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45話 旅行?そんなもん中止だ!だって命の方が大切なんだもん!






「さて。とりあえず飯だな!!」


旅行の準備をするのに結構手間取ってしまった。その為マンションを出たのが既に昼頃。お腹が空いてはなんとやらなわけでラスベガス(・・・・・)で昼飯をいただく事にした。

ここは夜だけど。


「おっ。あそこの看板の肉が美味そうだな!入ってみるかっ!」


もはやムキムキの外国人だろうが銃を持っていようが俺の敵ではない。

怖いのは聖奈だけでその他は取るに足らない存在だ。


「日本人か?この店はこのジャイアントビーフサンドが人気だぜ?」


店員さんはかなりフレンドリーだった。

身体的には強くても根は隠の俺は…


「ではそれで」


イエスマン…

いいんだ…俺がイエスマンで世界が平和なら…


いきなりだが、何故俺がラスベガスに転移出来たのかというと、地球で転移魔法が使えると判明してからは海外出張で初めての国や場所に行く時には俺が聖奈の前に現地に向かい忙しい聖奈の送り迎えを転移で行ってきた。

そんな感じで転移ポイントは世界中に増えていき、このラスベガスもそのお陰で転移できるようになったのだ。


正確にはラスベガスは出張の目的地ではなく転移ポイントを増やす為の寄り道として訪れていたのだけど。


ちゃんと観光するのは初めてということだな。


「ぷはぁ…腹一杯だ…」


ビーフサンドっていうくらいだからパンに挟んであるのかと思ったら肉で肉をサンドしてあった…

あの看板の肉肉しさはマジだったのか…恐るべしアメリカン…


「おお!やるな!日本人!これを完食したアジア人は数える程だぜ?」


じゃあ勧めるなよな…


「観光する場所はどこがいいかな?」


「ラスベガスは初めてか?それだけ英語が流暢なら何処へでもいけるんだろうが…そうだな…男一人旅は難しいな…夜景なんてみないだろう?」


一人旅で悪かったな!!ああ!夜景なんて興味ないよ!!


「そうだな…」


「ここからかなり遠いがグランドキャニオンくらいだな…後はベタだがカジノで遊ぶくらいだぜ?」


「ありがとう。今度は誰かと一緒に来るよ」


カウンターに食事代とチップを置いて退店した。

グランドキャニオンは見てみたいが…聖奈も見たいって言ってたからまたの機会だな。

カジノか……





「おいおい…兄さん素人か?この流れはプレイヤーだぞ?」


ここは噴水が有名な某カジノホテル。

そこのカジノスペースで選んだギャンブルはバカラだ。

した事はないんだけどルールは簡単だから覚えていた。

バカラはプレイヤーとバンカーに賭けることが出来るカードゲームで、絵札とテンカードはゼロ、他の数字のカードはそのまま数えるゲームだ。基本は二枚配られたカードの合計値の下一桁が9に近いほうの勝利という簡単なルールだ。

そして客はプレイヤーとバンカーの勝ちそうだと予想した方に掛ける事が出来る。

他にも別の掛け方や三枚目があるのだが細かい説明は無しだっ!!


俺以外の客はプレイヤーにみんな賭けている。

バカラは流れ(偏り)を重視する人が多いが俺は直感派だ。


「いいんだよ。どうせ泡銭だ」


嘘です。聖奈(恐妻)から渡された大切なお小遣いなんです。


「4対6でバンカー」


「嘘だろ…」


ふう。どうやら初手でお小遣いのお代わりをお願いせずに済んだな。


ちなみにここでの身分証は赤の他人のものだ。

空港…というか出入国審査場を通っていないから俺は日本にいる事になっている。


初めて転移魔法を使って海外に行く時にパスポートの問題はすぐに気付いた。

そこで聖奈さんは税理士(叔父さん)の助けも借りていくつかの国のパスポート(身分証)を用意したのだ。


どこの国でもカジノは基本的にパスポート(身分証)が必要だ。これマメな?




バカラで倍々ゲームのようにお小遣い(マンションにあったドル)を増やして今は最初の16倍くらいになった。正確には倍々ゲームではなくすぐに持ち金がそのテーブルのベット上限を超えたからかなりの回数プレイした。


「16万ドルか…時給換算したら……いや、これでもイー○ン・マ○クの時給以下やん。どれだけ凄いのよ…」


世界の富豪は半端ねーな…

しかし16万ドルは大金だ。

ここはラスベガス…金の使い道に困る事はない街…

うってつけじゃねーか!

しっかり散財してやるぜ!!


俺は世間からしたら地球でも異世界でも金持ちだ。だが、自慢じゃないが自由に使えるお金は資産の1割以下だ。

いや、ホントに自慢じゃねーし、婚約する前から聖奈に財布の紐を………

あれ?俺はいつ婚約したんだ?


そもそも婚約の定義は?

確かに『一生そばに居てくれ』なんて恥ずかしい事を言った記憶はある。

それが婚約した事だと相手から言われたらもちろんイエスマンの俺の答えは一つしかない。


『自由な時間をあげるから遊んできてね』

って…もしかして指輪を用意してちゃんとプロポーズしろっていう準備期間なんじゃ…?


あり得る…

貰ったお小遣いは100万程。(ちなみに資産の1%以下だから婚約前より酷くなってるなっ!!)

今回は偶々ラスベガスに来たから前に両替したままのドルを使えたが100万って婚約指輪の値段なのでは…?


俺はこれまでも聖奈の言葉を額面通り受け取って何度も失敗を繰り返してきた。

まぁ正確には聖奈だけじゃなくミランもなんだが…


そういう事だったのか…これが異性と付き合うという事なんだな!!


俺は大金を持って意気揚々と日本へと帰った。






マンションに帰った俺は聖奈がいない事を確認して聖奈の貴重品入れを漁った。

字面にするとヤバいやつだが…ヤバいやつだな。

見つかったらなんて言い訳するんだ?


「…!あった…」


聖奈の貴重品入れから時々付けていた指輪を見つける事ができた。


「これで指輪が買える…サイズを間違えるなんて如何にも俺がしそうなミスを事前に回避できたぜ…」


聖奈…待っていろよ!今まで散々馬鹿にしてきたが、俺はサイズを間違えずお前が感動するプロポーズをしてみせる!!

首を洗って待ってろっ!!


あれ…?ラスボスに挑む前の勇者かな?


「まぁ…あながち間違いでもないか……」


これまで散々『乙女心がわからない』だの『女性にモテないから安心』だの言われてきた俺の復讐劇がついに始まろうとしていた!





「やっぱ円だな!この一万円札の重厚さは他の追随を許さないな!」


俺はとりあえず持って帰ってきた大量のドルを両替所で円に変えた。

やはり日本のお札は金を持った感があるな。

初めて宝石を売った時の感動は日本だからこそ感じれたのだろう。


「よし…まずはこの指輪を宝石店に持っていってサイズを測ってもらうか」


ボストンバッグに現生を入れたまま、座銀にある俺でも知っている宝石店へ向かった。

ザギンって…シースーでも食うか?時差ボケのまま。






「こちらの指輪は12号になりますね」


おおっ!これでデザインは兎も角、サイズでは必ず驚かせるぜっ!!

デザインも店員さんに聞けば大外れってこともなかろう!!流石軍師聖。


「じ、実は…」


俺は婚約指輪を探していると店員さんへ伝える事に成功した!

自分がこんな事をする未来を想像したこともなかったから、ここが一番の難所だともいえた。


大政奉還で例えるならこれは薩長同盟に値することだ!

絶対ちがうけど。


「失礼ですがご予算はおいくら程でしょうか?」


あっ。そうだ。店員さんもそれがわからないと勧められないよな。


「1000万程でお願いします」


「は…い?」


「あっ!現金払いでお願いします!」


大事な事を伝え忘れるところだったぜ…

俺はニコニコ現金払い主義だ!!

カードはネット決済でしか使った事がないぜっ!!


「げ、現金で1000万ですか…?」


ん?若いのに耳が遠いのかな?


「はい。それでお願いします」


「……わかりました。続きはあちらのブースでお伺いします。お飲み物はコーヒーとお紅茶とミネラルウォーターがございますが、いかが致しましょう?」


えっ…飲み物?そんなに時間かかるのか?


「えっと…じゃあコーヒーをブラックで」


注文を聞いた店員のお姉さんは別の人に注文を伝えて、俺を席までエスコートした。


おかしい…指輪ってその場で現物選んでハイどうぞってイメージだったのだが…

郷に入っては郷に従う。東雲家の家訓だから従うけど。えっ?しらない?うん。今作った。

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