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第4話 協力要請



「うむ、あまり時間がない。さっそく本題に入る。この協力要請の内容だが、お主には人間をやめる覚悟があるかの?」

「……ひぇ?」


 いきなりのとんでもない発言に理解が追いつきませんでした。



「ど、どど、どういう事ですか?」

「うむ。こうなった理由を順を追って話すとだな。お主の妹リュンチーだったかの」


「違います。シャンティです。一文字しかあってないですー」

「う、うむ。森で凶悪な魔獣を捕獲した際、そのシャンティの亡骸が近くで発見されたのだ」


 やっぱり妹は魔獣に殺されたようです。バウムさんはさらに続けて説明してくれました。



「その魔獣とは宝涙兎ほうるいうさぎ。妹さんの死因は魔獣に魂を食べられたんだの」

「ひぇぇー魂を食べられちゃったんですか。かわいそうなシャンティ……」


「うむ。宝涙兎はカーバンクルとも呼ばれる非常に珍しい魔獣。その生態や能力は未知なのだ。魂を食べるというメカニズムも実はよく分かっていないんだの」

「……?」


「うむ。私達は魔獣の研究している。君には宝涙兎と融合し、その力を調べさせてもらいたい」

「えぇぇぇぇ!?」


 バウムさんがあたしに人間をやめる覚悟を聞いた理由はそういう事でした。


 残酷にも軍は魔獣を調べたいから、あたしの妹を殺した魔獣と合体しろみたいな話なのです。たぶん。



「ななな、何であたしなんですか!? そんな研究するなんて酷すぎます!」

「うむ。宝涙兎は波長の合う人間の魂を食べると言われている。姉のお主なら融合の成功率が高いのだ。それと、魂を食べる仕組みが分かれば、同じ魂を食べるたぐいの魔獣の被害も減らせるだろう」


「ひぇぇぇ。魔獣と合体なんて。そ、そんなの怖すぎますー」

「うむ。うまくいけば妹の魂は開放されるかも知れない。お主がうまく魔獣を制御できれば、かたき討ちという事にもなろう」


「妹の魂が解放……でも……ひぇぇぇー。ちょっと考えさせてくださいー」

「うむ。もちろん強制ではない。あくまで協力要請だ。普段の仕事や生活もあるだろうしな。断る自由はある」


「あ、仕事……あたし、超貧乏で仕事探さないといけないんです。お金稼がないと家がなくなっちゃうんです」

「うむ。もし協力してくれるのなら、家と土地は軍が買い上げておこう。お金の心配ならいらない。すべて面倒をみよう」


 あたしの体を軍の研究実験の為に差し出せば、貧乏からも脱出できてご飯も毎日食べられるという事でした。


 本能的なものは抑えられません。怖さで体が震えていました。


 どうなるのか分からない恐怖は拭いきれなかったのです。



「うむ。この研究。倫理的に問題があるのは理解している。その上で利があるからやっているんだの」

「ま、魔獣と融合した後はどうなるんですか?」


「うむ。もちろん研究の為に調べさせてもらう。お主は魔獣と融合して手に入れた力を見せてくれればいい」

「ひぇぇぇ。やっぱり聞いただけで恐いぃぃぃぃ」


「勿論、元の体には戻れない。よく考えてくれ」

「ひぇぇぇぇむりぃぃぃぃ!」



「……失礼」


 バウムさんはそこまで説明すると立ち上がり、後ろで立っていた2人の軍人さんと何やら相談していました。


 そして、一頻り話した後、バウムさんは正面に戻ってきてこういいました。



「うむ。付いてくるといいの。妹のかたきその魔獣を見せよう」


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感想も待ってます。この物語、思ったより書きやすい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすく、とっつきやすくてスラスラ読めました。 あと、エクレアたんのメンタルが地味に屈強過ぎるw つらい過去を乗り越えてきたからですね……。 序盤のハイライトまでもう少しという感じで…
[一言] 書きやすいですか。何よりです。 読む方もテンポ良く読みやすいです。
[良い点] 会話の調子というか口調が互いにほのぼのなのに、内容がえらく殺伐としておりまする。 だがそこがよいです。 [一言] ところでバウムさんは確か66歳なので16歳のエクレアちゃんとは一回りどこ…
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