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作者: じろ

 大学近くで、姉妹が二人でアパートを借りて住んでいた。女性の二人暮らしなので防犯を考え、一階の部屋は避けて二階に部屋を借りることにした。姉はCA志望で勉学に励み、妹は特に何をするでもなく平々凡々の生活を送っていた。


 ある日、二人で家に帰ってみると、閉めたはずの家のドアが少し開いていた。いつもとは違う何かを察知した二人は、急いで中を覗いた。



 中には知らない男が茶封筒を持って、まさに立ち上がろうとした瞬間であった。

 茶封筒には今月分の仕送りが入っていた。アルバイトをしているものの、上京したての二人には仕送りに頼らなければならなかった。


「泥棒!!」

 姉は即座に大声をあげた。怖かったのだろう。身体が強張り、身動きが取れなかったと思われる。男はその声に驚き、ドアとは反対側に位置したベランダに向かって走った。



「飛んだ!」


 二階のベランダから外に飛び出したのだ。慌てて、着地に失敗したものと見える。左手を抑えながら逃げ出した。妹はその男を追いかけた。

 そのまま同じように二階のベランダから外に飛び出し、裸足のまま男を大声で追いかけた。





 どれくらい追いかけただろう。




 男の足には敵わず、結局は二人で近くの交番に出向くことにした。

 お巡りさんに事の顛末を話すと、妹は叱られた。

「泥棒は逆上して、何をするか分からない。泥棒を追いかけるのは絶対に止めてください。」






 その後、姉はCAになり結婚した。妹は結婚してOLを辞めて主婦になった。



 その時の妹は今、私の母である。血は争えないと、時々思う。

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