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127話 謎の白道。





「えっ!?テンプレを一人でしちゃったの!?」


また馬鹿な事を言っているのはもちろん聖奈さんだ。


「いや、ギリギリだったから仕方ないし、そもそも今更テンプレじゃないだろ?」


「女の子を助けるのはいつでもテンプレだよっ!可愛い子は居た?」


気になるのはそこかよ…せめて心配してあげてくれ。

俺はあの子達を助けた後、すぐにエトランゼの家から転移した。

歩いてダンジョンを出たせいで配達時間にギリギリだったからな。

俺は時間指定は守る配達員なんだ!

そしてリゴルドーでのいつもの晩御飯後の報告会がこれだ。


「聖奈のタイプは一人いたな」


「えっ!?どんな子だったの?」


「小さくて元気っ子だったな。後赤髪だった」


メイは赤髪で肩くらいの長さ。サーヤは茶髪でポニーテール。ジーナは褐色黒髪でロングだった。

そう言えば黒髪は珍しいな。どこの国の出身なんだろう?


「セイさんから知らない女性の匂いがします」クンクンッ


ミラン。君はいつから犬になったんだい?


「まさか…セイくん?」


「違うぞ!その赤髪のちびっ子が帰り道で腕に抱きついてきただけだ!」


あれ?よく思ったらこれは弁解になってないような?


「セーナさん。ライフルでの狙撃は街中でも出来ますか?」


「待て待て!じゃれついて来ただけだ!何もやましい事はない!」


そして、俺はなんで弁解しなきゃいけないんだ?

本能か…


「話が逸れたけど、明日からまたダンジョン攻略を再開するぞ」


無理矢理だがなんとか回避しよう。


「強引ですね…怪しいですがいいでしょう。では竜に魔法を当てられるという事ですね?」


「ああ」


「凄いです!こんなに短い期間で出来る様になるなんてセイさんは大魔導士様です!」


エリー。多分買い被りすぎだぞ。

俺は普通の人とは違って魔法をほぼ撃ち放題だ。だから覚えるのや、研究、研鑽する事が早いだけだからな?


だが二つ名としては大魔導士はいいな。剣聖に続いて候補に入れておこう。

ちなみに俺が問い詰められている時にライルは一切助けてくれなかった。こういう時の同性メンバーだろ!?






「準備は出来たか?」


俺の確認に


「任せて!食料は5人で二週間分を魔法の鞄に詰めたし、私も鞄を持ってるから遭難でもしない限り、物資不足にはならないよ!」


「そうか。じゃあ出発するぞ!」


「おう!」「うん!」「「はいっ!」」


18階層の竜を確認した場所へ転移した。







「おかしいな」


俺の視線の先には(ドラゴン)は見当たらない。


「もしかしたら希少(レア)だったのかもな」


「レア?どういう意味だ?」


ライルの説明によると

階層ごとにいるキングは時々上位種になるとの事。ここの翼竜(ワイバーン)の上位種は竜。だから今回は通常のキング系に戻っているのでは?との事だった。

翼竜キングってどんななんだろ?


「だが今いない事の説明になってないぞ?」


「それは別の理由だ。多分どこかの冒険者と戦闘になっているんだろう。キングも攻撃したら洞窟、ここでは穴から動くからな。ドラゴンなら魔法を使うだろうからここにも何かしら痕跡があってもいいが、それがないから翼竜キングなんじゃねーかと思ってな。

まぁ全部俺の勘違いでドラゴンが魔法も使えずに遠距離で誰かに倒されたばかりって事も可能性はあるだろうが、そんな事が出来んのはセイくらいだろ」


なるほど…どっか飛んでいったなら今入るか?


「じゃあ待とうか!」


えっ!?なんで!?


「そうですね」


「何でだ?」


わからんから素直に聞こうホトトギス。


「だってここで飛び込んだら、もし冒険者が勝った場合は後ろから来るんだよ?そんなの嫌じゃない?」


「そうです。次の階層がどこまで続いているのか、何が待っているのか情報がないのに、あの絶対出くわす狭い道で他の冒険者に会いたくはないです」


なるほどな…じゃあ待とう。


暫く後

「戻ってきたな…翼竜が」


冒険者はやられたのかな?


「そうだね。何だかデカいね」


「はい。竜より大きいかもしれません」


そうなんだ。翼竜キングはデカい翼竜だった。


「翼竜っていうくらいだから魔法はつかわねーだろ。さっさと倒そうぜ?」


「そうだな…何だか怪我してるみたいだから可哀想だが…これもダンジョンの習わしだ」


俺は詠唱を始めた。


「えっ!?この距離で届くんです!?」


エリーが騒がしいが今は魔法に集中だ。


『アイスブロック』


遠くの上空を飛んでいる翼竜の上に氷の塊が出来て…自由落下を始めた。


「何となく出来そうな事と無理そうな事がわかるようになった」


エリーの言葉にてきとうに答えた後


「伏せろ!」


ドゴーンッ!!


「来るぞ!」


ドンッ


俺達を衝撃と突風が襲う。






「大丈夫か?」


とりあえず誰も飛ばされていないようだ。


「はい。倒せましたか?」


「ああ」


「よし!行こっか?」


「はいです!」


「おう」


穴の周りは砕けた氷がガラスのように光っていた。


穴に辿り着いた俺は最終確認をして、みんなが返事をしたので俺から飛び込んだ。






相変わらず何も無い所だ。音すらない。ただ白い道が続いているだけ…ノイローゼになりそうだ。


「どう?やっぱり転移できない?」


「そうだな。エリーと同じく他の魔法も使えないな」


だが魔法の鞄は機能している。何か違いがあるのか、それともそういうものなのか。


「じゃあセイくんも普通の人だね!」


そうだ。ここでは俺も普通の現代人だ。もし敵が出て来たらライル一人に前衛を任せなければならないな。


「じゃあライルを先頭に進もう。後は俺、エリー、聖奈、ミランの順で進むぞ」


「おう!」「「はい!」」「うん」


魔法が使えないのは不安だが、それでもライフルは使えるから大丈夫だ。大丈夫だよね?






半日後

「どこまで続いているんだ?」


身体強化なしで半日(6時間)歩き続けた。靴は良いものを履いているけど靴擦れは防げなかった。


「セイ。休むか?」


「そうだな。無理をしても仕方ないからな。みんな一旦休もう」


ライルは平気そうだったが俺とエリー、聖奈さんはキツくなってきていた。ミランもライルほどではないが平気そうだった。


「セイくん。靴下にガーゼ挟んでおいて。多少は靴擦れにいいから」


「さんきゅー」


聖奈さんからガーゼを受け取った。


「これはいいですね!スッキリします」


「良かった。汗拭きシートって言うの。まだあるから当分は大丈夫だね!」


ここでは風呂どころか水浴びも出来ないからな。魔法が使えたら水も出せるのに…そしたら転移して風呂に入るか。

サバイバルモノにあるラッキースケベはないようだな。あっても困るが…


「とりあえず食事が終わったら仮眠にしよっか?」


「そうだな。俺とライルで交互に見張りをするよ」


「ダメだよ。セイくんも魔法が使えなくてキツイんでしょ?みんなで30分づつ見張りをしたら2時間は休めるからそうしよっ?」


「そうです!私もします!」


「そうか。じゃあ一人30分見張りをしよう。順番は聖奈、俺、ミラン、エリー、ライルにしよう。順番は変更出来るから言ってくれ」


魔法が使えないからライル頼みになる。休憩中にトラブルがあってもこの順番ならライルの休憩はある程度確保できるだろう。

後は適当だ!


特にトラブルもなく休憩を終えた。


「よし。このまま次を目指そう」


俺達は先を目指した。






「ねえ。おかしくない?」


休憩後、4時間くらい経ってから聖奈さんが話しかけてきた。


「多分食欲と睡眠欲の事だろ?」


「うん。休憩中に誰も寝なかったのは初めての場所だからって思ったんだけど、流石にね」


「ああ。腹も減らないしな。なんならトイレも行かない」


身体は疲れるし、怪我もする。だけどお腹は空かないし、眠くもならない。汗拭きシートも汗をかいた訳ではなかったようだ。そして休憩の時に食べた飯が消化された気配がない。お腹がタプタプだ。


「みんな体調はどうだ?」


「疲れていますがそれだけです」


「私も同じです!おやつがあればもっと頑張れます!」


「俺は平気だぞ」


デザートが別腹というのは本当みたいだな…


「実はある仮説があるんだけど。……」

聖奈「聖くん。この漫画面白いよ」


そう言って聖奈さんが見覚えのある漫画を渡して来た。


聖「聖奈。これは前に借りた事があるぞ。懐かしいな」


聖奈「せ、聖奈って…遂に名前で呼んでくれたんだね…」


はっ?何を言って…あれ?ここはサークルでよく使っていた部屋じゃ…


聖「聖奈…ミランやエリーは!?ついでにライルも!」


聖奈「聖くん何を言ってるの?そんな名前の登場人物はその漫画には出てこないよ?」


ま、まさか…今までのが夢…?


聖「嘘ダァァァ!!??!?!」


ガバッ


エリー「今までで一番うるさいです」


ミラン「セイさん。向こうの病院で診てもらいましょう」


聖奈「どうせミランちゃん達に会えなくなる夢でしょ?もうワンパターンだよ…」


そう…後書きはいつもワンパターンなのです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんとなくの違和感 レアの発言がドラゴンがいないって点から出てくるのが謎でした。 普通だと前話のドラゴンの時点で出てくる話題のような気がします。雑魚が翼竜なのにドラゴンなのは違和感あ…
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