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130話 ロリコン疑惑は晴らさなければならない!(使命)





「漸く諦めたか…」


5人組の冒険者は諦めたらしくこの場を去って行った。


「よっと」


木を降りた俺は冒険者達とは反対方向に向かった。


「大体、木に登って身を隠しただけの俺を見つけられない奴らと組んでも、俺にメリットが一つもないんだが。奴らはどんな根拠で俺を仲間に誘うつもりだったんだろう?」


報酬か?まさか…女か?くっ…それなら…いや、ミランが悲しむ…しかし…


俺がアホな妄想をしていると新たな魔力がこちらに向かってきていた。


「またかよ…」


俺は渋々木登りをした。





「あれ?あの子達は…」


俺の視線の先には以前助けた女性たちがいた。


「まさかまたオークに襲われていないだろうな?」


そう思ったが、向こうは全然普通にしている。もちろんこんな所でピクニックをするわけもなく、辺りを警戒しながら歩いてくる。

丁度木の下に差し掛かった時に声を掛けて姿を現した。


ザッ


「待て待て!俺だ!武器を下ろしてくれ」


急に背後から物音がした為、3人は武器をこちらに向けてきた。

やるじゃん…殴らないでね?


「セイ様!漸く会えました!あの時はありがとうございました!」


「サーヤだったな。様はやめてくれ。さんでもくんでも呼び捨てでもいいから」


様呼びをさせてるって聖奈さん達に知られたらなんて言われるかわからんからな。


「わかりました。あの時のお礼がしたいのですがセイさんの今日のご予定は如何ですか?」


「お礼?ああ。あれか…気にしないでくれ。ホントに助けたのは偶々だから。それよりあれからは大丈夫か?」


ライルが待ってるし何よりこの世界の酒はあんまりだからなぁ…

酒は地球産に限るぜ!


「あれからはより気をつけているので大丈夫です!お礼はご迷惑です…か?」


ちょっと待て!俺は聖奈さんの演技のウルウル上目遣いとミランのチワワしか耐性がないんだ!年頃の女の子にそんな風に言われたら…


「セイさん!行きましょっ!美味しい店を知ってるよ!」ガシッ


元気っこキャラのメイがまた腕に抱きついてきて、強引に逃げ道を塞いだ。


「わかったわかった。ご馳走になるよ。その代わりもう一人呼んでもいいか?別行動してる仲間がいるんだが、晩御飯はそいつと食べる予定だったんだ」


「もちろんです!行きましょう!」ガシッ


さっきまで黙っていた褐色黒髪のジーナが反対の腕をとってきた。

もはや連行されている人にしかみえんくない?

『この人痴漢です』

とか、急に言わないよね?


まだ夕方にはかなり早いが、仕方ないか。付き合いも大切だよな。大学の人付き合いからは逃げまくってきたけど。


後ろを歩いているサーヤから殺気が…

安心してくれ、メイにもジーナにも手は出さないから…

やっぱり嫌われてるんだな…

ほんの少しだけ、態々誘って来たから脈アリかと思いました。すみません。調子には乗らないのでその視線はやめて…


しかし、律儀だよな。身体を差し出させるって勘違いだけど、それでも仲間の為に嫌々差し出そうとしたり、それで嫌っているはずなのにお礼をしようとしたり。

異世界人は不思議だな。





「じゃあここで待ち合わせだな」


第二防壁内にある店の前を待ち合わせ場所にした。

俺はエトランゼの借家から水都に飛んでライルを迎えに行った。


「なんだそれ?俺が行く意味あるのか?」


「そう言わずに付いて来てくれよ…」


ライル(イケメン)を連れて行けば向こうの嫌々な気配を感じずに済むかもしれないからな。


「まぁかまわねーけど。今からか?」


「ああ。助かる」


なんだかお礼されるはずなのにされる側がこれだけ気を遣わなきゃいけないのか…俺は行きたくない…

とは思うものの、地球と違い連絡方法が乏しいこの世界ではドタキャンはしづらい。






「待たせたな」


ライルを連れて戻ると、すでに3人は店の前で待っていた。

何故か男と…


「セイさん!いえ、私たちも今着いた所です!」


3人は冒険者の装いではなく、町娘?ヨーロッパの民族衣装の様な格好をしていた。

まぁ俺も着替えたんだけど。誰得な情報だよ。


「知り合いか?」


「いえ、ただのナンパです」


向こうも彼女達と同年代の男3人だ。どうせなら俺と飲むより良さそうだ。


「私達はこの人達と予定があるので」


メイを守る様に立っていたジーナが毅然とした態度で男達の誘いを断っている。

うーん。そんなに気を使わなくてもいいよ?


「なんだ?こんな奴より俺達と飲もーぜ!ダンジョンの話も聞かせるからさ!」


「そうそう!こんなダサくて弱そうな奴より俺達と遊ぼーよ」


グサッグサッ…くっ何故だ!?何もしてないのにダメージが…

これは呪いか!?


「セイ。このアホ達はどうすんだ?20階層にでも放り込むか?」


「いや、何言ってんだよ…ここは揉め事は厳禁だろ?」


「だからダンジョンなんだよ。ダンジョンは治外法権だからな!」


ダンジョンの使い方間違えてないかい?あそこは夢とロマンが詰まっている場所で、合法的に人を処分する場所じゃないよ?


「はっ?セイさんが弱い?お前達なんかあの人の足元にも及ばないわよ!」


「馬鹿も休み休みにしてほしいねっ!セイさんなら3人がかりでも秒殺だよっ!」


「貴方達謝るなら今のうちよ。セイさんがその気になったら気付く間も無く死んでるわ」


ちょっと待て。俺はそんなに野蛮人じゃねーよ。こちらにおわすライル兄さんの方が100倍はやべーよ。


「はぁ?こんなヒョロガリに何が出来んだよ?俺たちはBランク冒険者だぞ?」


うん。殆どがBランクだからそれで自慢するのはやめようね。黒歴史になるから。Bランクでいきがっている所をみると多分新入りさんかな?

俺が相手を気遣っているとライルが前に出て


「お前ら新入りか?それなら一つ先輩として忠告しといてやる。

コイツは見た目はこんなだが、長らくBランクで燻っていた俺をたった一月程度でAランクにしてくれた恩人だ。わかるか?ここには20階層に到達したAランクが二人いる。喧嘩売る相手ぐらいBランクなら見極めろ」


どこの田舎のヤンキーかな?


「A…ちっ!行くぞ」


3人は先輩風を吹かせたライルの凄みに気圧されて去っていった。

そして残された女性陣が羨望の眼差しでライルと俺を見てきた。


「セイさん!以前はBランクだと言ってませんでしたか!?」


「ああ。あの後すぐにランクアップしたんだ」


サーヤの質問にすぐに答えた。

嘘つき呼ばわりされたら敵わんから焦って答えてもうた。


「そんな事より飯は?」


「ああ。そうだな。初めに紹介しよう。コイツはライル。俺の仲間で前衛をしている」


ライルの紹介もそこそこに店に連れて行ってもらった。

てっきり待ち合わせのところかと思ったが違うらしく、少し奥まったところにある店だった。

店の中は狭いが清潔感があり、貸し切り状態だった。


少しお洒落な隠れ家的なBARみたいだ。

初めての店と言うこともあり、3人のオススメに任せた。


「ではセイさんは今は21階層に挑戦中ということですか」


「そうだな。守秘義務で詳しくは話せないが合っている」


どうやら質問タイムが始まった様だ。合コンかな?

酒はやはり地球産の物の方がうまい。しかし、店主が酒に合うつまみを出してくれる。それが酒にホントに合って相乗効果で地球産の酒を上回ってくる。

良かった。食わず嫌いしなくて。飲まず嫌いか?


「他のパーティメンバーはいるのですか?」


「後3人いるな」


俺の左にジーナ、右にサーヤ、さらに右にメイ、さらに右にライルと店のカウンターを占拠している。テーブル席だと、3人掛けと4人掛けしかない為こうなった。


ライルはメイと仲良くお喋りしている。メイは明るく、お喋りも止まらないからライルが返事をしている形だ。

まぁ俺も気の利いたセリフの一つも言えないがな!


「やはり人数は多い方が有利ですよね?」


「そんな事はないぞ。仲間は信用、信頼が大切だ。それが出来ない奴が一人でもいると、命懸けのダンジョンでは上手くいかないんじゃないか?

もちろん信頼出来る人が多いのは強みで間違いないけどな」


それよりもサーヤ(右)が話しかければ次はジーナ(左)が話しかけてきて大変だ…やっぱ、ハーレム無理かも…


「えっ!?そんな子がパーティメンバーにいるんですかっ!?」


急にメイが大きな声をあげた。


「どうしたのよ?店主も驚いてるわよ?」


「だってセイさんのパーティメンバーが凄かったんだもん!サーヤ達は聞いた?」


「いいえ?まだよ」


ライルはなんて説明したんだ??


「何が凄いんだ?」


俺の問いにメイが張り切って答えた。


「だって14歳と18歳とセイさんと同い年の女の子達なんですよ!?私達と同い年と年下の子がAランクなんてびっくりです!」


「じょ、女性なの!?セイさん!?どういう事ですか!?」


えっ?何がどういう事なんだ?


「女性でも強い人は沢山いるぞ?それに何も強さだけがランクに直結しているとは思わないしな。

一番年下のミランって女の子は普通の子だけど、いつも冷静で的確だよ。ある意味俺達のパーティではリーダーみたいな存在だな」


あと世界一可愛いしな!特におやつを食べてる所とか!


「そ、そんな…セイさんがロリコンだとは…」


ちょっと待て!ロリコンではないぞっ!ストライクゾーンの広さには定評があるだけだ!!


「サーヤ。早とちりはダメよ。セイさんは優しいから年下の女の子を助けているだけかもしれないわ」


「そ、そうね…セイさん、その辺りはどうなんですか??」


なんかグイグイこられてる…もしや俺の毒牙からまだ見たこともない女の子を守ろうとしているのか?

俺のイメージは一体…


「ミランは家族ぐるみで世話になっているんだ」


「Aランクのセイさんがお世話になるって俄には信じられないのですが…」


まぁそうだよな。

仕方なく商人としての身分を明かして誤解を解いた。

ロリコンAランクの汚名は晴らしておかなければならないからな!

『アイツのAランクはロリコン検定らしいぞ!』

なんて噂されたら生きていけない…

サーヤ「セイ様!お久しぶりです!」


ジーナ「セイ様!お会いしたかったです!」


聖奈「セイくん…様付けってまさか異世界キャバクラでお金をばら撒いてるの?」


聖 (なんてタイミングだ…一番バレたくなかった人に誤解が…)「助けたからだよ。何だよ異世界キャバクラって」


ミラン「セイさんへの接触は禁止です!」


エリー「握手券はクッキー一袋からです!」


サーヤ「この二人が…くっ。セイ様がロリコンになるのも仕方ない様ね…」


ジーナ「くっ。3人の中では脈があるのはメイってことね…」


聖「まっ、待ってくれ!俺はロリコンじゃあ…行ってしまった」


サーヤ達は走り去ってしまった。聖はロリコン疑惑を払拭する事が出来るのか!?

異世界ロリコン勘違いされニキ物語!今始ま…りません。

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