ヒソヒソ話
「起きて…起きて下さい」
そっと起こされるとかえって目覚めが悪い。
起きるとそこは昨日来た異世界だった。どうやら全て夢ではないらしい。
いつの間にかちゃんと布団を被って寝ていた。メナが被せた様だ。
「御召し物をお取り替えします」
「い、いや自分で着替えるよってなんじゃこれ!」
そこにあったのは煌びやかな装飾が施された鎧だった。
「午後から聖剣授与の儀式がありますし、朝食後にはリハーサルがありますのでもう鎧を装着して下さい。メナもお手伝いします」
「あ、ああ、頼む」
兎に角ここは儀式が多い。リハーサルには道元や九条、梅さんも来ている。リハーサルが終わり昼食前になると俺達は誰が言うでもなく自然と集まりヒソヒソ話を始めた。
「皆んなはどうやってここへ来たんだ?この世界は何なんだ」
九条るみかがブスッとした顔で答えた。
「それはウチらが聞きてーし。ウチらが流れ着いた場所がこの国だったし、ウチらも来てまだ3日」
いつも金の事しか頭に無い梅さんも神妙な面持ちで答える。
「今はどうするかじゃ、ここが何処か、どうやって来たかは後じゃ」
「周りを見てみな」
道元の鶴の一声で思わず皆周りを見回した。
少し離れてメナ以下道元達に充てがわれたメイドが昼食を中庭に広げている。
「今日のご飯もマジ豪勢っ!」
九条は思わずウキウキしている。
「馬鹿!そうじゃねーよ、アタシたちの現在地、状況を考えろ」
「ここは城の離れの中庭みたいだな」
「そうだ。アタシたちは見ず知らずの土地の強大な権力者の手中にある。先ずは相手の機嫌をとりつつ現状を把握し機会を伺うしか無いだろう。奴らに迂闊に逆らうなよ」
皆頷いた。大袈裟には感じなかった。この場所は尋常じゃない。何故かわからないが中世より野蛮な雰囲気が漂っている様な気がする。
「皆様昼食の準備が出来ました。」
メナが呼びに来た。思わず俺はビクッとした。
メナ、その他メイド達は食事中も側で控えていた。
「皆んなは食べないの?」
「私どもは後で頂きますので」
この世界のメイドは仰々しいな。俺の家のメイドは皆んなで和気藹々とお喋りしながら一緒にご飯を食べたものだ。はぁ帰りたい。俺は元の世界を思い出し思わず涙ぐんだ。
「少し辛かったですか?」
メナが心配そうに聞いてきた。
「い、いや美味しいよ。ハハハ…」




