんだ?

ガチャ


「お、お待たせしました」ハァハァ


「す、すみません」


よくわからんが謝ってしまった。

俺の目に飛び込んだのは、魔女が被ってそうなとんがり帽子、その下から覗く銀髪、赤黒いローブ、身長は150センチ程度で美少女なんだけど…


何でずぶ濡れ?

ビショビショに濡れた少女が現れた。

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