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小さき背中

俺の意識は朦朧としていた。ゴキブリスズメバチに刺された足は化膿し歩くたび激痛が走った。

訳のわからない植物も多い。その根っこで足場は最悪だ。気づけば俺は倒れていた。「…メナ…もう俺を置いていけ」喋るのももうやっとだ。


メナは黙って少女の細腕と思えない力を出して俺を背負うと歩き出した。突然メナが飛び身をかわした。「イーターマンドラゴラ…ソルドの奴め、まだモンスターが残っているじゃないですか」


巨大な食虫植物の様な魔物が触手を伸ばし俺達に襲いかかってきた。ハエトリソウがゴツくなった様な巨大な頭?は幾つも束になっているがそれぞれ違うタイミングで口の様な開閉部をパクパクさせている。手足?と言うかナメクジのひだの様な触手の束には更にモウセンゴケの様な赤い毛が生えていてそこから滴る粘液で緑の体がうねうねと光り身の毛がよだつ様な悍ましさだった。


メナが杖を振り何事か呪文を唱えると杖の先から炎が吹き出し怪物に襲いかかった。


何も無い場所から物体を生み出す…これは2級魔術、別名シルバーレベルの最高峰の魔術だ。魔王の使う一級魔術…すなわちゴールドレベルの魔術はあらゆる物体を自分の属性の物体に置き換える事すら出来る。これはシールドを練らずに魔王と対峙すればたちまち置き換えられてしまう事を意味する。その魔王すら自分の属性の魔術しか使えない。平均的に女は男より魔力が強いと言ってもメナの魔力はあまりにイレギュラー過ぎるのではないか。


イーターマンドラゴラは触手の粘液でメナの魔炎を消化すると幾つもある足の様な触手をうねらせ突進して来る。しかし後退りながらメナが繰り出した火球が奴を捕らえた。


すかさずメナが叫ぶ。

「耳を塞いで!あの魔獣は絶命する時に叫びます」


その時俺は気づいた。彼女は俺を背負って戦いながら全く息が乱れていない⁉︎それに気づくと同時だった。旅の疲れと足の痛みに失神寸前の俺は耳を塞ぐのが遅れた。

<ギョギョアーー-ー->

俺の意識はそこで途絶えた。


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