海の決闘
ギャンボスの鋭い攻撃が俺を襲う。
「チッ!」
舌打ちをしながら光の刃を出した聖剣でギャンボスのサーベルを打ち払うがサーベルは切れず鈍い音をたてて弾かれた。
「意外そうだな。岩をも切り裂く聖剣で凡百の剣を切れぬ事が」
シールドを剣に纏わせてやがる。男のくせに中々の魔力だ。
「モテタロー!」
背中越しにメナの声が突き刺さる。
「馬鹿っ!何故上がってきた!ここはまだ危ない!」
その隙を見逃すギャンボスではない。目にも止まらぬ速さで鋭い剣先が真っ直ぐ俺の心臓に伸びてきた。
しかし、致命の攻撃は強力な青いシールドで弾かれる。腕に装着している盾の魔石が蒼く輝いている。メナの魔力だ。
「動くんじゃねぇ!」
ジャールと呼ばれた海賊がいつの間にかメナを羽交い締めにして吠える。
「メナ!俺のシールドを解除してそいつを吹き飛ばせ!」
「でもっ!」
メナは躊躇う。無理もない。こうしている間にも俺は防戦一方で意識を聖剣に集中出来ず敵に折られない程度の刃しか練られなくなっていた。
そして予想が難しく手数の多いサーベルの剣戟!
スチル・ギャンボス、この男…強い。そして…
「やはりお前もスチル流剣術だな」
「ふっ!あんな三流剣術と一緒にするな。俺の剣術はあれを遥かに超える」
「どうかな。ムキダッテの剣は一撃一撃に重みがあった。だがお前の剣は軽い」
「てってめー動くなって言ってんだ!女の喉を掻っ切るぞ!」
無視されたジャールは更に唾と汗を飛ばしながら吠える。
「うぐっ!」
その時ジャールの胸を銛が貫いた。
「動かずにいてくれてあんがとよ」
メナにかすり傷すらつけず一撃で正確無慈悲にジャールの命を断ったのはあとから上がってきたカトルの銛だった。
「ジャール⁉︎」
動揺するギャンボスの隙を見逃す俺ではない。すかさず刃を引っ込めた聖剣をギャンボスの右がわの鎖骨に叩き込んだ、
「ぐおっ!」
たちまちギャンボスは崩れおちる。
「親父っ!」
カトルは息も絶え絶えなオルカに駆け寄った。
「さて、しかしこれはまだ一件落着って訳にはいかなさそうだな」
いつの間にか青かった海は真っ黒になっていた。




