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109話 忘れたのか?この話しはバトルモノなんだぜ?






俺達は砂漠と森の境目に来ている。


「準備はいい?」


「はい!必ず成功させます」


「はい!ぶっ放します!」


何だか一人危ない奴がいるが…見守ろう。


「エリーちゃん反応は?」


「ありません!」


エリーが魔力波を使ったようだ。


「もう少し進むけど慎重にね!」


二人は頷いて応えた。




「あります!右前方から!向かってきています!」


そうだ。敵の方がこちらを捕捉するのが早かったな。

以前もそうだったが、オーガはどうやってこっちに気づいたんだ?

まぁそれよりも…


「こっちが先手を取りたかったけど仕方ないね!作戦通りに行くよ!」


そう聖奈さんが指示を出すと聖奈さんは右前にミランは左前に位置を取った。エリーは動かないようだな。

二人とエリーの距離が離れるが…きた。


パァンッパァンッパァンッ


聖奈さんがライフルを撃った。ほとんど着弾しているが、やはり怯まない。そしてまだまだ撃っている。


パァンッパァンッパァンッパァンッパァンッ


オーガさんは随分と怒っている。聖奈さんはヘイトを自分に向ける事に成功したな。ビビりまくっているが…


「こっちよ!」


聖奈さんが走りながらも射撃する。オーガもやはり痛い為か、真っ直ぐは向かってこずに木々の隙間を縫うようにして距離を縮めてきた。

俺はいつでも飛び出せるように抜剣した。


そこに銃声がなった。聖奈さんではない。


『グギィ!?』


おい。ライフルは効かないんじゃないのか?オーガは蹲り足元を庇っている。


「今です!」


ミランの声に聖奈さんはオーガからさらに距離をとり


『アイスバーン!』


エリーの魔法が炸裂した。

足元が氷漬けになったオーガに


「最後です!」


バシュッ


ドガーン


ミランが放ったRPG-7(ロケットランチャー)がオーガに着弾した。


オーガは爆発の余波で落ち葉や木が舞い落ちきる前に消滅して魔石を残した。






side聖奈

「作戦はこうだよ。まずはミランちゃんにこれを持ってもらうの」


私はライフルとRPGを渡した。


「重たいですね…持って走れませんが?」


「うん。ミランちゃんにはその場からの援護をしてもらうの。もちろん援護はライフルでね!」


「ですがこれだと効かないですよ?」


「本当に?どんな生き物にも弱点はあると思うよ。オーガは二足歩行でしょ?だったら指先はかなり弱点になると思うよ」


私はミランちゃんにオーガの指先を狙うように指示を出した。きっとミランちゃんなら当てられる。ううん。正直な事を言うと、この三人では一番可能性が高いだけ…


「兎に角、私がオーガの気を引くから。その間にミランちゃんは指先を撃ち抜いてね」


「あ、あの!私は!?」


「エリーちゃんはその後だよ。私が気を引いて、ミランちゃんが指先を撃ってオーガが蹲る、もしくは速度が落ちたら『アイスバーン』を放ってね」


「わ、わかりました!頑張るます!」


ふふっ。緊張してて可愛い。でも私達には後がないから失敗しないでね?


「それで相手が動けなくなったところに…」


「これですか」


ミランちゃんはRPGを掲げた。


「そうだよ。もちろん最初から当てられたらいいんだけど、外したら次弾装填までに時間が掛かるの。それに混戦にでもなれば威力の高さから私達自身が危険なの。だから動かない的にしてから撃ちたいの」


爆発に巻き込まれたら簡単に死んじゃうからね。もちろん今回みたいに余裕(・・)がなければジャンジャン撃って行くけど。

RPGはライフルどころかハンドガンより遥かに弾速が遅いの。セイくんから聞いた情報通りなら、オーガは避ける可能性が高い。だから不確実だし危険だけどこの方法しか思いつかなかった。


「これなら倒せると思うんだけどどうかな?」


「私の役割が少ない気がしますが頑張るですっ!」


「指先に当てて見せます。必ず」


「うん!これからも一緒に冒険する為に頑張ろうね!」


こうして危険な作戦に身を委ねることになっちゃった。まぁ最後はセイくんがいるからそこまで心配してないんだけどね。




side聖

「良くやったな。各々の長所が出せた良い戦いだったぞ」


「私は出番が少なかったです」


エリー。君に二つ以上の事が出来ると思っているのかい?


「エリーがいないとこの作戦は成り立たないから良いじゃないか」


「はい!そうです!」


「ミランも良く一撃で指先に当てたな!」


「はい!セーナさんの転んだ演技に騙されたスキがデカかったです!」


「聖奈も良く転べたな!」


確かにあれは凄かった。俺なら仲間を信じて転べるか?いや、わからんな。


「そ、そうでしょ?迫真の演技だったんだからね!」


なんか焦っているがそう言う事にしておこう。


「これで私達はこれからもダンジョンに潜れるね!」


「はい。流石に足手纏いではセイさんの負担も危険も増えますからね。良かったです」


「私もすぐに上級魔法を連発出来る様になって見せます!」


「ああ。これからも頼りにしているよ」


エリー。連発出来たら今度は俺がいらんくなるだろ。やめなさい。そもそも詠唱速度も暗唱も負けてるんだから!




「いたぞ。向こうも気付いたようだ。とりあえず次は俺がやるからみんなは援護できたらしてくれ。エリーは他のオーガがやってこないかだけチェックしていてくれ」


かなり離れているがまたこっちに気付いた。やはり何らかの索敵能力を持っていると見て間違いないな。次点でこちらの魔力波に反応したかだが、それはすくないだろうな。


「はい!任せてください!」


「間違って当てたらごめんね」


「いや、撃たないでくれ。ごめんじゃ済まないからな」


「撃たないように見張っておきます」


「冗談だよーミランちゃん」


ぜひ見張っていてくれ。


遂に目視できる距離にやってきた。俺は抜剣してオーガに向かった。





「先手必勝!」


俺は掛け声と共にオーガへと斬りかかった。叫ばないと怖いんだもん。


ザシュッ!


「よし!斬れる!」


どうやら素人剣術でも剣が優秀だから問題ないようだ。深くはないがオーガの横っ腹に切傷が出来た。俺はリリーの剣筋を思い出しながらオーガに斬りかかる。


「うりゃー!」


どうやら先程斬られたことからガードを選択したようだ。


ザシュッ

ボトッ


『ぐがぁあ!?』


オーガの腕が落ちる。

次の一撃で下がった首を狙い、落とした。





「やりましたね!」


ミランが我が事のように喜んでくれる。


「ありがとう。これからは剣聖として生きて行くよ」


「剣聖…?」


「ミランちゃん。調子に乗ってるだけだから放っといてあげてね」


おいっ!…ありがとう。多分明日には恥ずかしくて死にそうになってるだろう。ダメっ!絶対!中二病!


その後、交互に戦ってオーガの森を抜けた。




「まだ夕方くらいだが帰ろう」


ここからは少し時間がかかるからな。


「もしかして2階層?」


「そうだ。これまでの魔石を納品したいからな」


もしかしたらBランクになれるかもしれないしな!

むしろそれが楽しみで仕方ない!


俺達は2階層に転移して、そこからダンジョンの出口を目指した。もちろんトラブルなどなくダンジョンを出た。





「冒険者カードを」


出張所の職員に魔石とカードを渡した。


「Cランク?Dランクも…良くオーガを討伐できましたね」


「俺達は商人としてこの街に入ったんだが、Bランクの知り合い達からもBランクとしてやっていける力はあるとお墨付きをもらったから挑戦したんだ」


まぁ嘘は言ってない。


「そうですか。10階層のオーガの魔石が人数分ですので昇級出来ますが今しますか?」


よっしゃあ!!


「ああ。頼むよ」


心の中ではよっしゃぁあ!!

ダンジョンの成果の場合昇級試験がないのはいいな!

新しいカードを貰った後、宿を取り宴会となった。もちろんリゴルドーで。


「えっ…宴会なのに…酒がないだ、と?」


「当たり前じゃない。セイくんが決めたルールでしょ?」


俺は水を飲んで過ごした。普段の癖で水が日本酒に見えるから口に含む度に物凄い違和感が…

結局その日は聖奈さんだけ飲んでいた。

酒が入っていない事で俺はその日も地球と異世界の荷運びをして眠りについた。

酒はないが仕事はある。これ如何に。




翌日、今日は一日休みにした。エリーとミランを王都に送った後、俺は聖奈さんとお出掛けだ。もちろん理由は知らない。


「何処に行くんだ?エトランゼで見たいところなんてあったか?」


「商人組合だよー。ここは目新しいモノがないから見たいものは無いかなぁ」


商人組合か。まさかここでも砂糖を売りたいとか言わないよな?もう面倒臭いんだけど…

俺が憂鬱になりそうになったところで組合についた。





「はい。第二防壁内には販売している物件はありません。貸出している物件はございますが他の3倍ほどの家賃がかかります。さらに家賃を払っていても3ヶ月間帰還されなければ強制退去になります」


聖奈さんが第三防壁内の商人組合の職員さんに話しを聞いている。

どうやら家を買いたいようだが冒険者としては買えないようだ。ここではいつ死んでもおかしくないからな。


「じゃあランク4の商人であれば?」


(セイ)の威を借る(聖奈)作戦だ。


「ら、ランク4ですか…店を構えずに住居を買うことは出来ません。ですが、第三防壁内に賃貸の貸家を持つことは出来ます」


「ではそれでお願いします。条件は第二防壁の入り口に近いことで」


転移ポイントが借りれたらデカいな。何時にダンジョンを出ても転移出来る。


「わかりました。こちらは特に規則はないですが、冒険者組合から退去命令が出た場合は契約者様本人に確認なく執行される事があります」


まぁそれは仕方ないだろう。

俺達は家賃を一年分先払いして、家を契約した。



聖「よくあの場面で転べたな」


聖奈「」


ミラン「流石でした。私でも役割が逆でも出来ると思っていましたが、囮はセーナさんが一枚も二枚も上ですね」


エリー「そうです!次もお願いします!」


聖奈(次!?もうしたくないんだけどっ!?)


聖「そうだな。もし、正攻法で勝てない相手がいたら頼むよ」


聖奈「任せなさいっ!劇団○季も真っ青だよ!」(ふえーん。どうしよー)


いつも応援ありがとうございます。

物語はまだまだ続きます。

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