海賊王スチル・ギャンボス
「よっしゃ!殺せー」
海賊達は叫ぶと同時に俺に殺到してきた。
コイツらを連続して吹き飛ばす程のシールドを練れる魔力は俺にはない。非道な連中だが海賊同士の絆はあついらしく、荒っぽいが絶妙に連携の取れた剣撃で俺に迫りくる。
だが遅い!死と隣りあわせの訓練を生き抜き数多の死戦を潜りぬけてきたからだろうか。敵の壁を突破する道が俺には見える!
俺は最低限のシールドを纏い前転して相手の股ぐらをくぐると同時に刃を出していない聖剣を敵のすねに叩きつけ、薙ぎ払った。
敵の悲鳴を聞きながら包囲の後ろに回ると手当たり次第敵の鎖骨を砕いて回った。
「さて‥後は無傷なのはお前だけだな」
「お前!許せねぇ!許さねぇぞ!仲間の仇は俺が取る!」
頭と呼ばれていた最後に1人残った海賊はガタガタ震えながら唾を飛ばして主役みたいなセリフを吐いてきた。
「俺が何故お前らとわざわざ交渉してたか解るか?他人を傷つけると夢見が悪いからだ。なのに暴力に訴えてきたのはお前らの方だぜ?」
話しながら俺はさりげなく間合いを詰める。
その時後ろの船室からの怒声が俺を貫いた。
「やめねぇか!」
「しゅ首領ッ‼︎」
首領と呼ばれた男は40過ぎくらいだろうか?顔面に物凄い刀傷があり海賊らしく片目がない。しかし厳しい船旅にも関わらず黒いヒゲはよく整えられており、中々美意識の高いダンディな男だ。
「ジャール‥お前ではこの小僧には勝てねぇよ」
首領と呼ばれた男はサーベルを抜き半身に構えた。
「客人、スチル流剣術とお見受けした。若いのに気の毒だがスイートランドの回し者は生かしておけねぇ。俺はこの海賊団の首領スチル・ギャンボス。決闘を申し込む」
「‥‥茂木モテ太郎だ」
望郷の念を超えて殺意を覚えた。今ほどダサい名前をつけた親にムカついた事はない。
だがこの首領中々強そうだ。スチル姓だしムキダッテの親戚か?加減はやめだな。
聖剣の魔石が白く輝くと剣に光りの刃が宿った。




