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第6話 悲しみタイム


 あたしはそれからすぐに別室へ案内され人体実験に協力し、魔獣になったのです。



「うむ。成功だ。非常に安定しているの」


 モニター越しにそう呟くバウムさんの様子からして、魔獣との合体はどうやらうまくいったようです。


 自分ではよくわかりませんが、姿も「白いううさぎさん」になっているようです。


 もし、魔獣の体に適応できなくて失敗したら死ぬこともあると言われていたので、とりあえず一安心です。



「ピェー」(よかったー)


 あれ?


 何かおかしいよ。



「ピエェーピエピエェー」(ひぇぇーもしかして)



 あたし、しゃべれなくなってる!?



「うむ? 新しいパターンだな。知性はあるようだが、言語化ができないようだの」

(えぇ!? そんな事あるの? さっきの猫ちゃん、めちゃ話してたじゃない)


 残念なことに、あたしは魔獣になった事でしゃべることができなくなりました。


 その代償なのか、あたしには今まで出来なかった沢山の能力が手に入ったのです。



「うむ。そうだ、その的に超音波をだしてみてくれ」

「ピェー」


 あたしはそれからバウムさんや、他の研究員さんと協力して魔獣の生態情報や能力を調べていったのです。



「うむ。お疲れ様エク―……うさぎよ。今日はこのくらいにしておこう。まだその体にも慣れてないだろうしの」

「ピエーン」(この人あたしの名前絶対忘れてるよ)


 バウムさんはちょっと変だけど、基本的にはやさしい人でした。


 ここでの魔獣の実験に協力すること自体は最初は抵抗がありましたが、それほど苦痛はありませんでした。


 無理なことはさせられないし、なにより毎日ごはんを用意してくれます。


 しゃべれないので何かを伝えるのは大変でした。


 ただ、ちょっと寒いと伝えたかったのです。


 何かを要求すると、だいたい研究員さんは勘違いしてごはんを出してきます。


 いっぱい食べてちょっと太ってしまいました。



「まだ食べるのか。このうさぎ」

「ピエーン……」(そうじゃなーい……)


 まぁ、食べるんですけど。



 そんな大抵のことは我慢できましたが、ただひとつ我慢できない不満がありました。


 それは、寝る時間になると部屋が真っ暗になるのです。


 どういうからくりなのか、普段は天井全面が光っていて非常に明るいのですけど、それが逆に消灯時の暗闇を際立たせ、孤独感もマシマシでただただ苦痛の時間なのです。



「ピェェー。ピエピエピエェェー」(ひえぇー。暗闇こわいー)


 涙が止まりません。なぜか部屋に水たまりが出来るくらいずっと涙が出続けます。


 あたし、昔から暗いところは超絶苦手なのです。しぬー。暗いと死ぬー。


 仕方ないので寝て過ごすのですが、それまでが毎日悲しみタイムで地獄なのでした。



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感想も待ってます。誰でも苦手な事ってあるよね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] バウムさんの天然っぷりが素敵です。 そうやって考えると魔獣になる素質の一つは天然? な、ならば自分もいつか魔獣候補に……ごくり。
[一言] 凄い能力を肩こり対策に使っているんですね。
[一言] 不公平だな… あの猫は、しゃべれんのに…
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