逃げる先
追っ手は来ていない様だ。俺はいつか道元と寄った小川を見つけると馬を休ませるついでににメナの拘束を解く事にした。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃありません…これからどうするんですか?」
「とりあえずこの国から出る。なるべく人を避けてな。後の食い扶持は後で考えるさ。取り敢えず兵士からぶんどった10万マギーがあるし…」
…この金外国でも使えるんかな。言葉は通じるんだろうか?
あまり道元達を心配する気持ちは無かった。アイツらなら大抵の危機は乗り越えられる。
「ここから1番近い他国は北のフレイムキングダムですが、辿り着くのは簡単じゃありません。間には赤道直下のデボンの森とデボン内湾があって、これらは広大な自然の障壁で誰もが恐れてこう呼びます。[迷宮]と…」
「じゃ、じゃあ少し遠くても違う国を目指そうかな」
「…スィートランドからはフレイムキングダムを通らないととても他の隣国へは行けません。この国はデボンの海に囲まれているからです。海流も此方に向かって流れてますしこの迷宮を真面に突っ切れる船は出てないです。」
「…ならデボンの森を抜けるしかないな、内湾はぎりぎり抜けれるんだろ?」
「絶対にデボンの森には足を踏み入れてはいけません!デボンの森近隣にオルカと言う渡守がいます。彼はデボン内湾を抜けれる唯一の船乗りです。彼に2万マギー渡して頼むしかありません」
値段を高く感じた俺の気持ちが顔に出ていたのだろう。メナは諭す様に続けた。
「変わった人ですが腕は確かです。私もこの国に入る時通ったルートですし間違いありません」
他国からわざわざ来たと言う事はやはりメナはムキダッテの言う様にスパイだったのだろうか?詮索したい気持ちもあったがメナが自分から語らない以上辞めた方が良さそうだ。
「わかった。メナの言う通りのルートで行こう」
「それと約束して下さい。もう無茶はしないで下さい。自分の身の安全を第一に考えるべきです」
「…無茶なんてしてない。人として当然の事をしただけだよ」
「それが無茶なんです。特にフレイムキングダムに入ってからはそんな道徳心は捨てて下さい」
何を馬鹿なと思ったがメナは少し怒った様な顔に薄っすら涙を浮かべている。この場は彼女の言う事に同意した方が良さそうだ。
「わかったよ。道も決まった事だしそろそろ行こう。馬の汗もひいたみたいだしな」




