召喚獣インセクトン
「⁉︎」
ババアの雲の上から戦場の中心部を見た俺は驚愕した。
既に勝負は決していたのだ。
_モテ太郎が戦場で逃げ回っていた頃既にボリョクとマーガレットの勝負は始まっていた。
ボリョクの分身は外野を寄せ付けず台風の目の様にマギーとボリョクの周りだけ無人だった。唐突にボリョクは無言かつ全力で斬りかかる。
しかしボリョクの剣は再びマギーの体を擦り抜けた。
剣が触れた所は羽虫の群れとなって攻撃を受け流している。
「ひど〜い⤴︎」
(やはり…マギーの属性は蟲。倒すにはリョナの魔法が必要です。)
その時ボリョクの剣の魔石が赤く光った!
「遅くなって申し訳ありませんボリョク様」
ボリョクの分身の1人に介抱されボロボロのリョナがやってきた。
「ナイスタイミングです!リョナ‼︎」
ボリョクの剣の刃に火が灯る。間髪入れず再びボリョクはマギーに刃を叩きつけた。
マギーの体から血が噴き出す。
「ぎゃあああ!」
(蟲の属性の弱点は火。魔神のシールドも魔法属性の弱点だけはカバー出来ません)
しかし次の瞬間ボリョクは驚愕した。
「⁉︎傷がもう塞がっていく!」
ダメージを負った筈のマギーは一瞬で再生した。
「ひど〜い⤴︎いた〜い⤴︎もう許せな〜い⤴︎」
マギーは杖を上げた。
「行きますよ〜⭐︎マァ〜⤴︎ガレット♪マガレット‼︎hei‼︎」
最初に異変に気づいたのは俯き気味なリョナだった。
(あれ…?地面が)
ボリョクも直ぐに気づいた。
「⁉︎地面が動いて」
それは米粒程の夥しい虫だった。何処からか湧いてきたそれは地面を埋め、覆い尽くし、その蠢きはあたかも地面が動いた様な錯覚を2人に与えたのである。
「うぎゃぁぁぁ」
リョナを介抱していた分身は虫にたかられ地面を転げ回った。しかし直ぐに分解され虫の沼に沈んだ。
((まずい!))
リョナとボリョクはシールドを練り身体に纏わり付き食い付く虫を弾き飛ばした。
やがて虫の一部は集まり2メートル程の高さになると中から1匹の巨大な蟲が姿を現した。
それは奇妙な姿だった。カマキリの様な顔をしているがカマは無く代わりにシャコの様な腕が付いていた。足は1番細い所でも人間の太腿位太く8本も生えている。蠍の様な尾も8本ありそれをウネウネと動かしている。胴体は極めて小さくほとんど足だが、ケバケバしいコオロギの様な羽が生えている。
それはその羽を動かし美しい音で鳴いた。
「ピロリロピロ♪」
「召喚獣ですか…」
なるほどマギーは自分で戦うタイプではない。
「やっちゃえ⭐︎インセクトン!」
インセクトンは高速で足元の小虫を蹴散らしにじり寄ってきた。
「くっ!」
その迫力に流石のボリョクも一歩後退する。
その分インセクトンは前進し多彩な攻撃を放ってきた。カマキリの様な頭と首を左右に高速にふりながら(生物学的にはカマキリの首に見える部分は胸である)巨大なシャコの様な腕で高速のパンチを繰り出しボリョクが避けるとその先に毒針を伸ばしてくる。
しかしボリョクはそれすら回避し、魔剣の一撃を放った。
スキル倍化。相対する敵の能力を全て倍上回る事が出来るボリョクならではの芸当である。




