勇者パーティ結成
よろしくおねがいします。
サイカとレンは対峙する。
お互いに持っている剣は刃がつぶされた練習用の剣だ。
しかし、闘技場は息をするのも苦しいくらいの緊張感に包まれている。
ゴクリ。
誰かがつばを飲みこむ。
それが合図とばかりにサイカはレンに斬りかかる。
何の工夫も無いただただ速くて重いだけの一撃。
レンは動かない。
サイカの剣が急に軌道を変える。
斜めからの袈裟切り。
レンはそれを軽く弾く。
そして、そのままの勢いでサイカに斬りかかる。
レンの剣はサイカの剣を弾いているので、その分力が乗っている。
サイカは自身に迫る剣を屈んで躱し、そのまま勢いを殺さず、横に回転し、レンの足に斬りかかる。
レンはサイカの剣を片足で踏みつける。
サイカは即座に剣を捨て、後ろに転がった。
「…サイカ。剣の稽古をしているのに剣を手放してはダメだろう。」
「悪い。レン。でも、言わせてもらえば、レンの剣の稽古は無理だ。だって、お前強すぎるもん。」
「うーん。どうなんだろうな。このレベルで魔王を倒せるのかどうか。」
「歴代勇者パーティ5人を再起不能にした魔王グドラ。500年戦い続けている人類の宿敵か…。」
サイカは勇者の称号。
レンは剣聖の称号をそれぞれ、善神ムーより授かって生まれた。
2人の手の甲に浮かんでいる紋章が、それだ。
紋章が戦闘で役に立ったことは未だにない。
まあ、そんなものだ。
「サイカ様、レン様!王がお呼びです!」
「勇者に剣聖よ。聖女と賢者の修行が完成した。ここにいる二人がそうだ。」
「聖女…。シエラ。」
「賢者のルーテです。」
「勇者のサイカです。」
「剣聖のレンだ。」
「ではな。早速ではあるが、魔王を討伐してきてくれ。装備は城の武器庫から選らんでくれて構わない。それからしばらくの間の路銀を出そう。では、頼んだぞ。勇者と一行よ。」
「さて、シエラとルーテは何ができるの?」
サイカはとりあえず会話をすることにした。
これから自分の身を預ける仲間だ。
当然のこととも言える。
「生命属性の魔法が使える。状態異常を回復するキュア、体力を回復するライフ、身体能力を上げるアップ。」
「それは、すごいな。アップは後でぜひとも試しておきたい。」
「私は、火・水・風・土・闇の魔法が使えます。四大属性は防壁と、攻撃、闇属性は状態異常系です。」
「魔王グドラは土属性らしいから、防壁に期待だな。」
「勇者と剣聖は何ができるの?」
シエラが聞く。
「僕は、レンには及ばないが、城の兵士相手なら5人がかりでも倒せる。それと光属性の魔法が使える。光属性の魔法はホーリーレイだけだが、威力は結構すごい。」
「俺は、剣でなら誰にも負けない。何人がかりだろうと斬り伏せる自信がある。」
武器庫にて、装備変更。
「さて、装備はこんなもんでいいだろう。今日はとりあえず酒場に行こう。」