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106話 順調に攻略!





『アイスバーン』


草原がスケートリンクと化す。今回はワイルドウルフを狙わずに機動力を減らす事を目的に使った。この使い方のほうが、機動力重視の魔物には良いかも。


「順番は気にするな!自分のタイミングで撃て!」


パァンッパァンッパァンッ

パァンッパンッパァンッ


『キャインッ』


何匹か死んでいない奴もいるな。

俺は兎に角様子見だ。このスケートリンクを越えてきた奴にだけ集中する。


パァンッパンッパァンッパァンッ


草原に銃声が響いて暫く後




「終わったぞ。俺の索敵には反応はない」


どうやら片付いたようだ。しかし俺の出番は…まぁ順調だからいいか。


「じゃあ手分けして魔石を拾おっか」


「「はいっ!」」


こうしてバトルモノにはならずに終わった。これはハンティングモノだからなっ!


草原を歩いてそろそろ終わる頃


「何であんな集団に襲われたんだろうな?」


「もしかしたらなんだけど、ここはみんな素通りしてるのかもね」


素通り?


「だってあんなに大量の魔物に襲われたら大変でしょ?私達でも次にここを通るなら戦わずに通りたいよ」


「そりゃそうだが…どうやって?」


「?戦わないだけだよ」


だからどうやってだよ!


「多分この狼は仲間がやられたのをどうにかして知って駆け付けたんじゃないかな?

多分狼を避けて通るのがこのフィールドの正統な攻略法じゃないかな?」


「それは難しいだろう?相手は狼だからすぐにみつかるんじゃないか?」


「だから?見つかっても攻撃しなきゃしてこないかもよ?」


目から鱗だった…

確かにそんなゲームもあったな…


「じゃあ他の人は接敵しないようにだけ気をつけて通るのか…」


「多分ね。でも私達にはもう関係ないよね!」


「いえ。ありますよ」


えっ!?なんで!?転移使えば…


「この魔石達を納品しないとランクアップしませんから。それとも街中に転移できるところがあるのですか?」


ほんまや…


「そ、それは…街の外に転移してまた第三防壁から入るとか?」


「この街の管理体制は厳重なので私達が出た記録がないと難しいのでは?仮にできた場合にもどこに転移しますか?ここは壁以外障害物がないので急に門に現れたら不審がられるのでは?」


そうだな…最悪森に転移してから歩くか?


「あっ!」


「どうしたの?」


「ダンジョン内からダンジョン内に転移したらいいんじゃないか?」


そうだ。外に転移しなくても、?階層から2階層に転移したらすぐ出口だ。


「ホントだね!それなら解決だね!」


「そうですね。後は他の人に見つかりづらい場所を選ぶだけですね」


ダンジョンは広いけど入り口付近は狭い。よって2階層は狭いんだ。


「そうだな。まぁ3階層でもすぐだから問題ないだろ」


「そうだね。見つかるリスクを考えたらそうすべきかもね」


転移方法をあれこれ話し合っていたら、5階層に辿り着いた。同じく草原だが、明白な違いがある。

4階層はワイルドウルフがギリギリ隠れられる膝丈の草原だったが、ここは…


「私は前が…」


エリーが困惑している。仕方ないな。だって草が1メートル以上あるんだから。


「私もギリギリですね。でも少し見えたくらいでは何も変わらないです」


「そうだよね。何が出るかわからなくて気持ち悪いね。知ってるけど」


もちろん浅い階層の情報は仕入れている。この5階層は『牡鹿の魔物』だ。

何故かみんな立派なツノがあるらしい。


「何か動いてない!?」


「風だろ?魔力波には何の反応もない。落ち着け」


聖奈さんがビビっている。可哀想だが普段がアレなので放っておこう。

ミラン?肩車しようか?


「セイさん!肩車できるです?」


「エリー…まぁいいぞ」


まぁこの場合エリーの方が適切か?


「エリーさん。私がしてもらいます」


「何で!?」


「それは…私は目がいいですし、狙撃も得意だからです」


一瞬答えに窮したな…

まぁ俺は構わんぞ。こんな時の為の身体強化だしな!


聖奈さんは流石に肩車は恥ずかしいようで参加しなかったな。

しかしこれが意外にも…


「セイさん。右に三十度向いてください」


パァンッ


「次は左に四十五度です」


パァンッ


俺はコンパスを使い一定の方向へ進む。そしてミランの指示があった方に身体を向ける。

見えないからなんとも言い難いが、戦車みたいで少し楽しい。

ちなみにミランはスカートじゃないからな!怪我しないように長ズボンを履いている。地球産のミリタリーグッズだ!


「とりあえず反応はないな」


「はい。目視でも確認できません」


俺とミランが納得し合っていると横から


「は、早くここをぬけましょ?!」


「そ、そうです!何も見えません!紐を離さないで下さいね!!」


大丈夫。紐は腰に留めてあるから。もし離すならそれはエリーの方だ。

俺には迷子紐が二つ結ばれている。


「しかし、俺やミランみたいに出来ないとこの階層は怖いな」


「そうですね。しかも一度銃弾をツノに弾かれましたし」


ツノは何製かな?厳密にはライフルの弾丸を弾く訳じゃないが、逸らしていた。まぁ偶々入射角が悪かったと思いたい。


「魔石は諦めるしかないし、全くうまみがないな」


「私は拾いたいのですけどね」


そう。二人が許してくれない。

俺達は楽々?5階層も突破した。


「2.3階層は森で4.5階層は草原で今回は岩場か」


こんなにバリエーション使ったら10階層くらいで火山ステージかな?いや、レインボーロードかもしれん。落ちたら雲に乗ったへんな生き物に釣られるんだ。


「隠れるところがたくさんあって丁度いいし、今日はこの辺までにしない?」


「そ、そうですね…私も賛成です!」


草原ビビり組の二人が伝えてくるが


「ダメだ。ランクアップの為の魔石も逃しているんだ。それにまだ昼だぞ?」


通常ここに来る条件であるBランクであれば一日で10階層に辿り着けるらしい。転移でショートカット出来る事に甘えていたらいつまで経っても昇級などしない。

むしろそのメリットを活かしてどんどん上の奴らに追いつこうって朝話していたのはアンタやで?


「うぅ…トイレ…」


はぁ。


「索敵の反応は遠いから岩の影でしてこい」


「一応レディだよ?」


「いや、ちゃんとレディだとわかっている。だがここはダンジョンだ。野糞も当たり前だ」


「バカァ!!オシッコだよっ!!」


ダッ


「転ぶなよー」


一応背中に投げかけておいた。

甘やかし過ぎてもダメだからな。


今のところ2階層の長さが1.5キロくらいで3階層の長さが2キロくらい。そして4階層の長さが2.3キロくらいだった。

あくまで歩数計での計測だから正確ではないが、どんどん長くなっている。もしこのままずっと距離が伸びていけばかなり大変だな。


「もぅ!お嫁に行けない身体にしたんだから責任とってよね!」


「いや、何もしてないぞ?」


聖奈さんはボケないといけない身体になってしまったんだろうか…結婚よりも相方ツッコミを見つける方が優先だな。


「よし。聖奈も戻ってきた事だし、先に向かおう」


「はい。ここではロックタートルが出ます。現状では銃が効かない可能性があります」


亀って元々甲羅硬いやん?さらに硬いって事?


「移動速度は遅いのでこちらが追い込まれる可能性は低いですが、土魔法を使い岩を飛ばしてくるようです」


「それは危ないな。どの程度の射程があるのかわからんが、十分気をつけよう」


「「はい!」」


聖奈さんはまだ拗ねている。そんなに外でションベンしたのが屈辱だったのか?




「反応がある。正面200mくらいだが見えるか?」


反応があった為、みんなで確認する。


「見えません」


「私もです」


「あっ!アレじゃないかな?岩と同じ色だから分かりづらいけど、少し動いてるよ」


なに?…ホントだ。擬態までするのかよ…いや擬態と言うよりもこの階層が寄せているのか?見た目は茶色の身体に甲羅に岩をくっつけた亀だ。サイズは象亀クラス。

スコープを覗いている聖奈さんは


「このまま撃っていい?」


「ああ。みんなは魔法に注意してくれ」


俺達は足元の悪い岩場の上で身構える。


パァンッ


青空?に乾いた音が鳴り響いた。


「何か欠けました。しかし動きを止めませんね」


岩亀は銃弾が当たった後もゆっくりと動いている。着弾の瞬間は見えなかったがミランが言うように、何か甲羅?岩?が小さく弾けていた。


「なんかこっち見てない?」


ゆっくりとした動きで茶色の顔をこちらに向けてきた。


「伏せろ!」


俺は前に出るとみんなを伏せさせた。そして買ったばかりの剣を抜剣した。


「届くものなら撃ってみろ!毎年甲子園をテレビで観てきた俺が打ち返してやる!」


「セイくん。全然アテにならないんだけど…」


安心してくれ。バッティングセンターにも行ったことないから!

アホなやり取りをしていると魔力視が不可解な魔力の動きを捉えた。


「来るぞ!」


岩亀の甲羅の一部がこちらに向かって飛んできた。


「えっ?そういう感じ!?」


少し焦ったが飛んできた岩は初速こそ中々だったが力尽きて放物線を描き50m程手前に落ちた。

確かに拳大の岩が150mも飛ぶ威力があるなら接近戦ならかなりの恐怖だろう。

質量と速度がエネルギーに直結するから弱く見積もってもプロ野球選手のホームランボールの3倍の威力がある。


「どうやらここまで届かないみたいだな…どうする?」


俺は三人を起こして提案があるか聞いた。


「とりあえず倒れるまで撃ってみるね」




結局甲羅に当てても大したダメージにはならなかった。まぁ、自分で分離させているんだから痛みなんてないよな。

五発目を岩亀が魔法を撃とうと上げた顔に当てて決着が着いた。


この岩場は沢山のテトラポット大の岩で形成されている。その為移動に時間がかかるが安全な魔石集めにはいいかもな。俺たちみたいに銃があればだけど。


ちなみにミランは持ち前の運動神経でぴょんぴょんと岩を跳んで移動している。エリーはドジが出なければ、流石田舎出身と思える動きでこちらもそこそこ早く移動出来る。問題は…


「凄い!凄い!」キャッキャッ


「耳元で叫ぶな!」


俺が抱っこして運ばないといけない聖奈さんだ。

岩亀(ロックタートル)との初戦まではえっちらおっちらと岩を登ったり降ったりしていたが余りにも遅すぎるから、こうなった。もちろんミランが文句を言っていたが丸め込まれていた。


「だって!まるで空を飛んでるみたいに移動するんだもん!やっぱりセイくんが主人公だね!」


「俺が主人公だと半分は飲みの描写になるからありえんぞ」


反応があればそれを遠くからみんなで狙撃する。それの繰り返しでこの階層を切り抜けていった。

トラブル?そんなモノはないんだよ。現実は流作業の繰り返し。そして慣れた頃に失敗してそれがトラブルになるんだ。


俺には活躍の場面がないから慣れる事も無いけど…

何故か本編より力が入る後書き…


聖奈「すごーい!絶叫マシンみたい!」


聖「…」(ぶん投げたろか…)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エリー「絶叫マシンとはなんでしょう?」


ミラン「予想ですが、セイさんの世界で男性が女性をおんぶして走る事を言うのだと思いますよ」


エリー「私も絶叫マシンしたいです!」


ミラン「次は私の番です」


聖奈(こっそり聞いていたけど…天使達かな?)


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