スキル
ムキダッテ、門番は立ち尽くしていた。
今目の前にいた筈のモテタローが消えたのだ。鉄の属性とは言えムキダッテはこの国随一の剣術家であり、格闘家でもある。その彼が如何に厳しい修行を積んだとは言え、たかたが修行を初めて1年足らずのモテタローの動きを目で追えない筈がない。
しかし目の前から城門の外へ続く土煙はモテタローが正面から走り去った事実を告げていた。
「あり得ぬ…まさか開眼したと言うのか?スキルが…」
それなりの人物なら何らかのスキルを持っている事は当然である。
だがスキルは極限を超えた時初めて開眼する物だ。生死の境を何度も修行中に彷徨ったモテタローがこのタイミングでスキルに目覚めたことがムキダッテには解らなかった。
「ハロハロ〜!」
突如城からギータカ マーガレットが現れた。
「「ハローでございます!マギー様」」
ムキダッテ、門番は平伏する。
「私達も行きますよ〜⭐︎何か大変なことが町で起きてます〜⤴︎yay⭐︎」
「真空鎌鼬旋回斬り!」
道元凪沙が大技を繰り出す。しかしボリョクは軽く猛攻をいなしていた。
「むんっ!」
ボリョクが軽く剣を持つ右手を振ると凪沙は強力な風魔法で吹き飛ばされ向かいの建物の壁に叩きつけられた。石造りの壁が崩れ去る。
「凪沙ちゃん!大丈夫?」
九条るみかが駆け寄る。
「ギリギリだがシールドが練れた。大丈夫だ。」
しかし十分に練れなかった様でよろめいている。
「しかしアタシと同じ風の属性とはな…」
「えっウチには電気魔法で攻撃してきたよ?」
「なにっ⁉︎」
土煙さえ切り裂いてボリョクが凪沙に斬りかかる。すんでのところで九条るみかが凪沙を突き飛ばし避けることが出来た。
「アンタちょーうざい」
るみかのライジングサーベルが旋回する。
「雷撃暴竜斬!」
サーベルの先から電撃で創られた竜が飛び出しボリョクを襲う。九条るみかの渾身の魔法攻撃だ。
ボリョクはヒラリと竜の攻撃をかわした。
「フッ」
ボリョクは鼻で嘲笑うと剣を振る。その黒い剣はいつの間にかサーベルに形状変化していた。するとるみかが創り出した竜の倍はあろうかという程の黒い電撃で創られた竜が飛び出した。
道元凪沙が目を見張る。
「何っ?まさか…」
ボリョクの竜はたちまち九条るみかの竜を叩き潰した。
「るみかっ!同時攻撃だ!」
道元凪沙が羽の形をした大剣ラファルを構え九条るみかと並び立つ。
「おりゃ!」「えいっ!」
2人は同時に剣を振る。風と電気の斬撃が剣から飛び出てボリョクを斬りつけた。
「ぐぁっ!」
ボリョクは剣で受けたが吹き飛ばされ今度はボリョクが店の壁に叩きつけられた。
「喰らえっ!」
更に凪沙の剣から出た竜巻がボリョクの黒竜をかき消した。
「えっ?ウチの爆竜斬が効かなかったのに何で?」
「やはりな、奴はスキル持ちだ。属性は多分影だろう」
「スキル?影属性?」
「スキルは極限まで追い込まれた魔法使いのみが開眼する特殊能力だ。奴の男離れした魔力はスキルによるものだろう」
「ご名答!」
ガラガラと崩れた壁を押し退けボリョクが立ち上がってきた。しかし相当なダメージを貰ったらしく肩で息をしている。
「僕の属性は影。スキルは倍化。対峙すると同時に相手の能力を全てコピーし、倍上回る能力です。」
「なっ⁉︎マジなチート能力じゃん!」
「慌てんなるみか!奴も2人同時にはコピー出来てねえ。2人がかりで一気に斬り殺すぞ!」
その時火球が2人目がけて飛んできた。咄嗟に凪沙とるみかは別の方向に飛んで避ける。
「私の事忘れてない?」
リョナの火属性の魔法攻撃だった。
剣を抜き九条るみかの前に立ち塞がる。
「これで2対2ですね」
ボリョクが道元凪沙の前に歩み寄る。その剣は凪沙の大剣ラファルと同じ形状に変化していた。
「僕のスキルを知った以上、何が何でも死んで頂きます」
道元凪沙の頬を冷汗が伝う。
「やべぇな…」




