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154話 最終決戦?カットだ!





sideアンダーソン

「何故です!?援軍でしょう?!」


この男は皇国軍の総司令官。私を二度も助けてくれたセイ達を侮辱した男だ。


「我ら援軍はセイ達に指揮権を与える」


「は…?元帥であられるアンダーソン殿下が一冒険者の下に付くと?」


「下ではない。我ら王国軍とセイ達は友軍。同じ立場だが、指揮を任せると言ったまでだ。我らと同じくナターリア王国軍もセイ達に助けられている。それを聞いているはずだ!何故セイ達を蔑ろにした!」


「た、ただの冒険者でしたので…」


結果を出した者の言葉を聞けんとは、司令官失格だな。


「皇国はその冒険者に助けられているのだ。其方も国元に帰れば処罰は免れんぞ?」


こう言う立場を笠にきた奴は自分の立場、権力を失うのが嫌であろう。


「それは…で、ではどうすればお力をお借りできるのでしょう?」


「セイ達に謝ってこれからは従うと伝えるのだ」


この時の総司令官の顔は面白かった。是非兄上に見せてあげたいと思うくらいには。






side聖

「済まなかった…」


いや、おっさんに謝られてもなぁ…

謝罪には誠意が必要だよ!美女(誠意)が!


「では指示しますね」


「おおっ…では王国の援軍も…」


何だか感極まっているが、そんなに戦況はヤバかったっけ?


「とにかく守れ。以上。後は私達がどうにかするから余計な事はしないでね」


「は?」


おっさん…総司令官さんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているが、側から


「わかった。我が王国軍も守りに徹しさせよう」


「お願いします」


こうして今回の戦争の最終局面を迎えた。

いやまぁ、戦後処理もあるから終わりはしないんだけどね…






「よーし!行ってみよう!」


車に乗り込んだ聖奈さんが声を上げた。

ピクニックちゃうんやぞ!


「見えますか?」


「大丈夫だ。こっちで暮らすうちに目も良くなってきたしな」


不思議だ。確かに地球でも目は悪くは無かったけど、こっちで生活しだしてから視力が明らかに良くなってきていた。多分3.0くらいあるぞ。


『テレポート』


地球では使い道のない視力ではあるがこっちでは大活躍だ。

こちら側からみて帝国軍の裏を視界に捉えた俺はそこへ向けて転移した。






帝国軍50万の後ろに車ごと転移した俺達は蹂躙を始める。


『フレアボム』『フレアボム』


俺とエリーの魔法の発動を確認してライルがRPGを撃った。


ドゴーーーーンッ


『ぐぁあー!?』『何だっ!?』『足がァァ!?』


着弾を確認すると俺は車に乗り込んだ。


「行くぞ」


声と共に車をゆっくり走らせた。


『融合爆裂』こそ使わなかったが、色々な魔法、持っている殆どの銃弾を撃ち尽くして戦いは終わった。


この戦いの帝国軍兵士の主な死因は圧死だったそうだ。

前方にはいくら練度が低いと言えど完全に守りに入った40万の敵兵、後ろは人が多すぎて確認出来ないが何故か前方へと殺到してくる。


もちろん何故かは、俺達が未知の攻撃方法で帝国兵に悲惨な死を与えている為、パニックになっていたからだ。


前方は防御特化した槍衾の為、中々前には行けず、後方は逃げ惑う兵士が我先にと前方を目指した。

帝国軍の中央部にかかる圧力は凄まじいものだっただろう。


戦後戦中逃げようとしていた軍の指揮官級と思われる人達は聖奈さんが尽く狙撃していた。

最後まで逃げなかった指揮官級を捕虜とした。





「帰してよかったのか?」


アンダーソン殿下の質問に聖奈さんは


「指揮官と言っても負け戦で最後まで逃げなかったのです。つまり皇帝に忠誠を誓っているか、指示待ち人間のどちらかでしょう。

あの皇帝、皇族が慕われているとは思えないので後者でしょう。戦後処理の為に残った帝国軍を纏めてもいます」


使えるものは何でも使う派だからな!

エコだよエコ!SDGsバンザイ!


「ナターリア国王の親書に書かれていた事は事実か?」


「はい。その為に三ヶ国での話し合いの場を設けます」


うん。これは聖奈さんのしたい事…いやご褒美の為の話だな。

戦争は大切なものを守る為なら逃げなかったけど、ここからは逃げたい……


「わかった。皇国の皇帝に手紙を書こう。それと私は一部の兵と共に国に帰り、陛下へと報告をしなくてはならない。

後は任せるが良いか?」


「はい。お任せ下さい。それと先ほどの件はよろしくお伝えください」


「わかっておる」


総司令官のおっさんは話について行けていない為、ボーッと二人を眺めているだけだが、安心しろ!

俺もだ!


この後、王子から手紙を預かり俺達は皇都を目指した。

もちろん車でだ!歩いてなんて無理無理。

野営の合間に水都に報告に行ったりもしていたし、夜は通常業務もしていた。

リゴルドー、王都、水都の知り合いには情報を提供して敗残兵が野盗となって出る可能性などの注意喚起も行った。


まぁリゴルドーは立地上帝国兵が来る事はないと思うけど。


この世界に来てから海と言うものを見ていないが皇都は海から近いらしい。全てが終わったら見に行ってもいいかも。

近いと言っても皇都からは見えないけどな。





「じゃあもう戦争は終わったのか?」


ここはリゴルドーのミランの実家だ。夜にミランを連れて報告に来たところ。


「はい。王国には損害はなく、国軍も比較的無事です。ここは戦地からも遠いので敗残兵などの心配もありません」


「まぁ戦争の事なんて俺達にはわからんが、みんなが無事ならそれでいい」


バーンさんからの言葉に少し安堵した。

大切なお嬢さんを預かっているのに戦争に参加したんだもんな。

俺がバーンさんの立場なら1発2発は殴ってるな…

流石異世界価値観…いや、俺が過保護なだけか?だんだん地球の価値観が怪しくなってるから自信がないな。






「流石セイさんね!」「まぁ…エリーが無事なら」


こちらは王都のエリーのご両親だ。

こちらもどうかと思ったが、娘の年齢も年齢だけにあまり言ってこなかった。

いや、逆向きにはめちゃくちゃ言われた。


「娘が王国の英雄なんて…お城にお呼ばれした時のドレスを用意しとかないとね!」


「王様にお酒なんか注がれたらどうすれば良いんだ?」


その心配はいらないかな…

二人にはあまり吹聴しないように厳命してその場を後にした。





「明日の夕方までには着くみたいだよ。長旅も終わりだね」


あんた何も…いや、ご飯作ったり洗濯したりしてたな…

俺はもちろんずっとノロノロ運転だ。

俺たちだけなら車を飛ばしてすぐだが、大軍と一緒だとゆっくりだな…


車の中では俺以外のメンバーでババ抜きをしてるが、相変わらず運が大きく左右する物は聖奈さんは弱い。


そして遂に長旅が終わる。






「やっぱり皇都は大きいね」


小学生くらいの感想は聖奈さんだ。

しかしこれは仕方ない。

皇都の外観はやはりエンガードの王都と同じく高い壁に囲まれていてわかるのは壁の大きさくらいだからだ。

水都が特殊なんだよ。


水都はこの世界の文明レベルからは考えられないくらい国民の芸術性が高く、街行く人たちもお洒落だ。


「流石に入国審査はないよな?」


「ないよ。他国の来賓である私達にそんな事したら戦争だよ!」


いつから来賓になったんだ?まぁ王族の手紙を預かってるから無碍にはされないだろうが。


ここではもちろん軍の全ては入れない。

なのである程度軍での階級が上の者しか入らない。


「何だか凄いな…」


皇国軍が左右にわかれて皇都までの道が開いた。


「通れって事だと思うよ」


皇国軍はこちらに向かい手を振って何やら言葉を発しているがみんなが好き勝手喋るから何を言っているのかはわからん。

まぁ笑顔だからいい言葉なんだろう。


聖奈さん達女子組はサンルーフから身体を出して手を振り返しながらの皇都入場となった。

ライルは後部座席で昼飯の残りを食べている。食い過ぎだ。

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