~が、面倒事に巻き込まれてキレそうです。~
話の流れはある程度決めてますが、結構行き当たりばったりです。
基本的に不定期更新につき。
申し訳ありません。
...私はなんでここにいるのか。
そんなことをボーッと考えながら、昼でも日差しが届かないほど深い森をさ迷っていた。
着ていたドレスは土で汚れ、森を歩いている間にどこかに引っ掻けていたらしい。裾がボロボロになっている。けどまぁ、出てくる前に義妹に破かれていたからな。区別なんてつかないや。
行く宛など一切ない。けど自害するのもなんだかあの人たちの思惑通りになりそうで、なんか嫌。誰かに従うことも指図されることも大嫌いな私としては、誰かの思惑通りになるのももちろん嫌。よって自害という選択肢は絶対にない。
この世界で私たち人族にとって危険な場所の一つがこの樹海。デルドリア樹海と呼ばれるここは、障気があらゆる場所から吹き出す。他の種族よりも障気に対する耐性が低い人族にとって、生きて還ることはほぼ不可能と言われる場所だった。
そんな場所に一人置き去りにされた私、エメライン・シャノン・ウォルトンは王国では侯爵令嬢だった。しかし、生まれつき純白の髪と透き通った紫の瞳、人ならざる者のような雪肌により”悪魔の愛し子”の烙印を押され暗い屋根裏部屋での生活を余儀なくされていた。この世界でアルビノは悪魔から愛されている”愛し子”の象徴であると言われているから。同じ”愛し子”でも金髪と金の瞳を持つ愛し子は誰からも愛される。女神より愛された子供は”金を持つ”と言われているから。
...まぁ実のところ、魔力が多ければ金に。神力があればアルビノになるんだけどね。
しかしその事実を知る者はこの世界には恐らくいない。
私がさっきから言っている”この世界”。地球ではない異世界で、”魔法”が存在するファンタジーな世界。私には前世の記憶があり、日本で営業職に就いていた。朝から晩まで仕事をし、家に帰るとDV気質な夫から罵倒され、休日は施設に入っている認知症の両親に会いに行く日々。ごく普通の日本のOLだったが、ある日、出張で海外に行き、帰りの飛行機が墜落して私は死んでしまった。
そして次に目を覚ました時、私は白い空間にいた。
「...ここ」
〈ここは神の世界。あなたは地球での幸せを全て奪われ、本来あなたが享受できたはすの全てのものを失いました。よってあなたには2つの選択肢が与えられます〉
「...えっと、ちょっと待ってください」
〈状況が把握できないのは承知の上です。ですが時間があまりありません。よってすぐに選択してください〉
西洋神話に出てきそうな”女神”と言わんばかりの目の前の女性。白髪と雪肌が印象的で、白いシンプルなドレスも合間って”女神”である。
〈1、このまま死者として輪廻に戻る。2、私の管轄する世界で新しく生を受ける。つまり転生です。さて、どちらにしますか〉
「...えっと...」
〈2に関しては私が与えられるだけの恩恵を授けます。それが私からの最大のお詫びです〉
...勝手すぎないか、この神。
〈なにか聞きたいことがあれば、祈ってください。私と会話できるようにしておきます〉
話をまとめると、
・私は何者かに幸せを奪われていた。
・死ぬも生まれ変わるも自由。
・生まれ変わっても何か聞きたければ祈ればいい。
って感じか。
「じゃ、転生で」
〈...よろしいのですか?〉
「このまま死ぬなら面白そうな方を選びます。それに何かあればあなたに聞くことは可能なんでしょ?」
〈もちろんです〉
「それじゃあ、転生で」
軽いと思ったでしょ。
けど、好奇心が強いので転生一択。
〈...では、転生します。あなたはルフェーベル王国のウォルトン侯爵家の長女です。それなりの地位とそれなりの資産を持っています。また、私の愛し子である白髪薄紫瞳にしておきます〉
「ありがとうございます」
そのあとすぐ私は光に包まれ、新しい人生がスタートした。
しかしー。
『そんなっ...!白だなんて...っ』
『母親と子供を離れに監禁しろ!白の子供など悪魔の愛し子だ!!即刻監禁しろ!!!』
えーっと...。女神?なんか色々違いますけど。
〈申し訳ありません。認識が数百年前とは違っているらしく〉
声音から女神が焦っていることは何となくわかる。詳しく聞くと、この女神、最近昼寝と称して600年ほど寝ていたらしい。その間に女神の愛し子は悪魔の愛し子という真逆の認識になっていたのだとか。
...おい、女神。ふざけんな。
女子にあるまじき声と言葉遣いなのはわかるが、キレている私はムスっとした赤ちゃんになっていた。
それが16年前の話。
それから私は産みの親と監禁されるも、その親は数年で自害し私は本邸の屋根裏部屋で暮らすようになった。
とまぁ少し昔話をしたけど。
...これからどうしようかなぁ。