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④陰キャの俺、復讐を決意する


「魔、魔女っ!」


 俺は思わず悲鳴を上げる。


「誰が魔女さね、誰が」


 不愉快そうな表情を浮かべた老婆がこちらをじっと睨みつける。


 なんでもよく聞けばその老婆は女神であり、名前はエリステアというらしい。


 女神のランク的にはアテナと同格であり、かなり高位の神であるとのことだ。


 エリステアが言うには天界でとある不始末をしでかし、ひどいカースを受けた上に全能神ゼウスの怒りを買い今ではこの《境界の狭間》の管理人をしているとのことだった。


 いったいどんな不始末をしでかしたのだろうか……、エリステアはいかにも聞いて欲しそうな感じでこちらをチラチラと見ていたが正直怖かったので俺はあえて何も聞かないことにした。


「まぁとりあえず、あんたの心の闇について話してみな」


 投げやりな様子でしゃべるエリステアだがその視線はまるでこちらの心のうちを見透かすような鋭いものだった。


「ど、どうしてそれを……」


 茫然とする俺に対してエリステアはニヤリとした表情を浮かべ淡々と説明する。


「まぁここはそういう場所さね。ここに来るのは深い闇に飲まれたヤツばかりなんさ」


 薄暗い部屋にエリステアのしわがれ声が静かに響く。



☆☆☆☆☆☆



 それからの俺はエリステアを目の前にしてこれまでにあったことのすべてを説明し、自分の辛い気持ちや強い憤りなど心の底に堆積した鬱憤を思い切りぶちまけた。


 それはこれまで誰にも言えなかった正直な思い、誰にも見せることができなかった俺の本当の心の内。


―――― そして一息にしゃべり終えた俺はたまりにたまったこれまでの疲労が一気に出てしまったのかその場に思わずしゃがみ込んでしまった。


「気が済んだかい?」


 エリステアがへたり込んだ俺を少しばかり呆れたように見つめる。


「悔しいかい?」


 エリステアが静かに問う。


「悔しいさ。悔しいに決まってる!」


 エリステアの問いかけに俺は怒声を上げる。


「それであんたはどうしたいんだい?」


 俺は怒りに満ちた目でエリステアの瞳を正面から見据える。


「俺は……、俺は……あいつらに復讐してやりたいっ!」


「話は決まった。そんじゃあわたしがひと肌脱いであげようじゃないかい」


 そう言うとエリステアは筋張った手のひらで自らの細い太ももをペチリと叩いた。


 

 俺の復讐の物語は今まさに大きく動き出そうとしていた。


お読みいただきありがとうございました。

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