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4話 任務。全てを破壊せよ!

 





「見つかったのはどんな鴨でした?」


 いや…ミランまで…


「登録者1000万超えのYou◯uberだよ。海外の人だから私は存じ上げないけどね」


「そうですか。内容は?」


 うん。何の話?とりあえず鴨がその有名人って事しかわからんな。


「自分が持っている家に、魔法をぶつけてみろって。もちろん、安全は担保してあるみたいだよ。

 簡単にいえば、『その家を壊せるモノなら壊してみろ。壊されても動画の利益でペイ出来るし、出来なかったらルナ教は嘘吐きだ』ってことだよ」


「馬鹿ですね」


 動画投稿ってそんなに儲かるの?


「それを配信で流して、私達に呼びかけてるの」


「つまり、そいつの家を魔法で破壊すればいいのか?姿を見せずに」


「うん。でもその人だけじゃないからね」


 ん?どういう事だ?


「だって、その人が家を壊されてさらに有名になって、動画でも儲かったら、模倣する人達が大勢出るでしょ?」


「ああ。確かに?」


「だから同じタイミングで、似たような事を言ってきている人達に同じような事をするの。

 そうすれば、一人に注目が集まることはなくて、模倣するメリットが減るでしょ?

 数も増えれば、ルナ教教祖様の信憑性も増えるから、それ以上証明する必要も減るしね!」


 可哀想に…

 恐らく俺達を挑発してきた理由は、聖奈が言う通りさらに有名になる為なんだろう。

 これだと目的の半分以下の注目しか集まらないだろうな…

 まぁ馬鹿につける薬はないから、どうでもいいけど。


 やるべき事がはっきりとした俺達は、翌日に備えて地球へと向かった。












「おはよう。今日からは転移ポイントを増やす為に旅行だよ」


 アメリカにある船着付き別荘で、聖奈が目覚めた俺に声を掛けてきた。


「何ポイントほどあるのですか?」


「6ポイントだよ。全部国が違うから大変だけど、みんなと一緒だから寂しくないよ!」


 べ、べつにぼっちには慣れてるし!!

 それよりもこの部屋は夫婦の寝室なんだが……何故かベッドが三つあり、ミランもこの部屋で寝起きしている。

 いいんだよ?

 大勢の方が楽しいし。

 でも、その露出の高い可愛い寝間着はやめて欲しい…絶対に聖奈の趣味だ……


「じゃあ、準備したらさっそく転移しようね」


 起きたと言ったが、ここはまだ夜だ。所謂時差だな。

 異世界転移は基本日本からするから、いつも体内時計が狂うんだ。


 準備を終えた俺達は、聖奈の作ったフレンチトーストを食べて、一つ目の国へと向かった。












「確かにここなら被害はあの家だけだな」


 山の中腹に見えるのは豪邸の一軒だけ。今ある転移ポイントからここまでは、レンタカーで一時間程掛かった。


「イギリスはこの家だね。聖くんには悪いけど、帰りは転移でレンタカーを返すよ。時間がないからね」


「いや、運転より楽だから構わんよ。次は?」


「次はね……」









挿絵(By みてみん)


 目の前には高層ビルがある。

 次の標的はこのビルの一室らしい。態々こんな面倒なところを聖奈が選んだのには理由があった。


「ここを個別で狙えたら、より凄いと思わない!?」


「…そりゃあな?でも、他に被害を出さないのは難しくないか?」


「そだね。でも、おあつらえ向きの魔法があるでしょ?」


 おあつらえ向き?


「アレだよ。アレ・・・・」


「ああ!確かに。それなら他の部屋には被害が無さそうだな」


「うん!もしあっても、その人のせいになるだろうから、あまり気にしなくていいよ」


 魔法を使った時点で、このビルの耐久値は落ちるもんな。まぁ、そのYou◯uberが悪いって事で、勘弁してもらおう。


「じゃあ次だね!」


 ここフランスでの用事はこれだけだ。

 俺達はその後、中国、日本、ブラジル、アメリカと渡っていった。













「お疲れ様っ!はいっ!ビールだよ!」


 ほぼ24時間で全ての場所を巡った弾丸ツアーは終わり、俺達は別荘へと帰っていた。


「サンキュー。ところで、計画の予定日はいつなんだ?」


 ここまで急な行動をしたんだ。一月後なんて事はないだろう。


「うん?あっ。伝えてなかったね。そういえば」


「いつものこと過ぎて忘れるなよ……」


 別にサプライズなんて求めてないからな?


「問い合わせへの返事は、イギリス時間で明日からの一週間なんだ。だからその間は無人のはずだよ。まぁ、隠れていて死んだとしてもしらないけどね」


「それは問題ないだろう。今となっては魔力波で人がいるかどうかはわかるからな」


「本当に気にしなくていいよ。元々その人達は反ルナ教の人達だし、勝手に動画でこっちに攻撃してきたんだから。

 だから私は実行期間と共に、責任はそちらにあるって声明を出したんだからね」


 ミランも激しく頷いている…

 この二人は本当にルナ様に感謝してるんだよな。いや、この場合は盲信か?


「わかった。それで?肝心の実行日はいつなんだ?」


「うん。明日だよ」


「えっ!?」


「出来れば一時間以内に、全ての場所で実行するよ」


 えっ!?


「急だな?」


「急だよ?」


 ……はぃ。


「はぁぁあ!今からどうなるのか楽しみですっ!」


 光悦な表情でそれを語るミランさんは手遅れのようです。

 やばい薬やってないよな?な?

 まぁミランが楽しみなのは、ルナ教の信者がどれだけ増えるのかってことなんだろうけど。


「準備時間が有ればあるほど、向こうに反論の余地が生まれるからね」


「でも、出来たら信じるって言っているんだろ?」


「そんなの信じられるわけないよね?そういう人達は難癖付ける為に生まれてきた人達だから、信じても無駄だよ」


 聖奈はYou◯uberに親でも殺されたのか?

 まぁSNSで、人の揚げ足取りや文句ばかり言う人達の気持ちは、俺にも全くわからんけど。

 アレって時間の無駄だよね?それで喜ぶ人なんていないし、いても共感者同士の傷の舐め合いだしね。


「面倒くさい奴らだって事はわかったよ」


「でも、今の世の中はそんな人達の声が大きいの。利用しても何の遠慮もいらないから、悪いことばかりでは無いけどね!」


 アンタが一番こえーよ…


「ということで!今日は休もっか!」


「わかった。ミラン。寝れそうか…?」


「楽しみで寝れそうに無いので、お酒を飲んで寝ますねっ!」


 ミランも立派なアルコール依存症になったな…

 お父さん嬉しいよ……














「『アイスブロック』」


 まず、イギリスにある大豪邸に向けて、巨大な氷塊を降らせた。

 上空に魔法の発動を確認すると、結果を確認せずに次の場所へと転移するために、詠唱を始める。




「『フレアボム』」


 次の標的に向けて魔法を放ち、さらに次へと立て続けに転移した。











 side聖奈


「本当に地球とは、便利な世界ですね」


 私の天使様がメイドコスプレを纏い呟く。今はアメリカにある別荘の一室でモニターを二人で確認しているの。天使様が近いから…吐息が……


「はぁはぁ……うん…You◯uber達がこぞってライブ配信してくれているからね…」


 はぁ…美少女の香り…


「あっ!あれはアイスブロックです!騒いでいますね!愚かな者たちが、失ったモノと得たモノを比較して、嘆く所は見えませんが、想像に難くありません」


 天使様が悪魔のような事を言ってる…

 次は小悪魔コスプレで決まりだねっ!


「こっちはフレアボムだね。あちゃー。あれじゃあ全焼しちゃうね」


 木造の立派な家屋だけど、あれじゃあ全焼だね。

 ま。この後の事なんてどうでもいいけど。


「ここはどうするおつもりでしょうか?」


「ああ、そこね。そこは流石に壊せないからね」


 でも、住めなくはなるよ。












 side聖


 目の前に見えるのは青空。

 うん。何言ってんだか。

 ここはフランスにあるビルの屋上。目標はこの数階下にある。


「よし。覆面も装着したし、行くか!」


 俺はベランダをつたい、下へと飛び降りていった。


「この部屋だな。おっ。あるある…」


 聖奈に指定された部屋には沢山のカメラが設置されている。

 さて。この部屋用の魔法を使うか。

 俺はその部屋のベランダの床へ手を付き………


「『アイスバーン』」


 ベランダと部屋の中は凍った。

 部屋の中にある三脚とカメラも全て凍ったし、恐らく家電や水道管、壁紙や床もパァだろうな。

 その光景を自分のカメラで撮影した後、別のポイントへと転移した。

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