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62話 助けるためにした事。助ける以外にした事。

 




 城に帰ってきた俺達は遅い時間にも関わらず王宮のリビングにいた。


「エリー。お前は悪くない。だからもう落ち込むのはやめてくれ」


「でも…セイさんが倒れたです…」


 聖奈か?余計な事を…


「切っ掛けはエリーの誘拐かもしれないが、それが無くても近いうちに倒れていたさ。

 それに誘拐は犯人が悪いのであってエリーに悪いところは一つもない」


「それでも自覚が足りなかったですぅ」


「…そうだな。これからは俺も気をつけるが、エリーも気をつけてくれなっ?

 俺は落ち込んでいるエリーより、元気なエリーが好きだぞ?」


 元気な時は大体聖奈に怒られているけどな…

 まぁその方が賑やかでいい。


「!!やっぱりセイさんは私の事が一番好きなのですっ!!セーナさんは怖いし、ミランはおやつばかり食べてるので仕方ないですっ!!」


 うん……もう少し元気落とせるかな?


「エリーちゃん。明日楽しみにね?」


「!!解決祝いにケーキですっ!?」


 なわけないだろ……罰だよ罰。


「エリーさん。私の方は明後日にしますね?」


「ミランもですっ!?これはお腹を空かせておかなければです!」


 そっちも罰だよ。


 元気になったエリーも一緒に寝た。

 まだまだ一人で寝るのは怖いみたいだ。


 やっぱりアッサリ殺しすぎたかな?








(気付いている人もいるだろうが、エリーは59話の途中から会話に参加しているぞっ!

 って、俺は何を言っているんだ?また魔力の暴走かな?)



 〜エリー誘拐発覚の少し後〜

「軍隊を山脈に連れて行くだと?」


「そうだよ。よく考えてみて?エリーちゃんが行方不明になってから私達が知るまではたったの5日しか時間がなかったの」


 たったのって…俺にとっては5日もだ。


「セイくんは自分が出来るからみんな出来ると思っていない?

 少なくとも王都から水都まででも単身で2週間は掛かるよ?馬を使い潰しても5日はかかるね」


「!!そうか…つまりエリーはまだ遠くにいっていないということか?」


「そうだよ。エリーちゃんはまだ北西部にいるよ。仮に車のような移動手段を向こうが持っていたとすれば街道で噂になるはずだし、そんなものを用意できるのなら掘削機くらい話を聞けば再現出来るだろうしね」


 聞けば聞くほどエリーはまだ向こうに連れ去られていないな。


「話しは戻すけど、山脈に王国軍を送ってほしいの。それも1000や2000じゃなく出来るだけね」


「…相手もその可能性は考えるんじゃ?」


「それはないよ。転移できるのはセイくんだけだと思っているはずだよ。トンネル間の道路工事の人達には高い給料で緘口令を敷いたから犯人達は集団で転移できるとは考えずに、セイくんだけを気にして行動しているはずだよ」


 …そうか。確かに気にするなら武王や覇王、破壊王…と言われて…いや、聖奈が広めている俺を最大限マークするだろうな。


「じゃあ山脈に連れて行けばいいんだな?」


「うん。相手はセイくんに見つからない事を最大限に警戒しているから少数のはずだよ。

 それなら犯人を見つけた少数の王国兵でも難なく捕獲できるはず。

 向こうは戦うよりも逃げる事に重きをおいた布陣のはずだからね」


 少しでも俺のことを知っている人からすれば、俺に正面切って喧嘩売るのは愚策だもんな。


「昼の内は私達と行動を共にして、兵を輸送するのは戻ってきてからだけど、いいかな?」


 もちろんだ。

 何もしないより何かしている方が気が紛れて魔力が暴れないと思うしな。

 何よりも何もしていないと怒りが湧いてきてしまうし。



 俺達は相手が必ず通らなくてはいけない山脈に、王国軍を散らばらせた。










 そして…

「エリー様を発見いたしました!!」


 夕方聖奈達を城に送った俺は更に追加の兵を山脈に送る為に転移したのだが、そこでエリー奪還の報せを受けた。


「良くやった!!見つけた者には褒美を弾む!!それで?!エリーは!?」


「こちらです」


 兵に案内されて山に作った拠点のテントに入る。


「エリー!!」


「…!セイさんっ!!」がしっ


 テントの中で椅子に座っていたエリーに声を掛ける。

 俺に気付いたエリーは立ち上がり飛び付いてきたが、その肩は震えていた。


「済まなかった。許してくれ。俺が不甲斐ないばかりに怖い思いをさせたな」


「うぅ…怖かったですぅ…」


「よしよし。みんなの元へ帰ろうな」


 エリーが離れなかったので、抱えたまま兵に指示を出して転移魔法で帰還した。









 side聖奈

 〜〜時は黒幕討伐当日の昼過ぎ、連邦首都にて〜〜


 黒幕の居場所が判明したけどまだ出来ることはある。

 態々こんな何もない国に来させられたんだから何か収穫がないとねっ!


「お前か?高額献金をするからと口利きを頼んだのは」


 40歳くらいの色黒で細身の嫌な目つきをした男が私に問いかけてきた。


「そうです。ですが口利きは嘘です。貴方と取引をする為に来ました。ダリー・ジョバンナの件です」


「!!?有益な情報なのだろうな?くだらん事だったら命はないぞ」


「人払いを」


 私はこの男…評議会下院議員のマクロス・レバーナに取引を持ちかけたの。

 この男はエリーちゃん誘拐の黒幕であるダリー・ジョバンナの政敵。


「その男は?」


「この男はこのままここにいてもらいます。私達の情報と取引を他人に聞かれて困るのはレバーナ様の方なので」


「ちっ。お前たち席を外せ」


 マクロスの言葉で部屋にいた護衛達が退室していった。


「貴様ら。何かしようものなら…『心配に及びません』…」


 黙ったから話していいよね?


 ダリーを今夜消す代わりにあるモノをマクロスに頼んだ。


「それが本当なら…だが!条件がある。ダリーの屋敷にいるものを殺すな。奴らは俺が引き取る」


「…絶対はありません。ですが可能です。取引成立ですね?」


「絶対に失敗(しくじ)るな。俺は何も聞いていない」


 また使える時が来たら利用させてもらうからそれまでに頑張って出世しててね?

 議長とは言わないけど上院議員くらいにはね?


 用は済んだし、私は部屋を出て行く。




 side聖

 〜〜時は元に戻る〜〜


「ふーん。下院と上院ね」


 連邦は軍事国家の為、階級がそのまま身分に直結する。

 評議会議員はその中の最高峰にあたり、下院が言葉通り下で上院が上だ。最高権力者は議長とのこと。

 わかりやすいけどわかりにくいような…


 まぁ地球の話とごっちゃにしたらダメだな。


「そのマクロスまではどうやって辿り着いたんだ?」


「聞きたい?」ニヤニヤ


「いい…」


 絶対碌なことをしていないな…

 可哀想な被害者がいるのだろうが、俺は聞かない。

 聞いたら存在してしまうからだ。

 シュレディンガーの猫かな?


 少し違うな…


「それで?これから向かうのか?」


「うん!頑張ってね!」


 いや…頑張りたくないです…

 しかもアンタ行かんのかい……


「私は溜まっちゃった書類を回さないとね。代わりにする?」


「いえっ!行ってきます!ボス!」


 俺の顔に出ていたのか、不満を言う前にもっと嫌な事を提示されてしまった。

 もはや反論の余地はない!


 黒幕抹殺後の翌朝の出来事でした。まる。





「それが拡声の魔導具か?」


 ライルは初めて見るんだったな。


「そうだ。前にナターリアの王に借りたんだが、これはエリーがそれを真似て作ったものだな」


「…爆発しないよな?」


「…エリーお得意の風魔法の分野だから大丈夫だろう」


 大丈夫だよね!?

 俺達は今、山脈に来ていた。以前エリーを保護したキャンプ地だな。

 あの後は大変だった。

 エリーを助けるために無我夢中で兵を転移させまくったが、いざ助けるとモチベーションが下がってな…


 しかし他国を跨いでいるから歩いて帰れとも言えず、仕方なく2日がかりで国軍演習場に送り返した。


「流石にここからは見えねーな」


「そりゃそうだろ。ここの麓にいるかも定かじゃないんだ。兎に角足を使って探そう。標的は見落としようがないからすぐ見つかるだろ」


 俺とライルは麓を確認しながら斜めに下山した。

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