告白する勇気をくれ
誰だってソワソワする時期。
冬の時期がまだ残っていて、大寒波もやってくる。
年取った人には寒さにかじかみ、体が縮こまってトイレが近くなる。
若年層にとっちゃあ、恋愛事情に進展やら出会いを感じてしまうだろうか。そろそろ、彼女でも作ろうかなんて、夢物語語って家族を安心させようか。仕事や趣味に楽しんで誤魔化すんだろう、結局。さらなる少子化が心配でしょうがないものだ。
「そろそろバレンタインデーだな」
まだ学生の皆様は、この時期に好きな人からのチョコ作りを妄想するだろうか。女子のほとんどが3連休をチョコ作りの忙しさという理想にして、遊びを断ったんだろう。そうだろう。
もうちょっとで別れるかもしれない節目もある。良い思い出作りは少しでもしたいものだ。
「…………」
やはり、こーいう時期に恋愛という浮ついた事を夢見るか。
もうちょっとすれば、自然と彼女ができるんじゃないか?しかしながら、練習の仕方すら分からない。日常的にあいつと喋れたのに、2人きりになるとソワソワする。胸がドキドキする。
誘うの、難しい。だったら、向こうの方から
「告白されねぇかな」
そんな男など、好きになれるか、アホウがと。
失敗したチョコでもあげて、残酷な現実を甘めにしてくれないでしょうか。女子の皆様。
舟虎太郎の奥手というか、慎重ぶりに。声をかけたのは四葉聖雅であった。
「じゃあ、告白される練習をするかい?」
男同士、夢想を慰めあうのかい。
「ふざけんなよ、四葉。というか、お前はモテるんだから良いよな。こーいう時期」
「ん?それはスポーツが出来て、勉強ができて、男子とも女子とも良好的に対話ができるからだと思うけれど?」
「これだからイケメンは……ったく。簡単に言ってくれるぜ」
ま、一番イヤなのは。チョコもらえるだろうと思って、結局。家族辺りから記念日程度に、夕食のおまけとして、チョコ出されただけで終わるバレンタインデーか。
彼女いないのね……みたいな。哀愁。その目は年々きつくなってくるものだ。
「よ、四葉先輩」
「!君は……」
クラスの人気者でもあると同時に人望もある四葉。その彼に後輩から相談ごとをされるのであった。
「あの、今度。一緒に、来てくれませんか!」
「その話かい」
「………」
ちょっと性格に難があるのを親友の舟は知っている。今言った後輩が女子なら、なんとか分かるんだ。男子なのだ。名前は知らない。
「四葉、お前後輩にまで手を出したのか……」
「いやいや、まだだよ」
「その言い方止めろ。唯一の弱点だ」
◇ ◇
告白する。打ち明けるとは難しい事だ。
『そろそろ、バレンタインデーだな。チョコか、ラブレターとかもらえたりよぉ。はははは』
『……あ、あのさ。笑わずに聞いてくれるか』
『ん?』
男子生徒Aと男子生徒Bの会話。もうすぐやってくるバレンタインデーに向けて、意を決しての挑戦。
『告白するんだが、勇気が欲しいんだ。一緒に来てくれないか?』
『おいおい、集団告白かよ。勘弁しろよ』
『いや!君が来ないと、勇気が湧いてこない。お願いだ、放課後。教室に……廊下で良いから、僕を待って応援してくれ!』
愛の告白とは、人生に何度ある事だろうか。
勇気を与えるためにと、親友は協力するものだ。
もし、成功したら盛大に祝ってやる。失敗したらまた次あるさと慰めてやる。
そして、放課後。
告白すると言った男子生徒Aは教室にずっと待機。男子生徒Bは廊下で何かを待っているように、傍にいてあげる。陽が沈み始める。しかし、男子生徒Aが告白する相手が来ない。そー言えば、名前も聞いていない。もしかすると、すっぽかされたのか。それはそれで仕方ないと、教室に入ってやる。
『おーい、もう今日は諦めた方がいいんじゃないか。帰っちゃったかも』
そんな男子生徒Bの言葉に対して、男子生徒Aは
『ううん。今、来たんだ。勇気と一緒に』
『え?』
ホントに赤い顔して、真面目に男子生徒Aの手をとって
『君の事が好きなんだ!付き合ってください』
◇ ◇
そんな感じの創作物が今、作られようとしていた。
どー考えても、男女にすれば良いだけの事であるが、
「んー、BL物ってなかなか難しいね」
「そーですね。ぎこちない展開になってしまいます。頭の中では上手く動いているかと思ったんですけれども。描いてみると、違和感だらけ」
相談しにきた男子生徒はそーいう漫画を描いていた。
そこで学校でも噂が立っているくらい、そーいう人の意見を参考にしていた。
「お前等、学校の教室でそんなもん作ってんじゃねぇ!!なに?漫画研究部かと思ったら、BL研究部かよ、お前等!?ホモの集まりか!?」
「舟も協力してくれ。俺達親友だろう?」
「協力できるかぁっ!!腐った思考をしてやがって!!」