119話 新生パーティの快進撃と過剰戦力。
「ミランは聖奈とエリーに指示出し。敵との距離にゆとりが出来たらミランも狙撃に入ってくれ。だがあくまでも索敵優先だ。
ライルと俺は、初撃を放った後は両端からそれぞれ斬り込む。以上だ」
オークの群れを捕捉した俺達はついにリベンジマッチの時を迎えた。
「おう!」「りょーかい!」「「はいっ!」」
返事が返ってきたので開幕の狼煙をあげる。
『フレアボム!』
俺の魔法の発動を確認した聖奈さんがRPGを発射する。
ドドガーンッ!!
ほぼ同時に着弾したのを確認して、俺とライルは反対方向に走り出した。
ここからは指示は出せない。仲間を信用して事に当たる他はないが…やはり心配は尽きない。
「なら一刻も早く終わらせないとな!」
自分に活を入れて敵陣に突っ込んだ。
sideミラン
「聖奈さんは左15度の敵から左側をお願いします。エリーさんはほぼ真っ直ぐの敵から右側をお願いします」
「りょーかい」「わかりました!」
パァンッパァンッパァンッ
ヒュンヒュンヒュンヒュンッ
凄いです。前回の狙撃速度の倍は早いです。しかも一撃で急所を。
エリーさんも同じく…いえ、一撃で二体葬っていますね…あれはおそらくウインドカッターの筈ですが、威力も増幅しているのではないでしょうか。
「私の出番は無さそうですね」
戦闘で動く余地がなく、仲間に何もしてあげられない気持ちがつい口をついてしまいました。
ですが私が動かなくてはいけない時は仲間のピンチなので無いに越したことはないですね。
それよりも…
「セイさん達の進撃が予想より早いです。攻撃を中心部と手前に逸れた敵だけに移行して下さい」
「りょーかい!」「はいっ!」
二人とも自分達が強くなっているのを実感しているのか、返事に覇気が増してます。
少し羨ましいですが、セイさんが適材適所と言っていたので私はこのポジションで頑張りますっ!
sideライル
「くっ!相変わらずド派手な攻撃だな」
セイが放った魔法とセーナが放った攻撃がオーク共にぶち当たったな。
俺は指示通り右側から攻める。
「あの銃弾やエリーの魔法は喰らいたくねーからな。頼むから当ててくれるなよ?」
流石に実力もわからない三人の攻撃は信用出来ねぇ。
だけど俺はセイの事は信用も信頼もしてるから従うけどな。
いくらか斬り込む事が出来たな。
それにしても後ろにも横にも一切回り込まれなかったな…
あの三人が倒したって事だろう。やるじゃねーか。
side聖
「おっ。銃撃音がしなくなったな。という事は終わりが近いってことか」
あらかじめ、ミランにはフレンドリーファイアを起こさない為に安全を重視した攻撃中止をお願いしてあった。
「ライルが見えたな。やはりもう終わりのようだ。後5匹か」
かなり早く殲滅出来たな。初めてゴブリンを殲滅した時よりも早かったぞ。
ライルが最後の一体を倒して殲滅戦は終わった。
俺は魔力波で確認した後にミラン達に集合の合図を送った。
「やったね!これで私達の強さが証明出来たんじゃないかな?」
聖奈さんはライルに向かって告げた。
「別に疑ってはねーよ。もし三人が嘘をついていても俺にはどーでもいいしな」
「えぇ…」
聖奈さんはライルのドライな対応にドン引きだ。
「セイが信じたなら俺も信じるだけだからな」
なんだろう。ここまで信頼されたら困るんだが。
特に聖奈さんのボケとかに。
「ふふふっ。遂にセイくんがBLの世界に…」
ゴッ!
「いったぁー!!?なんでよ!?」
「わからないと思っても何でも言っていいわけじゃないぞ」
俺はゲンコツを聖奈さんに落とした。流石に翻訳が機能しなかったようで三人には伝わらなかったが、ライルが意味を知ったらどうなるかわからんからな。折角の戦力を手放してなるものか!!
それに…
「俺は美女と美少女にしか興味ないから」
「BLとはなんです?」
ほら幼児の知りたい病が始まったぞ。何とかしろよ…
「BLはね。神聖なものだから私達は見守ることしか許されないの。だから気になっても聞いたらダメだよ?」
「わ、わかりました!」
なんか違う気がするが、エリーが神妙な顔つきで返事をしたからいいか。
流石異世界。信心深い…
DV聖が出たところで次の話に移ろう。
「オークキングだけど、どうする?」
「私にやらせてくれない?」
聖奈さんか。まぁ遠距離だから問題なさそうだな。
「わかった。みんなもいいか?」
全員の了承を得られた為、準備をした。
「へへーん。一度生き物を的に撃ってみたかったんだよね!」
聖奈さんが物騒な事を言っているが…対物ライフルの事だ。
俺が地面に設置して聖奈さんが引き金を引いた。
バァァァンッ!
「命中しました。敵の消滅を確認」
ミランが教えてくれた。
「すげーな。かなり離れてるのに良く当てたな」
そう。態々距離を取ったんだ。必要ないのに…
「どう?動かない的なら一キロ離れていても当てられるよ!」
「うん。凄いけど、ダンジョンでは使わんかな?」
そんな距離で攻撃して倒しても面白くないだろ!!
いざとなったらお願いします姉御!!
俺達は普通に転移して次の階層に行った。
13階層のワイルドウルフは問題なく突破できた。4階層で態々倒して突破したからな。問題は別にあったが…
「何だかワンちゃんを撃ってるみたいで…」
「言うな。考えないようにしてたんだから」
狼大量虐殺に地球人の俺達だけ、心にダメージを負った。
そして14階層の深い草原では、エリーが大活躍した。
『ウインドカッター3連』
ヒュンヒュンヒュンッ
「やりました!これで見えます!」
エリーが地面に並行して放った魔法で視界が取れた。
これからその魔法は草刈機と呼ぼう。
この階層では左右を俺とライルで歩き、中はミランを先頭にしてワイルドボアは俺とライルが歩きながら倒した。
ワイルドボアキングは
『フレアボム』
俺のフレアボムとは違い、小さな火の塊が高速でワイルドボアキングにぶつかる。
ワイルドボアキングにエリーのフレアボムが吸い込まれたと錯覚した次の瞬間
ドゴーン
ワイルドボアキングが弾けた。
「ダンジョンではいいが、外では使わないように」
絶対スプラッタで肉が暫く食えなくなる。そもそも素材や魔石が取れなくなるからダメだ。
「…そうするです」
どうやら生き物に撃ったのは初めてだったようだ。良かったなダンジョンの魔物が消滅するタイプで。
そして俺達は岩場階層である15層に着いた。
「まだ行けそうだが、どう思う?」
みんなの判断を聞く。
「行くぞ」「うん!まだまだ大丈夫だよ!」「夕食が楽しみです!」「行けます」
一人返事がおかしかったが大丈夫のようだ。まだ時刻は夕方前だしな。
「ここの魔物は見たら驚くぞ」
「セイくんが言うなら気になるね!ね!ミランちゃん?」
「そうですね。セイさんには驚かされてばかりなので、そのセイさんが驚く魔物と言うなら気になります」
驚かしていたか?あまりにミランが可愛くて驚く事はあったけどな!
ここからは隊列を戻してミランを先頭に進む。
「いました…?あれは生き物なのですか?」
ミランが見つけられたようだ。視野を広くしないと気付きづらいのに良く見つけられたな。えらいぞ!
「そうだ。かなりのデカさだぞ。コイツは遠距離からの高火力で倒さないといけない。エリー。さっきのフレアボムを撃てるか?」
まだ300m以上離れている。届くだろうか?
「大丈夫です!魔法自体を圧縮するので攻撃距離をかなり延ばせたですっ!」
「よし。じゃあ他は爆発で飛んでくる岩を警戒しよう」
みんなが了承したのを確認して、エリーが詠唱を始める。
『フレアボム』
先程の拳大の大きさよりもさらに小さくなった魔法が大岩亀に吸い込まれて
ドガーーーンッ
「凄いな。俺のフレアボムと全然違う」
俺のフレアボムは敵の表面で爆発しているが、エリーのは明らかに内部に到達してから爆発している。
俺のフレアボムだとここまで爆発での飛来物は飛んでこないが、エリーのフレアボムだと小石程度だが飛んできている。
「よし。魔石を拾って次の階層に着いたら帰還しよう」
「まだまだ行けるよ?」「そうですそうです!私の魔法で蹂躙してやるですっ!」
「何か理由があるのですか?」
特に聖奈さんはここでは何もしてないから不満もあるだろう。
「次の階層が厄介なんだ。どれくらい厄介かというと、俺とライル二人での攻略を諦めるくらいだ。詳しくは帰ってから説明する」
「お二人でそうなら帰ります!」
手の平返し選手権があるなら、優勝者はエリーで間違いなしだ!
俺達は16階層に到着後、リゴルドーの家に転移した。
俺とライルの説明に聖奈さんはずっと顔を青くして鳥肌をたてていた。
頑張れ聖奈!負けるな聖奈!
聖「えっ?水都に行きたい?」
聖奈「うん!送ってくれるかな?」
聖「いいけど…(新しい場所以外で珍しくウキウキしてるな…何か良からぬ事を…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
聖奈「ほほーう。ふむふむ。デュフフフッ」
送った後、こっそり聖奈の後をつけていたら学園の近くの高い建物に入った。そこで聖奈はスコープで学園の覗き見を…
聖 (こいつ…読唇術で会話を盗み聞きしてる!?)「こらっ!」
聖奈「ひぃっ!な、なんだセイくんか…驚かせないでよ!」
聖「それはこっちのセリフだ!何をしているんだ!この変態!」
聖奈「な、何も?」カサッ
聖「もう種は割れてるんだ!スコープで覗きをして、学生達の唇を読んで会話を盗み聞きしていたろ!」
聖奈「ふふふっ。バレたら仕方ないわ…これが私の修行の成果よ!」
聖 (ダメだ…コイツはもう末期だ…)「病院いこうな…?」
ここまでお読みくださりありがとうございます!
深夜のテンションで後書き書いたらめちゃくちゃでしたが敢えてそのまま載せました!
(他に思いつかなかったとも言う)




