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17話 聖騎士(セイントではない)。





「何をぶつぶつと…『フレアボム』は…?」


俺は聖騎士の後方に魔力増し増しのフレアボムを放った。

聖騎士達は魔法を見た事が無いのかあるのかわからんが微動だにせず、フレアボムが高速で通り過ぎるのを眺めた。


ドガーーーンッ


弾け飛ぶ地面の小石が爆風の後、周りにパラパラと降り注いだ。


「次は当てる。どうする?本気で俺と事を構えるか?」


戦闘中にも関わらずまだ爆発点を見ていた聖騎士に伝えるが…


「ま、まぐれだ!一斉に掛かるぞ!」


「まぐれって…無理があるだろ…」


まるでミスターサ◯ンの『トリックだっ!』みたいに言われてもなぁ。


襲い掛かる聖騎士達だが、ライルの素早さを身近で見てきた俺にとってはハエが止まるような動きだ。


ヒュンッ


「マークッ!?」


一番初めに斬りかかってきた聖騎士の首を飛ばした。

俺の背後を取ろうとしてきた聖騎士はガゼル達が対応してくれている。


「ガゼル!バックス!ナード!助かる!もう少し頑張ってくれ!」


「次の町はセイの奢りだぞ!」


「馳走になる!」


コクコク


こんな時でも三人は普段と何も変わらない。

流石傭兵。

命のやり取りが日常だもんな。


俺は前方の聖騎士達が仲間の首を簡単に撥ねられて尻込みしている間に詠唱を済ませた。


『アイスバーン』


キィィィン


甲高い音と共に聖騎士達の足元が膝あたりまで鎧ごと凍りついた。


「ま、待ってくれ!俺は反対したん『ウインドカッター×4』ひぎっ!?」


前方に展開していた残りの四人の聖騎士達の命を纏めて刈り取った俺はガゼル達の方を見た。


「厳しいかと思ったけど。やるな…」


ガゼル達は五人の聖騎士達の相手をしているが、自分達は死なない様に上手く立ち回っていた。

相手はガゼル達から始末しようと囲もうとするが、息のあった三人の動きはそれを許さなかった。


向こうの方が剣術の腕も装備も上だが、事実践に関してはガゼル達の方が何枚も上手なのだろう。


おっと。感心していてはダメだな。

あくまでもガゼル達は俺の事を信用して時間稼ぎをしてくれているんだ。

その期待に応えよう。


俺は身体強化魔法を少し強めに掛けてまだこちらに意識が向いていない聖騎士に斬り込んだ。


ザシュッ

ヒュンッ


悲鳴すら出す暇もなく絶命した聖騎士が倒れると漸くその音でこちらに全員の注意が向いた。


「ばっバカな!?」「バーニー!?」


「セイ!早いな!」「これがAランク冒険者の強さか…」コクコク


騎士達は驚き仲間の名前を呼んだりして、ガゼル達はそれぞれ感想を言うが…ナードはなんか言えよ。


「さて。お前達お得意の神様への祈りは済んだか?」


「こ、この不信者がぁっ!?」


反応を返してきた聖騎士に不可視の刃が飛んでいった。


「後二人だな。お前達も祈りは済んだか?」


「ま、待ってくれ!俺には帰りを待…」


「ひ、ひぃ!たしゅけ…」


どうやら祈りは必要なかったようなのでそれぞれの首を斬り飛ばした。

生き残りがいるとこの国でお尋ね者になってしまうからな。


俺はいいが巻き込んでしまったガゼル達は困る可能性がある。よってこの聖騎士達には今世からの御退場を願った。


「すげぇぜ…最後の斬撃は線が走った事しか見えなかったぜ」


「戦争でセイと会わなくて良かった」


「バックスと同じく」


三人が俺に色々言ってくるがナードの声を聞いたのは久しぶりだった為、そればかりに気を取られた。


「とりあえずコイツらを片付けるから少し待っててくれないか?」


「それはいいけどよ…どうすんだ?最初の魔法で燃やすのか?」


遊んだら片付けないとな。ママ(聖奈さん)に怒られちゃうから。


「そんな事したら腕とか肉片とかがそこら中に散らばるぞ?」


「戦争でもあんまり見ねーな…」


自分で言ってゲンナリするのはやめろよ。俺も爆散死体とか嫌だわ!


「他に綺麗に片付ける方法があるから少し待っててくれ」


俺はそう言いながら魔法の鞄からブルーシートを取り出してその上に死体を運んだ。


もちろん転移のためだ。




「と、いう事で行ってくるわ」


「何がという事なんだよ!?」


流石に説明を端折ったらダメか…

俺は渋々と転移魔法について説明した。俺が転移できるのは知る人ぞ知る事なんだぞ!と伝えたが…


「ふーん」


「いや…なんかこう…あるだろっ!?」


どうやら何もないらしい。

世の中は広いんだからそんな事ができる奴がいてもいいんじゃね?

と、いうのが三人の言い分だった。


こうなると俺が遊び歩いている国王だって伝えても問題なさそうだが、それは黙っておこう。聞かれたら答えるけど態々いう事でもないしな。


俺は一人寂しく転移した。





「うーーん。後は捨ててきてね」


騎士達の死体はバーランドの王都に持ってきていた。

そこで装備や持ち物などを剥ぎ取るだけ剥ぎ取ると聖奈さんから後は捨ててきなさいと……


まぁ死体が欲しいなんて言われたら頭を疑うか遂に黒魔術でもするのか?と疑うしかないもんな。

あんのか?黒魔術?


「了解だ。こんな奴らでもキリスト教徒だから品は世の為に役立ててくれ」


「似非キリスト教だけどね。私にはわからないから装備はエリーちゃん行きだね。

はい。これコイツらが持ってたお金。三人にお酒奢ってあげてね」


どうやら聖奈さん(ママ)(子供)に友達が出来て喜んでくれている様だな。


「同性の友達でホッとしたよ!」


「一言多いんだよなぁ…」


確かに周りには女性が多い。しかし!それは過去のこと!これからは熱い友情に生きるぜっ!!




side三人衆ガゼル


「ホントに一瞬だったぜ…」


セイが目の前から消えた。


「世の中には知らない事がまだまだある」


「セイは強すぎるよ。一緒にいると喋れないもん」


ナードには相手の強さがわかる不思議な力があるからな。

その力のお陰で俺達は何度も助けられてきた。


「だが、セイは悪い奴ではない」


バックスは割と人を疑うのにな。まぁかくいう俺もなんだけど。


「そうだぜ!悪い奴どころか最高の悪友だぜ!」


「うん。良い奴なのは知ってるよ。でも強さだけじゃないんだ。なんかこう…存在が格上?みたいな空気を纏ってる」


だから!ナードの表現は難しいんだってばよ!


「それでもセイはツレだぜ?これからもなっ!」


「異論ない」


「それは僕も。敵対しないでね?」


ナードの言葉を聞いて身体が勝手に身震いしたぜ…

バックスもかよ…





side聖


「よっ。待たせたな」


なんやかんやで急いでも30分くらい掛かったからな。


「おう!美味い酒を頼むぜ!」


「セイを破産させよう」


コクコク


だからナードさんや…


「俺は金持ちだぞ?酒屋の酒がなくなるまで飲ませてやるよ」


10年来の友人の様な軽口を叩いて出発した。





「くそ…やっぱり手前の村で我慢するべきだったぜ…」


ガゼルが愚痴るのは、欲をかいた三人がタダ酒なのに安い村の酒で済ませられず先を急いだ結果だ。


「ガゼル…貴様を信じたのが間違いだった」


コクコクコクコクコクコク


先にデカい街があったはずだ!というガゼルの記憶を信じた結果なので仕方ないが……ナード首取れない?大丈夫?


「ここで野宿だな。だが安心しろ!俺には魔法があるからな!」


「いや、それは知ってるけどよ。何が出来るかはしらねーからな?驚けないぜ」


そりゃそうか……


「いやまぁ…転移なんだけどな」


「ん?この先の街にいけるのかっ!?」


「なに!?」


コクコクコクコクコクコクコクコク


やばい…言い出しづらい…

そしてナードさん…


「いや、この先には転移出来ん…すまん。俺が出来るのはここに簡易的な家を持ってくる事だけなんだわ…」


………


三人が冷たい視線を向けてくる。

いや、まぁ期待させたのは俺だけど…俺悪い?






旧型のコンテナハウス一号(現在バーランドではよりグレードの高い二号で暮らしている)を転移で持ってきた俺は三人を中に入れて、落ちてしまった俺への株を上げる為にある事をした。


「す、すげぇぜ…セイと友達になって一番嬉しいぜ…」


「セイ。ズッ友だぞ」


「セイ。結婚して」


いや最後!?お前も男だろ!?

俺のその扉は開かんぞ!絶対だ!!


「まぁ感謝はわかったから呑めよ。約束の奢りだ」


もうわかったと思うが、部屋の中に魔法の鞄に入れてきた沢山の地球産の酒を出したのだ。

初めは何かわからずに瓶達を眺めていたけど、いざ酒だと伝えるとこうなったんだ。


「う、うめぇ…」


「………」


「美味しすぎる…」


「口にあって良かったよ。いろんな酒があるから好みを言えば合う奴を渡すぞ?」


ホントに美味しい時は声が出なくなるんだな…

逆にナードは喋れてる…はて?


その夜は朝まで飲み明かした。

もちろん次の日は動けなかったから休みだ。

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