リアル初友達に誘われた
VRジャンルも書いてみたかったんや
「なぁ、はじめ!はじめもリバティ・オンラインやろうぜ!俺はβ版やってきたけど、今までのVRMMORPGとは比べ物にならないくらい凄いんだって!」
「…リバティ・オンライン?なにそれ。VRMMORPG?」
俺の名前は久野一。高校卒業まで友達が出来ず、他の人が遊んでいる時間はずっと武術ばかりしていた。だから話し相手は今まで師匠と家族しかいなかったし、ゲームをしたこともない。大学に入るときにアパートの一部屋を借りて一人暮らしを始めたからしばらく話し相手がいなかった。
そんな俺にリバティ・オンラインを勧めてきたのは、大学に入って初めてできた友達の木兎利優作だ。俺の友達は未だに優作しかいないのに、優作は学校内にたくさん友達がいる。どうも校外にもいるらしい。優作は人付き合いが上手なのだ。
そして、リバティ・オンラインという名前はゲーム好きなら誰もが知っている新作ゲームらしい。その名前すら知らないことを優作に驚かれた。意識を体と切り離して、VRの世界にフルダイブできる技術が数年前に開発されていたのだが、今まで現実のように自由自在な動きはできなかったらしい。リバティ・オンラインはその問題を解決しており、まるで異世界に来たかのように、自由に体を動かしてVR世界を楽しめるんだとか。
「それで、VR技術についてだけでもリバティ・オンラインが凄いってことはわかってくれたか?興味出てきただろ!?な?リバティ・オンラインやろうぜ!」
「ちょっと待って。そもそも俺はゲームをしたことがないし、フルダイブをしたこともない。もっと言うとMMORPGってのもわからない。どういうものなんだ?」
「それも知らないのか!?まぁいいぜ。せっかくだからいろいろ教えてリバティ・オンラインの世界に引き摺り込んでやるさ。フルダイブやゲームについてはやってみればわかる。それで、MMORPGってのはだな……」
MMORPGとは、マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲームの略称らしい。つまりは沢山の人が同時に参加できるオンラインのRPGなんだとか。
ゲームの中にも時間があって、俺たちがログインしていなくてもゲームの中で時間は過ぎる。こっちの1日が向こうでは3日間なんだとか。どうやら3倍に体感時間を加速しているんだとか。原理は知らないけど便利なもんだね。
そしてRPGというのは、それぞれがそれぞれのプレイヤーキャラクターを動かすタイプのゲームという意味なんだそうだ。将棋のように全体を動かすゲームとは違うらしい。
特にリバティ・オンラインではレベルやステータスというものがあり、キャラスキルやジョブスキルとかスキルポイントとか…正直説明されてもよくわからん。
まぁ優作の言う通り、やってみればわかることなんだろう。
「うん、説明聞いてもよくわからないけど凄いってことはわかった。ここまで楽しそうに説明されてわかりませんじゃ終われないし、俺もリバティ・オンラインをやってみるよ。まだゲーム機も持ってないけどな。」
「やるって言ってもハードがないと始まらないからなー。」
リバティ・オンライン…なるほど、8月1日にパッケージ版発売、ダウンロード版同時公開…2週間後か。ネット予約は…既に品切れ。
あ、ハードのカプセル型VR装置は売ってるな。こっちはだいぶ前からあるからみんな持ってるってことか。こっちは今から注文したら1週間後には俺の住んでるアパートに取り付けられるだろう。幸いお年玉も高校時代のバイトの給料も使ってないから余裕で買える。
「ゲーム機の方は間に合いそうだな。だけどゲームソフトの方はどこも予約がいっぱいで買えそうにないぞ。」
「おっ、そうか!それなら大丈夫だぞ。実はな、今日はじめを誘った理由はパッケージ版のソフトを予約しすぎたからなんだ。舞花…あ、妹な?その分も予約しておいたらそっちはそっちで予約しちゃってたからさ。キャンセルするのもなんかもったいないから、もらってくれる人を探してたってわけ。」
「そうなのか?それじゃ、ありがたく…ってわけにもいかないよな。ちゃんと代金は払うよ。」
そうして、俺は優作にソフト代を支払い、リバティ・オンラインのパッケージの内、一つの届け先が俺の部屋に変更された。