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122話 ドラゴンバトル!






「あの時は洞窟だったからわからなかったけど…ヤバかったな」


俺達は砂山から降りて洞窟の前に来ていた。

あまりの爆発に少し放心状態になってしまっていた。元々ない語彙力がマイナス域に…


「うん。戦争だね…」


「戦争ですか。セイさん達の世界は凄いですね。生き残れる気がしません」


ミラン。そんな戦地には生きてないから安心してくれ。戦地に産まれたら諦めるより他ない。

向こうの世界では一人で出来ることなんて少ないからな。

こちらでは一人の怪物が世界を動かせそうだけど。


「洞窟は無事みたいだな。無くなっていたらどうしようかと思ったぞ」


「そうだな。とりあえずここから移動しよう。遂に18階層だ」


俺は先陣を切って洞窟に入った。18階層もやはり砂漠だった。しかしこれまでの砂漠と違う所がある。


「なだらかだな」


「そうですね。すこし砂地が固いです」


俺の独り言にミランが応えてくれた。


「見渡す限り何もないね…何だかノイローゼになりそう…」


「確かに…」


何も目標物もなく、ただひたすら平らな砂地が続いている。一人で来たら発狂しそうだ。


「だが地面が固いから動きやすいぜ」


「そうです!靴の中に砂が入らなくていいです!」


一理ある。


「とりあえず真っ直ぐ向おう。その内反応があるだろう」


真っ直ぐ歩いていけばその内魔物が出てくるだろう。

但し、魔物にせよ何かあるはずだから五人で固まって歩く。俺が先頭でライルが最後尾。その間の2列目に左から聖奈さん、エリー、ミランの順番だ。






「セイさん!かなり遠いですが、何かがいます!」


急にミランが声を上げた。

ここは平らな地面の為、かなり遠方まで見通す事ができる。ミランの視力なら当然その距離は長い。


「悪いがまだ範囲外だ。もう少し近づこう」


「でも、魔物の目が良ければこっちに気づかれるよ?」


「仕方ない。毎回、先制攻撃できていた事が普通ではないからな」


覚悟して近づいていく。

まぁ、正面にいるんだから俺が後ろに行かせなきゃみんなを守れるしな。

と、思っていた俺を殴り飛ばしたい。





「魔力波に反応があったぞ」


ようやく捉えたが、まだ俺には肉眼で見えない。


「気付かれました。動きます!」


「よし!いつも通り、俺とライルが前に出るから二人は援護、もしくは他の敵を頼む!ミランは護衛を!」


「飛んできます!」


なに?


「そう言えば前回の2回目の砂漠階層は砂漠(デザート)砂鷲(イーグル)だったね。飛ぶ魔物縛りかな?」


ダンジョンに縛りとかはないと思うんだけど…

だが、予想外だ。これだと三人を守りづらいぞ…


「フォーメーションを変更する!相手はどうせ上からくる!聖奈はライルと組め!エリーは俺とだ!ミランは躱してくれ!出来るか!?」


「はい!躱してみせます!」


心配だが二人も側にいると剣が振れないし、そもそも守りきれない可能性がある。

それなら三人の中で一番眼も良く、俊敏なミランを自由にさせたほうが良い。


「ライルは聖奈を守る事に集中してくれ!手榴弾は空を飛ぶ敵に無力だからな!」


「わかった!」


こっちは2人がかりで攻撃できる。

ミランもハンドガンを持っているから接近される事があってもビビらせる事くらい出来るはずだ。


「あまり離れずにやるぞ!特にミランは俺達と離れるなよ!近ければ援護できる!」


「はい!守られます!」


うん。避けれたら避けてね?


「8体だ!来るぞ!」


頼む…砂漠砂鷲であってくれ…





パァンッ!


聖奈さんのライフルが乾いた音を鳴らした。

だが反応は減っていない。


「りゅ、竜だよ!当たったけど死なないよぉ」


「竜だと?!何でいきなりそんなのが現れるんだよ!!」


聖奈さんはスコープで確認したようだ。だが竜は聞いてないな…まぁダンジョンが『次の敵は竜だから!』なんて教えてくれるわけないけど。


「聖奈!!構わないから撃ちまくれ!」


聖奈さんに指示を出して俺は魔法の詠唱に入った。


『フレアボム』


漸く視認出来た時、魔法を群れに向かって放った。

竜を始めて見たから動揺して詠唱をミスりかけたけど何とか撃てた。


「くそ!」


初めての空中に向けての魔法は当たらなかった。


「あれは翼竜(ワイバーン)だ!亜竜種として有名な奴だな!」


「翼竜?あれが…」


ライルの説明で翼竜に会えて少し感動していたけど、そんな事をしている場合ではない。

翼竜は羽を広げたら幅2.5メートル全長は尻尾も入れたら3mはある。


パァンッパァンッパァンッパァンッパァンッ


『ギャギャオーン』


「効いてるぞ!頑張れ聖奈!」


「応援はいいからセイくんは対物ライフルでも撃ってよ!」


あっ…すまん。すっかり観戦していたな。

だってアイツらこっちが遠距離攻撃したもんだからホバリング?してるんだもん。


「よーし!かっこいい所見せてやるか!」


身体強化しても重たいんだよなぁ…反動も凄いし…


バァンッ!


『ギャオッ!?』


頭吹き飛んだぞ…グロ耐性が…


「やりました!命中です!消滅も確認しました!」


普段は冷静に報告してくるミランが嬉しそうに言ってきた。

もしかして俺が当てたのがそんなに珍しいのかな?






翼竜の群れは全滅した。

もう魔法とかいらんのとちゃうか?

みんな身体強化魔法覚えて、対物ライフルや機関銃で無双しないか?


「全て拾えました。どうしますか?」


魔石を集めた後、ミランが問いかけてきた。


「もちろん前進する。ここが砂埃がたたなくて良かったよ」


対物ライフルが壊れたら無理だもん。俺とライルだけなら突破出来るかもしれんけど。

それでも危険だな。


「わかりました。方角は…」


「方角はこのまま真っ直ぐだ。奴らがいた所が気になる」


そうアイツらは地上にいたはずだ。魔物でも疲れるから休んでいただけかもしれないけど何かあるかもしれない。

俺は魔法の鞄に魔石とライフルを仕舞って歩き出した。






「あったな」


俺の視線の先には穴があった。多分次の階層に行けるのだろう。


「だけど穴だぜ?何で洞窟じゃねーんだ?」


「わからん。けど、これまでも色々と変わってきたんだ。これがそのタイミングだったんじゃないか?」


「そうだね。それに上にボスが飛んでるから間違いないよ」


そう。穴の遥か上空に何かが飛んでいる。虫だといいな…蚊とか。


「セイくんも見て」


聖奈さんが双眼鏡を渡してきた。


挿絵(By みてみん)


「なんだ…?」


「多分(ドラゴン)だよ。翼竜じゃなくて普通の」


翼があるから翼竜でいいじゃん…


「竜だと?」


「ライルは何か知ってるのか?」


もう俺達の知識ではわからん。ここは長い事冒険者をしてきたライル博士に任せよう。


「竜は魔法を使う。前にエリーが言っていた固有魔法って奴だな。火を噴けば火竜、暴風を噴けば風竜ってな具合だ。

だが、魔法を使う翼竜だと思ったらダメだ。竜は単独で討伐すればAランクになれるくらい強いと言われている」


「流石18階層だな…」


「セイくん。どうする?ここからじゃ銃弾は届かないと思うよ」


「私の魔法も無理です。セイさんなら届くかもしれませんが」


「届いても避けられるだろうな。一応撃ってみるか?」


「やってみないとわかりませんが、確かに先程も避けられてましたもんね」


そうなんだよな。300mない距離で避けられたんだ。

どう考えても一キロは離れてるよな。しかも上方向に。


「一つだけ方法があるかもしれん…」


ヤバい攻撃方法に気付いてしまった…


「なに?怖い顔して」


「主に俺がヤバい攻撃方法なんだ」


「どんな方法ですか?」


そんなに怖い顔してるか?


「竜より遥か上空に転移して、RPGを下に向けて撃つ」


「「「「はっ?」」」」


いや、何をそんな可哀想な奴を見る目をしているんだい?


「何言ってるの?危ないキノコでも食べたの?」


「セイさん。黙ってお酒を飲んだのです?」


まて。ヤバいキノコも酒も飲んでない。と言うか、そんな事言うならエリーがこっそりクッキーを食べた事をバラすぞ?

まぁ俺が与えたんだが。


「攻撃される前にあの穴に全員飛び込めると思うか?」


「無理じゃねーか?そもそも倒さないと機能しない奴かもしれねーぞ。女王岩蟻の時みたいにな」


「だな。という事はみんなの安全を考えたらこの作戦しかないな」


「待ってください」


静かに聞いていたミランが待ったをかけた。何かいい案があるなら教えてください!パラシュートもないのにスカイダイビングはしたくないです!


「私も行きます。私が撃てばセイさんはすぐに詠唱を始められます」


「ミランちゃんダメだよ」


すぐさま聖奈さんが止めてくれた。良かった。俺が止めるとこだったからな。


「何故ですか?」


「私が行くからだよ」


「なぜ!?」


やばっ。ビックリしてでかい声が出ちゃった。


「何でってミランちゃんと同じ理由だよ。失敗してセイくんが死ぬなら私も死ぬから」


「それなら私が行くことを止められないですね」


えっ!?火に油注ぐ系ヒロインなの?


「残念。私はあれくらいの高さから落ちるのには慣れているから私が行くんだよ」


「そうか…軍の訓練で降下もしたんだっけ?意味ないと思ったけど、意味あったな」


聖奈さんなら仕方ない。死なば諸共だ。あれ?使い方間違えた?


「そ、それでも!私はセイさんが…」


「ミラン。必ず帰ってくるから心配するな」


わからんけど。でもこうでも言わないとな。


「なあ」


静かになったその場にライルの声が響いた。


「何で先制攻撃に拘るんだ?正面から戦えばいいだろ?」


「そうです。普通に戦えばいいのです!」


聖奈さん達は目を丸くしていたが、俺は


「却下だ。聖奈達には荷が大きすぎる。俺達の遠距離攻撃が当たらず、最初の攻撃が向こうなら死ぬ可能性が高過ぎる。もちろん当たってもダメージが通らなかったり致命傷にならなかったらやられるかもしれんが、リスクは少ないはずだ」


Aランク級の魔物だ。それも上空からの攻撃魔法。一撃で仕留めなければ動きの遅い女性陣が的になってしまう。至近距離じゃない限り銃火器は真上や上方向には弱いからな。


「ですが!!」


「ミランちゃん待って」


聖奈さんがまた待ったをかけた。今度は期待しているぞ!


ミラン「待ってください!」


聖奈「止めないで!」


エリー「じゃあ私が行くです!」


ミラン&聖奈「どうぞ!」


エリー「なんですと!?」


聖 (相変わらず遊ばれてんなぁ…)




ダンジョン攻略の今までにない強敵出現です。

おかしい…これは聖が楽して酒を飲むお話しのはず…

これじゃまるで真面目な冒険モノじゃないかっ!

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